建築情報学系コミュニティを楽しく運営するために ~ND3M R&E 勉強会活動を通して~
ND3M の MEDY(メディ)です。
普段は某社の設計部で意匠設計をやってます。
ND3M は建築情報学系クリエイティブコミュニティとして活動しています。
学生,大学院生から社会人(構造/意匠の実務設計者,建築系エンジニア等)まで楽しく活動しています。
以前から社会人主体のコンピュテーショナルデザイン/建築情報学領域/ファブリケーショ ン/XR 界隈でのコミュニティはチラホラ見かけます。私自身もそういったコミュニティ主催のワークショップやハンズオンに積極的に参加するようにしています。自身も他人から「どのように 運営しているのですか」と聞かれますし、自身も他コミュニティに対してそう思います。
そこで、今回の記事では、
この 3 点にフォーカスしていきます。
この記事を読まれた方には
「建築情報学系コミュニティにちょっと顔を出してみようかな」
「自分もコミュニティ立ち上げてみようかな」
と少しでも思って頂けたら幸いです。
建築情報学系コミュニティをどのように立ち上げて運営してきたか
きっかけは、2019年11月24日に行われた3DPrinting で作成したジョイントを用いたパスタタワーワー クショップでした。この時、運営に関わっていた (当時は 4 名。うち 1 名は脱退)3 名が中心となって今も継続しています。
(活動年表) 年表から分かるように、ワークショップ・自主制作による設計施工・国際展示や海外の学会コンペへの挑戦・勉強会と公開ディスカッションなどを中心に活動しています。
はじめは全員が学生で「近くに建築情報学系研究室がない」「大学で建築情報学系授業がない」「学びたいことを学べる環境がない」という状況下で「だったら自分たちで勝手に立ち上げて『先生のいないゼミ』のように活動して、自分たちで勝手に学んでいこう」という純粋な想いがきっかけでした。
今では、メンバーの半数近くが社会人となり「とにかく楽しいことをしたい」「まだみたことがないものや新しい取り組みをしたい」「自分の興味をひたすら突き詰めてメンバーとコラボしたい」という想いのもと、各自の専門性(職能や研究内容など)と建築情報学領域を組み合わせながら、自由気ままに取り組んでいます。
最近の活動は、ワークショップ・コラボによる自主制作活動・プロトタイピング(土壁/粘土3Dprinting)が多いです。
ND3M R&E 勉強会の活動報告について
ここからはND3Mの活動の中でも「Research & Engineering(略してR&E)」という勉強会活動にフォーカスを当てていきます。
ND3M R&Eでは、ND3Mメンバー(正規メンバー)と外部メンバーが集まったコミュニティです。毎月テーマが決まり、ファシリテーターとなった人が中心となり、読書会・勉強会・ハンズオン・ワークショップなどを週1程度で行われます。
参加者には学部生から大学院生、博士後期課程の研究者、社会人(実務設計者・コンピュテーショナルデザイナー・エンジニア)まで多種多様です。
取り組みはいろいろあるのですが、今回は2つにフォーカスして紹介します。
①Digital FUTURES workshopでの取り組み
Digital FUTURES とはざっくりとした言葉で言うと、海外の巨大な建築情報学会コミュニティのことです。毎年、初夏頃に各国で何百というワークショップが同時開催され、参加者は好きなものに参加します。
今年は日本語ワークショップも開かれるということでその1つをND3Mが担当しました。
「ECONFIGURATABLE ARCHITECTURE~再構成可能な建築を考える~」をテーマに、Rhino+Grasshopperのさまざまなプラグインを使い倒した4つのハンズオンを開催(水口・九冨・大口・近藤が担当)
折り紙建築・エージェントアルゴリズム建築・モジュール建築・折り紙機構と環境シミュレーションなどなどを題材とし、ハンズオンを行い、最後に3つの課題から参加者に好きな題材を選んでもらって最終成果物を制作・プレゼンするというワークショップです。
