桜。
2011年4月
ブログ「イトシイモノ」より
度重なる余震と原発への不安で今年は桜を楽しむ気持ちになれなかった。
なにより、いつもの春よりずっと寒かったから。
でも誰かがブログで言っていた。
「桜だって誰も見てくれなかったら可哀想。一生懸命咲いているのだから。」
だから日曜日、近くの八幡山公園へ散歩に行ってみた。
ぼんぼりこそなかったけれど、思ったよりたくさんの人がみんな控えめに、でも楽しそうにお花見をしていた
桜はまだ3分咲きくらい。
満開になれば擂り鉢状の園内の底が見えなくなる程だから、まだハッキリと見渡せる今はホントはまだ花見には早いのかも知れない。
でも、きっとみんな我慢していたんだ。
いつもの春の、いつものお花見のように、みんなで今年の桜を愛でながら、おひさまの下で食べたり飲んだり笑ったりしたかったんだ。
まだまだ心配はあるけれど、それより桜を見たい気持ちの方が不安に勝った。
ようやくそんな日が来たのだと。
放射能が心配で外にも出られず、ガソリンがなくて車で出かける事すら出来なかった日もあった。
でも、少しづつ、本当に少しづつだけど問題が解決してきている。
ガソリンは高くなったけど、もう行列を作る事はない。
カップ麺も水も店頭に並んでいる。
放射能の数値もしっかりパソコンで確認出来るようになった。
こんな状態はホントは当たり前であってはいけないけれど、それでもこれからはこれが当たり前の世界で生きて行かなくてはならないのだ。
非日常の連続の中で、日常を生きて行く。
今までした事がないから、まだまだ当分戸惑うことばかりだと思う。
でもその中で、ささやかな幸せを見つけて行きたい。
久し振りに和菓子を買ってみた。もちろん、今の季節は「桜」。
いつも合わせるお抹茶ではなく、今日はゆっくりと豆を挽いて珈琲で。
体調は良いようで。
最後の一口を食べようとして気がついた。
ひとひらのはなびらは、ハートのかたち。