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にっぽんSAKE紀行 丹波篠山 note 64

羽田から伊丹へのフライト。前線の影響で飛行機が揺れて、飲み物のサービスは無し。短時間でも空港のラウンジでトマトジュースを飲んでおいてよかったです。

伊丹空港についてすぐ、案内所のお姉さんにJR伊丹行きのバスの時間を聞いたら、なんと1分後に発車予定。「もう間に合わないですよね」と聞いたら、お姉さんが「走れば間に合うかも、にっこり」と言ったので大慌てでバス停に向かいましたが、バスは目の前で出て行ってしまいました。orz


伊丹駅に向かうバス停、初めての乗車です。

もともと予定のバスは次の便だったので、焦ることなくバスを待ちます。JR伊丹行きのバスに乗ってはじめて伊丹空港の滑走路の下をくぐって、JR伊丹駅に到着しました。ここからJR宝塚線・福知山線で古市(ふるいち)に向かいます。


JR伊丹駅


伊丹駅の売店の日本酒品揃え

区間快速に乗って古市に到着しました。あいにく霧雨が降り出しましたが、この程度だったらokです。傘をさしながらてくてくと歩いていくと、ちょうど踏み切りの警報機が鳴りました。なかなかよさげな撮影スポットだったので、列車を待つと、特急列車の写真を撮ることができました。


JR古市駅


特急こうのとり

歩くこと。約15分で清酒秀月を醸す狩場一酒造に到着。こちらは1916年(大正5年)の創業だそう。。もう100年以上の歴史がある蔵ですね。


狩場一酒造

いろいろお酒が揃っている売店に入りました。新酒のラベルを見つけてひと口、利かせていただきました。おお、うまい。すっきりした中にふわっとした甘さがあって、これは楽しそうなお酒です。秀月 純米 しぼりたて生 を1本買って、これで日本酒蔵めぐり364軒目を達成しました。


狩場一酒造の直売店

蔵の裏手に回って、もう1枚写真を撮ってから帰ろうと思ったら、たまたま蔵の人とお会いすることができました。ご親切にも蔵の中を見せていただいて、色々とお話を伺うことができました。ラッキー。煙突に書かれた「亀甲藤醸造」はこの蔵の昔の名前だそう。蔵に歴史あり。


亀甲藤の名前が浮かぶ煙突

さてまた古市駅に戻って今度は各駅停車で篠山口に向かいます。


JR篠山口駅

丹波篠山口からバスに乗り換えて、城下町のほうに向かいます。どこで降りていいのかよくわからなかったのですが、多分ここだろうと思って降りる準備をすると、乗っていた他のお客さんたちもほとんどみんな降りてしまいました。ここが丹波篠山の城下町の中心地のようです。

バスを降りると、ちょうど目の前にお蕎麦屋の「ひいらぎや」がありました。お腹も空いてきたし、名物の皿そばも食べてみたかったので、お昼前のまだ空いている時間帯にお店に飛び込みました。いよいよそばが出てきました。ざるそばのおそばを小皿に持ったものと言ってしまえば、身も蓋もありませんが、こういう見栄えも大事ですね。何より嬉しかったのは、そばつゆがそば徳利にたっぷりと入っていたこと。そばつゆをしっかりつけたいタイプの私でも使い切れないほどです。カロリーを気にしているのでたくさんは食べられませんが、1皿1皿おそばの味を楽しみながらいただきました。


蕎麦 ひいらぎや


名物 皿そば

お腹も膨れたところでいよいよ街歩きのスタートです。どういう順番で回るか特に決めていなかったのですが、まずはお城のほうに向かおうと思いました。

まず目に入ったのが古い建物を活用したお土産所、大正ロマン館です。とてもレトロな感じでお土産の種類も多く、篠山の名物は一通り揃っている感じです。さすがに日本酒も充実しているのでここで買うオプションもありかなと思いました。


大正ロマン館


地元の物産やお土産がたくさん

お土産所を出て城跡に向かいます。丹波篠山城は、大阪夏の陣で豊臣方を滅ぼした徳川家康が西への守りの拠点として、1607年に築いたお城です。そういう意味では、比較的新しいお城ですね。
天守閣は作られず、政治行政を司った大書院がありましたが、火事で消失してしまいました。その後残っていた図面や写真を参考に再建されています。


篠山城大書院

受付で入場券を買おうとしたら、他の施設と共有の4館共通券がお得ですよと勧められたので、ものは試しと言うことで共通券を買ってみました。

大書院に入ると見事な甲冑のコレクションが並んでいます。もちろんオリジナルではありませんが、本物そっくりに再現されています。これらの甲冑や女性向けの袿(うちぎ)は写真用にレンタルして身に付けることができるそうです。そうそう着るチャンスはないと思うので、興味のある人はぜひ試してみてください。


ずらりと並んだ甲冑と見事な着物

大書院の中はかつての政(まつりごと)の様子がよくわかるように再現されていてとても勉強になりました。


大書院の上段の間、苦しゅうない、ちこう。。。

大書院を出て入場券に書いてある施設の配置を見て、お城の周りを反時計回りに回ることにしました。武家屋敷や美術館などいずれも見ごたえのある施設で半日かけてゆっくり見て回るのにちょうどいい感じです。

