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父と母から託された形見

こんにちは、ミーミーカフェ店主の園山です。上の写真はまだ我が家が幸せだった頃の小さな私と兄、愛犬の写真です。40年前?わー…歳とるわけだw

今月より母のすい臓がん再発、肝臓への転移へのスピードがあまりに早く、冷静に対応しているつもりでも気がつくと涙がドバドバ出ているといったメンタル的にとても宜しくない状態が続いております。

そのため、店舗の機材や用意したいものを買い揃えたりする時期なのに、自分も倒れてしまったり母の癌による痛みが日に日に強くなりもうそろそろ限界が訪れている。歩けなくなる。そういう『終わりの始まり』が幕を開けてしまったのだと痛感してます。

どんなに手を尽くしても寄り添っても、亡くなった時の喪失感や後悔は尽きないものだと、先に親御さんを泣かされた方々からたくさん話を伺いました。

せめて親の前では気丈でいなければダメだ、心配かけてはダメだと今までずっと堪えてました。

母の余命が最初に宣告された夏頃、両親が離婚してからずいぶん会ってない父親にふと生きてる?とLINEしてみたら『生きてるよ』と返事が返ってきて会うことになったのが今年の秋。10年前に私自身が離婚した後に会った時以来ですね。

メールであらかじめ色々こちらの事情を伝えておいたら、お店の開店資金とお母さんに美味しいものを食べさせてあげてねと資金を少し頂きました。今の家庭を守りながら娘へ、元妻である母へ父からの精一杯の応援だったのでしょう。ありがたく受け取りました。

そしてもうひとつ、託された物がありました。

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これは父と母が離婚する時に、母が父に返した結婚指輪。そして父親の分も。

『これをお父さんとお母さんからの形見として受け取っておくれ。もうあっこちゃんにしか渡せないから』

そう言ってあとは仕事の話を延々と聞いたあと、また会おうねと父親は会社に戻って行きました。

この指輪を受け取るということの意味。私にとって大きな意味がありました。単身赴任中の父の一時の寂しさから過ちを犯してしまったがためにやむなく離れ離れになって40年。

この40年、父は片時も母への愛を忘れてなかったのだということが一目でわかる、肌身離さず持っていた大切な大切な宝物。その宝物をいよいよ私に渡す時が来たのだと父が悟ったのでした。

『彼氏とつけなさい。あっこちゃんの方が太い指だから父さんの指輪がピッタリだろう。彼氏さんは細そうだからお母さんの指輪を調整したら使えるよ』

…まぁ、ちょっと引っ掛かるところもありますがwええ、ええ、そうですよそうですとも。付き合いたてホヤホヤの私の彼氏は細身で私の方がDB。

ええわかってますとも。

父と母の大切な指輪、せっかくだからつけさせてもらおうと信頼できるジュエリー屋さんを友達から紹介してもらい、サイズ直しと磨き上げてもらいました。

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ピッカピカ!流石です。ジュエリー屋さんが真っ先に目にしたのは父と母のイニシャル、結婚記念日の日にちだったようです。事情を話して母の指輪を彼氏のサイズに直してもらい、両方とも磨きをかけてもらいました。

いつも父がポケットに大切に忍ばせていた指輪は綺麗な箱に入り、私の元へ届けられました。

私と彼はまだ付き合いたてホヤホヤ。だけど母親にこの指輪の存在を伝えた方が幸せなのか不幸なことを思い出させてしまうのか…散々悩みました。悩んだ挙句、彼にお願いして昨日の写真撮影体験会でともに指輪を付けてもらい、写真を撮りました。

そして写真撮影会を途中で早退させていただき、親友が心を込めて描いて届けてくれた『生きろ、生きろ』と気持ちを込めて全力で描いてくれたパステル画をと指輪を持ち、娘を連れて彼の車に乗せてもらい母の元へ向かいました。

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秋の紅葉🍁のパステル画。真っ先に母に届けて、部屋に飾ってねと伝えると大喜びで眺めていました。

そして、母が葬式の話を一通りしたあと、箱に納めた指輪を見せました。

想像を遥かに超えた母の反応でした。母はもうとっくに捨てられてたと思っていたと嗚咽しながら泣き、私も娘も泣き…

父との思い出を話してくれて、最後に離婚届を出す時も一緒に行ったそうな。そんなに仲の良い夫婦でも一瞬いっときの過ちがあったがために引き裂かれたのか。判子を押す手が震えている父を見て、母はもう充分だ、、、と思ったそうな。

そしてこの指輪の存在💍。父は最期の最期まできっと会えずに終わる母の事を思いながら亡くなるのでしょう。そして母も最期まで父を想いながら亡くなるのでしょう。

その2人を繋ぐ指輪、やはり見せてよかった、そして私と彼とで指輪をはめて撮影した写真も見せながら、『お父さんとお母さんの思いは私と彼で受け継ぐから。私には彼が支えてくれるから。安心して』と伝えるのが精一杯でした。

父と母の深い愛を私と彼が受け継ぎ、大切に育んでいこうと思います。

そして母の人生がどうか最期だけでも穏やかに過ごせますように。せめて身体中の側の痛みが抑えられますように。



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