旅する花屋「ハヤシラボ」初体験。

2016年11月
ブログ「イトシイモノ」より

益子の秋の陶器市は、初日と4日目の日曜日に参戦。
お天気に恵まれ、いつもの秋よりたくさんのお客様でごった返していた街。
その中でもひときわ目立つ行列がありました。
長さ3~40メートル。いったい何の行列?
最近益子では行列作家さんは何人もいるので、きっとまた誰か新しい作家さんが行列作家になったかな?と思いながら。
覗こうにもあまりの人垣の多さに確かめる事も出来ず、その場を離れた初日でしたが。
それが「旅する花屋 ハヤシラボ」さんだと知ったのが日曜日。

とにかく美しく、見た事もない花や緑がたくさん!!
後から聞いたらこの日が一番花が充実していたそうで。
「今なら5人待ちだよ!」と知らせて下さった作家さんの声に、私も思わず列に加わりました。

並んではみたものの、いったいどんな風に注文するのか。
全てお任せになるのか、金額はどれくらいか。
(今は3000円からだそうです)
ドキドキしながらも美しい花に見入っていると、中に雰囲気のあるステキな男性が。
この方が花束を作ってくれるんだなと。
期待感、おおいにアップ!♬

前の方達が注文するのを見ていたら                
「この花とこの花を入れて、あとはお任せします。」      
そんな感じが多い。                  
私の前の方は「ドライになっても美しい花を。」              あぁ、それもありかと思ったけれど、生花の美しさを選ばないのはもったいない。                 
私もメインになる花を選んで待つ事30分。          
いよいよ私の番が来ました!

                 
「一番美しい青い紫陽花と、ノーブルリリーと、アザミのような花を入れて、白と紫のイメージで。」
待つ事10分少々、でも彼は真剣に花を選び、束ねては壊し、置き換えてまたバランスを見て。

これが私がお願いした花束です。
ビックリしたのは彼が花鋏以外何も使っていなかった事。
バラなどの季節は使うのかも知れませんが、茎を切る意外は全て手で葉をむしり取り、並べて束ねる。
「花と手」それだけの作業。

注文した方の言葉を聞きながら最後にチラっとその方を見る、、
その一瞬で、作る花束のイメージを決めるのでしょう。

出来上がった花束の写真を撮るのを忘れました。
濃い目のピンクの紙に包んで、ラフィアの紐で結わえて、そして彼が出来上がった花束を抱えて私の方へ来て「ありがとうございました。」と渡してくれる。
それを回りの皆さんが見ている。
一瞬の女優気分とでも表現したら良いでしょうか。
なんて幸せな気持ち!

行列に加わった瞬間から、
花を選んでいる間も
作っていただいている間も
そして花束を渡された瞬間も
その花束を抱いてめぐる陶器市も
それから帰宅して花器に活けてからも
ずっと魔法がかかっているように幸せな時間でした。

「ハヤシラボさんで作って貰った花束を抱いている人は、みんな嬉しそうで誇らし気ですよね。」
ある作家さんが話してくれました。
確かに。

普段、自分の為に花を買う事はあっても、自分の為の花束を作っていただくことはまずありません。

自分の好きな花を選び、それで自分だけの花束を作っていただいて、それを観衆の中で手渡される幸せ。
見ている皆さんも幸せそうな顔をしている。
そしてまたその人も自分の為に花束を作って貰う。
幸せのお裾分けをいただきながら、自分も誰かにお裾分けしている。
そんな幸せな気持ちにさせてくれる花屋さんでした。

またいつかどこかでお逢い出来たら作って貰いたい。
その時、私はどんな花を選ぶのでしょうか。
それを考えるだけでまた楽しい。💛