デカンショ館ではデカンショ節の由来のビデオを流していました。なぜ囃し言葉が「でかんしょ」になったのかはやはりよくわからないようです。よく言われているデカルト、カント、ショーペンハウエルについては、私は高校時代からデカルトとカントと来たら次はヘーゲルだろうと思っていたのですが、どうもこの説も怪しいようです。デカンショ節がポピュラーになったのは、丹波篠山の学生が館山の温泉旅館で旧制一高生と一緒になって、その時に一高生が口写しに覚えて、それからポピュラーになったそうです。デカンショ節と房総館山がつながっているとはちょっと驚きです。


デカンショ節

丹波杜氏の記念館にやってきました。日本酒作りの名匠を輩出したこの丹波の土地、冬場の働き手が流出することから、一度はお殿様から禁止されたそうですが、すぐに復活して数多くのおいしいお酒を各地で生み出しました。記念館では酒造りの道具や杜氏たちの活躍の様子が展示されています。「丹波杜氏が男の意気で、醸しだします、灘の酒、よーいよーいデッカンショ」


丹波杜氏酒造記念館

記念館を出てこの街のメインイベント、篠山のお酒を醸す鳳鳴酒造に足を運びました。ここでは蔵の一部が常時公開されているとの事なので、まずはそちらを見学します。一通り見て回った後お店に並んでいるお酒を試飲させてもらって、鳳鳴 純米吟醸をいただきました。実はこのお酒、家に帰ってから近所のお酒好きの方にプレゼントすることになり、私の口には入りませんでした。まぁ誰かが喜んで飲んでくれればそれでよしとしましょう。日本酒蔵めぐり365軒目に到達です。


鳳鳴酒造


蔵の中、古い佐瀬式搾り機と麹室


直売所、お酒の肴になる地元のものも揃っています

小雨が降ってきたので、慌てて予定よりも1本前のバスに乗って丹波篠山口駅に戻りました。駅の待合室でしばらく待って、途中で写真を撮った特急こうのとり18号大阪行きに乗ります。

切符は来るときに伊丹駅で指定特急券を買っておきました。しっかり座れるようにと奮発して指定券を取ったつもりだったのですが、なんと全車指定席だそうです。予定通りに行動できるときは指定席が安心ですけれども、何かの都合で予定が変更になると危ないですね。行程を組むときに、列車に間に合わなくなったり、列車が遅れたりするリスクを考えて予定を組まないといけません。


乗車券・指定席特急券

列車に乗ってぼんやり外を眺めていると、なんと田んぼにこうのとりがいました。とっさのことで撮影はできませんでしたけども、特急こうのとりに乗ってこうのとりを見ることができるなんてラッキーです。

列車はすいすいと山を下って宝塚駅に到着しました。結構雨が降っています。ここで降りて川向こうにある温泉、ナチュールスパ宝塚に向かいます。ここ宝塚にはずいぶん昔に出張の帰りに立ち寄って、手塚治虫記念館と温泉に漬かって帰った記憶があります


小雨の中、宝塚温泉に向かいます。駅から橋を渡ればすぐ

カウンターの人に「初めてですか」と聞かれたので、「いいえ、ずいぶん前に来たことがあります」と言ったら、「じゃあひょっとしたらシステムが変わってるかもしれませんね」と言うことで、施設の使い方を教えてもらいました。

お風呂は鉄分を含んだ少し茶色いお湯。これは結構疲れに効くので、私の好きなお湯です。体を洗ってちゃぽんと入ると1日の疲れや日ごろのストレスが少しずつ溶け出していくような気がします。私はもっぱらカラスの行水なのですが、なぜかこの日はいつまででもお湯に使っていられる気がしました。お風呂を出るとマッサージ機があったので、10分200円だったらまぁいいかと思って試してみましたが、これが結構効きます。空港のマッサージチェアは横目で眺めて素通りしていましたが、ちょっと癖になるかもしれません。


ウィルキンソン・タンサンは宝塚生まれ

宝塚駅に戻って、今度は阪急電車で蛍池に向かいます。蛍池の駅で降りてここで日本酒を飲んで飛行機の時間を待とうと思います。駅の近くにある居酒屋「和ZEN 蛍池」に飛び込みました。


和ZEN 蛍池

スナック風のお店で、皆さんビールやハイボールを飲んでいらっしゃるようですが、日本酒もなかなか優れものが並んでいます。こちらでは日本酒の雑賀 SPRING’S YELLと来福 純米 球春をいただきました。後から気がついたのですが、どちらも応援のお酒ですね。


その日の日本酒が掲げられています


もやしのニラ玉炒め、うまし!

お酒を二杯いただいて、ちょうど良い頃合いになったので、モノレールで伊丹空港に向かい、ぶじに羽田に帰りました。

丹波篠山と言うと、なんとなく山奥の雰囲気がありますが、アクセスはそれほど悪くなく、東京からでも気軽に日帰りができることがわかりました。ゆったりとした歴史が流れる街、丹波篠山、また機会があったらのんびりと過ごしてみたいです。

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