マッチングアプリで出会った男性のこと⑥の7

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不思議なことに、M君とのLINEのやりとりを控え始めた頃に、
ちょうどT君から、貸したDVDを観終わったと連絡があった。
M君がやきもちを焼くから、ポストにでも入れておいてとお願いしようと思っていたけれど、M君に嫌な事ばかりされ続けていたので、
こちらも彼が1番嫌がりそうな事を、こっそりしてやろうと思った。
T君と会う約束をした。

お試し期間中には夜しか会ってくれなかったのに、
仕事が休みの昼間に、私の家の近くまで返しに来てくれると言う。
どこで会おうかと聞くと、また、3つのお店の情報を送って来て
『どこか気になるところある?』と聞いてきた。
T君のこのやり方は、とっても気に入っている。
選ぶお店のセンスも、相変わらず良い。
お蕎麦屋さんで会うことにした。


当日、私を見て
『また痩せた?』と聞いてきた。
私は、4月からの半年で10kgも痩せていた。
人生で、こんなに短期間でこんなに体重が減ったのは、初めてだ。
こどもに母乳をあげていた時期でさえ、10kgは減らなかった。

お蕎麦を食べながら、お互いの近況報告をした。
私もT君も、初めて行ったお蕎麦屋さんだったのだけど、
お店は思ったより狭い上に、カウンターに案内されたので、
話の内容は、店主と、おそらくその奥さんと思われる人に
丸聞こえだったと思う。
食べ終わっても話を続けていると、店主が奥さんと思われる女性にあごを上にあげるような合図をした。
女性は私たちのところへ来て、
「お下げします」
と、後片付けをし出した。
帰れ、ということなのだろう。

『いこうか』と立ち上がり、一応財布は出したけれど、
『いいよ。散々ご馳走になったんだから』とT君に言われ、
ですよね、と思いすぐに引っ込めた。
たいした話はしてなかったけど、途中だったなぁ…と思っていると、
『お茶する?』と聞いてくれたので、そこから1番近いファミレスに移動した。
お互い「デザート食べようかな」ということになり、
選んだものが、また同じ物だった。
本当に、食の好みは似ているようだ。

私は思い切って、初めて会った日にちょっとだけ話したM君のことを話してみた。
出会いから、ブロックされるまでをかいつまんで、
そして、T君に最後に会った日に再会したこと。
実は、それもあって、友達になろうと言ったのだということ。
その後も振り回され続け、どんどん痩せていくこと。
それでもなぜか好きなこと…

『女子っていうのは、心を動かされると好きになるんだよ。
○○ちゃんも、心が動いたから好きになっちゃったんじゃない?』

心を動かされて…

確かに、常に動かされている。
穏やかな日は、めったに無い。
出会った日は、心臓が飛び出しそうなほどにドキドキして、
次の日からは、毎日嬉しくて楽しくて、
ビックリしたり考えさせられたり、
気持ちよくさせてもらったり、
ハラハラしたりガッカリしたり、
嫉妬したり、腹を立てたり、悲しかったり…
短期間に、いろんな感情を味わっている。。。

そして、残念なことに、
1度もT君に、大きく心を動かされたことは無かった。

『心の動かし方を知っているプロがホストだけど、
その彼は無意識にそういうことが上手なんだね。
分かっていても出来ないんだよな~。
俺もそんな気持ちになってみたいなぁ~。
どうしても熱くなれないんだよな~』

そして、
『チャラいけどドキドキする男と、安心安定してるけど全くドキドキしない男、どっちがいい?』と聞いてきた。
難しいような気がする質問だけど、ちょっと前に経験したばかりだから、
即答出来た。
2択なら、やっぱりドキドキする方だ。
口では安心安定したいと言っていても、結局本当に望んでいることは、
そうではないのかも……?

今までのT君の恋愛経験を少しは聞いたけど、
若い頃にも彼女にやきもちとか焼いたことないの?と、聞いてみた。

『う~~ん、ないかなぁ~』

東京の専門学校に通っていた頃に、高校生の彼女がいたそう。
ある日、家に泊まりたいと言われたけれど、高校生だから良くないと思って帰したら、フラれたそう。
大人としては、素晴らしい判断だけど、
彼女側としたら、悲しかったかも…
でも、娘が高校生の頃にそんなことがあったら?と想像すると、
T君のように接して欲しいかな…


自分の仕事の時間が近づき、
またね、
と言ってお別れした。
M君に内緒でT君に会ったことで、少し気持ちがスッキリした。
付き合っているわけじゃないんだし、
T君ともただ食事をしただけだし、
話したのは主にM君のことだけど。

ドラマや映画を観て、
Hしたことある人と、何事もなかったように友達になんかなれるわけないじゃん、
と思っていたけど、
全くそんなこと気にせずに、普通の男友達みたいに話せて、
「関係を持っても友達にはなれるもんなんだな……」
ということを知った。
貴重な経験だ。




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