見出し画像

銚子電鉄を廃線にするとしたら、それは果たして良い結末を生むのだろうか問題。

こんなニュースがありました。

株主から、もう儲からんから煎餅を作る会社として専念しなさい、という提案が出たらしい。

まぁなんというか、視点が表向きの利益しか見てない話ではないかな?と。

さて、ここで一つの逸話を紹介したい。

昔あった米の某中堅自動車ブランド。このブランドには人気車種があった。それはクーペモデルの車で、当時としては非常に受け入れられたデザインであった。

ただ、「人気車種」と言っても、台数が売れたわけでもなく、しかも利益率的にも、同じラインナップの中のセダンモデルに及ばなかった。そしてクーペモデルに比して、セダンモデルのほうが圧倒的に台数が売れていたのだった。つまり、株主や役員たちからすると、利益・売上の観点からするとクーペモデルを廃止し、セダンモデルだけの販売に「選択と集中」したほうが良い、というわけである。

実際、のちにこのブランドからクーペモデルは消える。

そしてセダンモデルだけを売るようになった。

で、どうなったか。

売上の柱であったセダンモデルまで売れなくなった、という。

なぜか?

この凋落の背景には次のようなものらしい。

もともとこのブランドのターゲット層は、本当のところは「クーペモデルが欲しい」と思っていた。しかしながら、クーペだと家族を載せたり、荷物のキャパシティが少なかったりと、日常・ファミリー使いには不都合があったのだ。

そのため多くの購買者は、「本当はクーペモデルが欲しいけど、実用性を考えると、同じブランドのセダンモデルでいいかな」というように自分自身を納得させて、「セダンモデル」を買っていたのだという話である。

そのため、本来”魅力的”に映っていたクーペモデルが無くなると、それの後光を受けて売れていたセダンモデルも売れなくなった・・・ということらしい。

こうしたケースは実はそんなに珍しいものではない。

日本の大手の某自動車メーカーも、儲かる車ではないけれども、halo 後光を発揮させるために作っている車があったりする。「◎◎◎を出しているあのメーカーだから、別の◯◯◯を買っても安心」とか、そういうのを狙って、車のラインナップを揃えているケースもある。

こうした、”無形物”・”無形財”が影響を及ぼしている対象は、見かけ上はそれが単体で売れているように見えるかもしれないが、実際にはそうではない。

果たして、銚子鉄道が廃線になったとして、煎餅は魅力的に映るのだろうか? 銚子鉄道が現役だから、煎餅も売れるのではないか?

そのように考えると、簡単に「廃線」という選択肢をとってしまうのは、関連する他のビジネスのブランド力や買う理由の低下を招く恐れがあるので、注意をもって進めないといけない。

鉄道をやめて副業だけを残す案は「副業の売上高も激減する」と否定。「銚電は全国から支援を受けている。鉄道は(お金に置き換えられない)地域の広告塔であり情報発信基地でもある。あと1年の任期中、地域経済のために最大限の努力をしたい」と語った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?