想い出鍋。

2022年12月29日
ブログ「イトシイモノ」あれから


昨日の流し台の大掃除で見つかったもうひとつの想い出鍋。
ホーローの持ち手が太い針金の、ちょうどひとり分用。
近くに伯母が住んでいた10年弱。
自分のお店をやめ、でも年金だけでは食べて行けないからと、料理屋さんで夜のお運び&調理場。
平日の5時から10時まで5時間立ちっぱなしの仕事は、70をとうに過ぎた伯母には大変だったと思う。

10時を少し回った頃の最終バスで帰って来るから、うちの側のバス停に着くのが10時半。
特に寒い季節には、帰宅してからあれこれ作るのは大変だろうと、週に1度か2度、このお鍋におでんやシチュー、肉じゃがを入れて待っていた。

バスが見えてから飛び出せば間に合うので、私はギャラリーの中で待機。
たまに残業で乗っていなかったりバスが遅れたりもしたけれど、私がバス停で待っていると、疲れた顔の伯母がシャキっと元気になるのがホッとした。

母の認知症が酷くなり、二人の介護をさせる訳にはいかないと、伯母は高齢者マンションに引っ越す事に。
多分、妹が壊れて行くのを見るのがつらかったのだろう。
側にいてくれるだけで、母の話し相手になってくれるだけで助かっていたのだけれど。

同じ市内のそんなに遠くに越した訳ではなかったけれど、もうお鍋を持って待つ距離ではなくなってしまい、このお鍋もしまい込んだけど捨てられず。
その伯母もこの秋の終わりに97歳で亡くなった。
もう一人、私を可愛がってくれた親友のお母さんも逝き、淋しい年越しになります。