マッチングアプリで出会った男性のこと②

私はアプリでは、年下ばかりを狙っていた。
とにかく同年代は、写真からして魅力が無い…
そんな中、珍しく小奇麗な感じの同い年の男性が《いいね》をくれ、
たまにはいいかな…と、マッチングしてみた。
2人目の人と会った後に、1人目のM君にアプリを退会させられ
    【気になりましたらこちらへ】
再登録してからのことだった。

最初に登録したときもそうだったけれど、
登録すると、じゃんじゃん《いいね》がくる。
最初の時は《とりあえず登録》しただけだったし、
やり方もよくわからなかったから、
じゃんじゃん来てもろくに見もしなかった。
1度登録して使い方もわかったし、なによりM君以外の素敵な男性を急いで探さないと…と、必死だったから、2度目はその《じゃんじゃん》が嬉しくて
「なによ~私モテモテじゃ~ん」
などとニヤニヤしながら、いいねをくれた男性達をよく見た。

数人の年下男性とマッチングしたけれど、
先にいいねをくれたわりには、マッチングしても無言だったり、
やりとりを3ターンくらいするとメッセージが来なくなる人も何人かいた。

その中で、この同い年の男性は、メッセージもとても感じが良かった。
奥さんとは死別し、私と同じ県内に住んでいて、
総合病院の事務の仕事をしているとのこと。
私の住む市から、その人の住んでいる市は50km離れていたけれど、
2人目同様、そのくらいがちょうど良いと思っていた。

マッチングして2週間後くらいに、タイミングよく
その市で派遣の仕事があったので、仕事終わりにお茶をする約束をした。
終わる頃に、車で迎えに来てくれるとのこと。
仕事先には車の乗り入れが禁止となっていて、
最寄りの駅近くに車を停めなくてはならなかったからだ。

当日「終わりました」と連絡を入れると
『白いクラウンで__まで行きます』
とのメッセージ。
「クラウン…有名な車なん?
誰でも自分の乗ってる車を知っていると思うなよ…」
と、車種を全く知らない私は思った。

5分も経った頃に、待っていた場所の近くに白い車が停まったのが見え、
そこまで行ってみた。
助手席側から車を覗き込むと、その男性は、
こちらを見もせずに少し頭を下げた。

なんか、感じ悪い…

ドアを開けて
「おじゃまします」と乗り込み、
「初めまして」と言うと、
どこに車を停めたのかを聞かれ、
『まずはそこまで行きますか』と言ってきた。
車を停めた場所の近くに、お店が無いわけではないけれど、
駅の近くだったから、お店を利用するにも駐車料金がかかってしまう…
お金に余裕がある人は、そんなことは気にしないのかな…?

写真では年齢より若そうに見えたけれど、
運転している実物の横顔を見てみると、やっぱり年相応に
皮膚がたるんでいるし、シワもある…

車を走らせている彼に、奥さんについて質問してみた。
亡くなって10年以上は経つとのこと。
1人いる息子さんがまだ小さい頃で、奥さんのご両親が、子育てにとても協力してくれたとのことだった。
その息子さんも大学生になったそう。

あちらは、私の仕事のことを聞いてきた。

本業については、まだ話したくないと、メッセージで伝えていたけれど、気になっていたようだ。
「変な仕事ではないですけど、今はネットで調べるといろいろなことが分かってしまうので、まだちょっと……」

すると、今日の派遣の仕事について聞いてきたので、
本業が休みの土日祝日に、スポットの仕事を探していて、今日もその仕事だった、と話すと、
『フッ……』と鼻で笑い
『探すのが大変そう』と言った。

『時間も時間だから、お茶じゃなくて食事にしますか?』
と聞かれたけれど、そのとき時間は18時頃。
食事をしてから家に帰ると22時にはなってしまうと思い
「いえ、今日はお茶だけで…」と答えた。
飼っている年をとった犬のことも心配だった。
相手の男性も犬を飼っていることを知っていたので、
そのように伝えると、
『じゃあ、今日はそのまま帰った方がいいですよ。
うちも、昼間に用事があってまだ散歩させてないから』
と、言ってきた。

《次》と言っても…正直、休みなく働いている私は、ちょっとの時間を作るのもなかなか難しい上、50km離れたその辺りには滅多に行く機会もない。
家の方まで来いとも言いにくいし、今日少し話して合わなそうなら
それですむ話なんだけどな…

そうこうしているうちに、そんなに遠くなかった駐車場に着いてしまった。
降りろ と言わんばかりに、歩道側に車を停車された。
後続車の邪魔にもなってしまうから、降りるしかなかった。
会ってからそこまで、話した時間は15分くらいだろうか?

「ありがとうございました」と言って降り、
なんだかモヤモヤした気持ちのまま、運転して家に帰った。
「今日はありがとうございました。今、家に到着しました」とだけ、
とりあえずメッセージを送ろうとアプリを開くと
《退会したユーザーです》
と、表示が出ていた。
2人目の男性に会ったときに教えてもらったけれど、
それはブロックされたという意味らしい。

え…今日の私の何がいけなかった?
外見が無理だった?
仕事?

どちらにしても、なにか一言お断りの理由を、
嘘でもいいから言って欲しかった。

短い時間の会話で、魅力は感じなかったけれど、
メッセージの印象が良かったから、
無言のブロックがとてもショックだった。



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