5日間かけて行われました。
②動く建築・動く機構ハンズオン
所要時間:2時間30分
担当者:北島・池本・斎藤
こちらのハンズオンは3本立てになっており、基本的なリンク機構の解説とgrasshopperでの制作、立体スピログラフをgrasshopperで作ってみる、テオヤンセンの機構をgrasshopperで作ってみるという3つです。
ND3M R&E勉強会ではこのように外部からも参加者を募り、ハンズオン・ワークショップ・読書会・勉強会の開催を行っています。
建築情報学系コミュニティや勉強会を運営するメリット
学生にとってのメリット
①無料でスキル習得や知識の習得ができる。完全に理解できなくても「なんとなく知っている」という状態になれるだけでもお得。(あとから「ああ!あの時のやつだ!」となって急にできるようになったりすることもあるため、まずは知ることが大事)
②社会人が実務の中でどのように活かしているか知ることができる。
③とりあえず学外の人と知り合いになれて息抜きになる。
社会人にとってのメリット
①同じ業界でも他分野の人が実務の中でどう活かしているか、情報交換ができる。
②同世代の他業種・他社の人と知り合えて息抜きになる
③学生と話して息抜きになる
④実務に活かせなくても自分の興味のあることをつまみ食いできて楽しい。
運営サイド/ファシリテーターにとってのメリット
①とにかく人脈が広がる。
②週1ペースでコンスタントに新しい知識を得られる。
③「次は何を題材にしたら面白いかな」とアンテナを張って日常を過ごすことができる。
④いろいろお悩みを共有できる。
⑤以前習得した知識を新しい知識も加えてまとめなおすきっかけになる。
全員に共通するメリット
①とにかく手や頭を動かすきっかけになり、それが蓄積していくのが楽しい。
②ゆるっとしたコミュニティでやっているので孤独感がなく、かといって強制力もなく、程よい。(個人差はあるかもしれない)
建築情報学系ならではのメリット
①建築情報学系の学生・社会人は、建築情報学系ではない研究室出身の人もかなり多い。そのため、建築学に関する知識も、情報学に関する知識も、それ以外の知識も幅広くもっている人や複数の専門領域をまたいでいる人が多く、議論をする際にありとあらゆる視点での議論が生まれる。また未来志向や先端技術への興味関心が強く、常に新しいトピックやホットな情報がディスカッションの中で出てくる。誰かが出してくれる。(ありがたい)
②ツールやソフトウェアに関する相談がしやすい。
③やはりまだまだ建築情報学を専門とした人は他分野に比べて若干マイノリティであるためとにかく「仲間を増やそう」「暖かく迎えよう」という雰囲気があり、「なんもわからん」という状態で参加している学生にも優しい。そのため、周りも「ああ、実はわかったふりになっていたな」と気付かされることも多く、基礎的なところから勉強になる。
まとめ
ND3Mは先日3周年を迎え、現在4年目に突入しています。
建築情報学領域にどっぷりとつかり、自分たちの興味のあることをひたすら自由気ままに突き詰めてアウトプットするだけのコミュニティです。
この記事を書いている私もついこの間までは学生だったわけですが。
社会人になると、どうしても好きなことよりも「自らの属性」「どこに属しているか」などの話題やポジショニングトークをする人が周りにどうしても多くなってしまうような気がします。(別の建築系以外のコミュニティにいる感想)
そんな中で、「私はこれが好きで、最近こういうトピックにハマっているんです」「これに興味があるから一緒にやってみない?」と気軽に言えて、手を一緒に動かしてくれる人がいる環境ってとても大切だなと思います。
建築情報学なあなたも、そうじゃないあなたも、ちょろっとでもよいのでのぞいてみませんか。様々なコミュニティがあります。また自分で立ち上げてみるのも良いでしょう。
いつか、どこかで、コラボしましょう。
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