マッチングアプリで出会った男性のこと⑥の3

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T君が家に来てくれた日は、羽生結弦君や藤田ニコルちゃんなどが入籍した、
【新しく物事を始めるのに最良の】最強開運日だった。
一粒万倍日と天赦日と大安が重なっていた。
私が選んだわけでもなく、この日は?とあちらから言ってきたことに縁を感じた。

お互いの家族のことなどを話しているときも、
父が現在住んでいるところが、私のご先祖様の出身地だったり、(父母は離婚しているとのことだった)
T君の地元が、M君がよく行く【M君の母の実家】がある市だったり、
父の転勤でしばらく住んでいた県外の市が、M君が大学時代に住んでいた市だったり、
父が勤めていたのが、私とM君が初めて会ったファミレスだったり、
と、ただならぬ不思議な縁を感じた……

私の家まで来るときに
『今から出るよ。多分、20時40分頃に着くかな』と言ってきて、本当にピッタリその時間にインターホンが鳴り、ビックリした。
時間ピッタリは別としても、家を出る前に『今から出るよ』と知らせて来た当たり前のようなことが、M君には無かったことだから、物凄く有り難く感じてしまった。

自宅に着いてからT君は
『マジでお世辞抜きで美味しかったよ。全部、俺好みの味付けでビックリしたよ!』
と、また改めてメッセージをくれた。
食べているときも、
「これ、しいたけ入っているよね。旨味が出ていて本当に美味しい。俺も料理するから分かるよ」などと細かい事に気付いてくれた。
私はピッツェリアで働いていたことがあるから、パスタが得意だ。
好きなパスタは何か聞いてみると、
ボンゴレビアンコが好きだと言ってきた。
次はそれを振る舞おう。
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持って来てくれたスイーツが、どれも私の好みだったことを伝えると
『それは良かった!ってことは、スイーツも俺と好み一緒だな』
と言ってくれた。

そして、
『次に会うの、○日でどお?』と、聞いてきた。
今日会ったのに、すぐ次の日のことを提案してくれたのは嬉しかった。
でも、それはまた平日だった。
「それって、また ただご飯を食べに夜 家に来るっていうことだよね……」

T君の仕事は自営だし、事務も全部自分でやらなきゃならないから忙しいと言っていたし、私自身もそうだから、想像は出来る。
現場に行かないからといって、その日が「休日」というわけではない。
やることはあるから。
でも、『今日は現場は休みなんだ』などと、知らせてきてくれたことはそれまでに1度も無かった。

LINEのやりとりも、
朝『おはよう』などと言ってから、こちらの返事には既読が付かず、
夜にやっとあちらから返信がきたと思うと、
それに対する私の返事は、当日はまた未読のまま…ということが多かった。
M君と毎日1日中やりとりをしていた私は、さすがにM君と同じレベルは求めないにしても、
「お昼休みくらいあるでしょうし、返信出来なくても読むことくらいは出来るよね」
と、それが引っ掛かってしまった。

T君はとても褒め上手で、初めて会った日も
「あ!それ可愛いね」と、携帯のケースを褒めてくれたり、
「マニキュアの色のセンスが良いね」などと言ってくれたりした。
私は指が太くて短く、マニキュアなど似合わなったし、
それをつけること自体があまり好きではなかったから、生きてきた過程で、ほとんどつけたことがなかった。
年をとった今になって、少し華やかさを足すために、ときどき付けるようになった。
派遣では飲食関係の仕事をすることが多いから、たまにだし……
だから、つけるのも下手で、爪から指にはみ出していたりする。
でも、どうせ男性なんて、そんなところまでは見ていないだろうと思っていた。
見ている人もいるもんなんだな…

ある日、T君が、
『今度行く日、泊めてくれない?次の日A市で仕事だからさ!』と言ってきた。
たしかに、私が住む市のとなりの市だから、T君の家からよりは近い。
ただ【近いから】と、素直に受け取っていいのかな…?
「来客用のお布団が特にないのだけど、娘達が使うようなお布団で良ければ、どうぞ寝て行って下さい」と返信すると、
『それでOKだよ。ありがと!』
『○○ちゃんって、お酒飲むんだっけ?』と聞かれたので、泊まりだから一緒に飲みたいのかなぁ…と思ったけれど、事実として、飲めなくはないけどあまり好きではないので、そのように伝えた。
前回、たくさんスイーツを買ってきてくれたけれど、T君が食べずに帰ったので、1人暮らしの私が全部食べることになってしまった。
せっかく痩せられたのに、同じようにスイーツを買ってきてくれて残されて行かれたら、また太ってしまう……
そう思い、手土産は不要だと伝えた。
「自分が飲みたい物だけ買ってきてね」と。

当日、T君は、本当にビールを1本だけ買ってきた。
T君は、あまりお酒が強い方ではないようなので、1本で充分だったんだろう。
まぁ、お茶くらい買ってきてくれても良かったけどね、なんて、
いらないとこちらから言いつつ思ってしまうのが、女の複雑なところだろう……

パスタも、用意したおかずも、今回もすべて
「本当に美味しい!」とベタ褒めだった。

そういうことがしたかったはずなのに、
なぜか心はときめかない…………

また、いろいろお喋りをして、
「そろそろ寝ようか」と、いうことになった。

私は普段、マットレスだけを2段重ねにして、その上に布団を敷いて寝ている。
娘達のベッド2台を、2人が家を出るときに置いていかれ、
自分のを含めて3台が邪魔になり、解体して捨てたのだ。

マットレス2台の上に布団1組と、
その隣の畳の上に布団を敷き、
マットレスの方で寝るようにとお願いした。

「どうぞ気にせず、先に寝てて」
と声をかけ、わざとゆっくり歯磨きや顔洗いをしてから布団を敷いた部屋へ行ってみると、T君はすでに寝息を立てていた。

「泊まらせて」を変な意味に捉えなくて良かった。
と、思いながら、隣の布団で寝ようとしたけれど、緊張してあまり寝られなかった。


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