マッチングアプリで出会った男性のこと⑥の6

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T君とはお付き合いはできない。
そう思ったその日に、1人目のM君に再会してしまった……
こんなことが自分の身に起こるとは……
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お金持ちじゃなくてもいいから、
普通にお金を持っていて、普通に使える人が良かった。
名前や会社を、ちゃんと教えてくれる人が良かった。
私が作った手料理を食べてくれる人が良かった。
T君は全部当てはまっていた。
それなのに、好きにはなれなかった。

そして、
お金が無い騒ぎばかりしていて、
名前も会社も秘密にしていて、
母の手料理しか食べられません、
というM君が好きなんだ!と、気付いてしまった。
それに気付かせる為に、神様は私にT君を会わせたんだろうか?

T君には、初めて会った日に、少しM君の事を話してはいた。
【T君には】というか、マッチングアプリで会う人には必ず、
最初にM君の話をするようにしていた。
「初めて会った人が、やりとりのイメージと本人が違い過ぎたので、
あまり長くやりとりはせずにすぐ会うようにしています」と。
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でも、さすがに、昨日お泊まりして今朝我が家を出て行った人に
「今日、好きな人に再会しました」
とは、言えなかった。
それに、M君に再会したから断るわけではない。
夕べから寝ずに考えた事だ。

T君はまた、ご飯が美味しかったというメッセージを夜に送ってきてくれた。


「夕べ全然眠れなかったから、今日は早く寝ようと思ったけど、
洗濯が終わらずにまだ起きています。

夕べ眠れなかったのは、
いろいろ考えてしまったからなんだけど、
私達、恋人関係にはなれそうもないな、って。
T君も正直なところ、そう思うでしょう?

嫌いなポイントなんて、1個もないよ。
T君は、私のことを好きにはなれそうもないな、
って、思ったの。
昨日も言ったけど、
好きになることも、
LINEすることも、
頑張ることではないからね…

居心地良いし、会いたいけど、好きっていうのとは違う、
って、それはもう、私はお母さんとかお姉さんとかの感覚なのでは?
と、思いました」

『確かに好きとは別の感情なのかもなぁ。
家族に近いかもね』

「だからって、
さよならしましょう、とか、ブロックします、
とかいうことではないのだけど、
良かったら、たまにご飯食べるお友達、って感じになりましょうか?
T君も、もっとT君に合う女性を見つけやすくなるでしょう。
私は、情熱的な恋愛がしたいと思っているのです」

『分かった。
せっかく出会ったんだし友達で行こう!
俺も情熱的になりたいんだけど、なれないんだよねぇ。
それは○○ちゃんが悪いとかでは無いんだけどさ』

「うん、わかるよ。
相手が悪いわけではないっていうの。
頭と心は本当に別のものなの。

T君とは好きな物や感覚が似ているから、話していて楽しい。
疲れたらご飯でも食べにまた来て下さいね。」

『ありがと!
そうさせて貰うよ。

あとDVD返すのもうちょい先でもいい?
まだ、全然見れてなくてさ。
必ず返すから!』

若い頃の恋愛を思い出そうと、最近は恋愛ドラマを観るようにしている、と話していたT君だったけれど、【silent】は観なかった、と言うので、
録画したBlu-rayからやいたDVDを貸してあげていた。

円満にお断りが出来て、スッキリした。
多分、T君も、そうだろう。

その夜はグッスリ眠る事が出来た。



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