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論理的思考のトレーニングに、やさしいズの『牛丼最強理論』は最適だと思う。

※サムネ画像は吉本の公式からお借りしました。

 まず最初に断っておきたいのは、ここに書いてるのはお笑いを理屈によって小難しくしようとかそういう話ではない。私の友人たちはよく知っているが、私自身、めちゃくちゃお笑い好きである。特にやすともジャルジャルは推しだし、よしもと新喜劇に至っては毎週ちゃんと録画している。今住んでる関東から、年に数回、NGK(なんばグランド花月)には行ってるし、きよっさんが今もピンで舞台で頑張ってるのを見て、毎回涙を流しそうになっているくらいだ。

 さて、お笑いというのは、論理的に話が進まない、誤った三段論法、誤った前提や飛躍etcや理不尽といったことで話が進むから面白いものだ。つまり、お笑いというのは、「論理的」に笑いを説明できたとしても、「論理的」だと笑いにはならないのだろう。

 で、吉本所属のやさしいズの人気作『牛丼最強理論』である。

公式で公開されていて、これを書いている時点で300万再生に達成しそうな勢いだ。

 で、このコント、「論理的に説明されていてすごい!」というふうにコメントがつけられていたり、ソーシャルメディアで紹介されていたりする。

 前述したように、論理的であれば面白くならない。このコントが本当に論理的であればこんなに面白いはずがないのだ。つまり、このコントは全くもって論理的でない。しかし、「論理的に説明されていてすごい!」というコメントが多いので、ますますこのコントに(別の観点での)面白さを感じた。

 そしてこの『牛丼最強理論』は、論理的思考の訓練するに最適な教材なのだと気づいた。

 このコントの中には”論理的に”考えると、数々の”誤謬”(=論理的な誤り・瑕疵)がある。それを間違い探しゲームみたいに探すというのは、論理的思考を理解するのに役立つ。

 繰り返しになるが、このコントに限らず、コントや漫才は、論理的に話が進まない、誤った三段論法、誤った前提や飛躍etcで出来てるから面白いわけで、普段は「そんなん論理的におかしいや〜〜〜ん」と思って見ることなんてない。そんなんつまらん。

 そのようにそもそもコントや漫才は「論理的でないもの」なのに、『牛丼最強理論』は「”論理的”に牛丼と寿司の価値を説明してるのが面白い」と言われているわけ。それはこのコントの話の展開が「論理的になされてる」と信じられているということでもある。ここが面白い。

 実際には論理的な展開はなされていない。しかし勢いで誤謬をわかりにくくしててる上手さがある。なので、「あれ?」と誤謬に気づくことをさせずに、そのまま「なるほど」とさせてしまわせるところが素晴らしい。

 それゆえに逆に、誤謬を探す、非論理的な話に騙されない、論理的思考を身につける、といったことに対するいいトレーニング素材になるように思う。

 えてして、論理的でない話というのは、論理とは別のところで相手になんとなくの”納得感”を与えてしまう。『牛丼最強理論』の場合は、勢い、喋り方のトーンetcといったもの(本来はそれらは”騙し”のテクニックにも匹敵する。押し売りや営業のテクニックやコーチング本の中でちょっとモラルのない方面の方が書いてるのはこのあたりの話だったりするし、普通に日常生活の中で論理的な話が展開できないケースで普通によく見られるものだ。)。

 で、『牛丼最強理論』は、本当に綺麗に”誤謬”を組み合わせ、それを勢いで続けていくという、「論理的に聞こえる」ストーリーとしてほんと上手いと思う。だからこそ「ここで論理的なジャンプが起きている」とか「飛躍がある」といったことを、一度、素で普通にお笑いとして見てもらってから、二度目の楽しみとして「論理的思考のトレーニング」として見ることをおすすめしたい。

 ちなみに、じゃあどこが論理的でないのか?そこがわからないという人たち向けには以下をおすすめしておきます。

 このNHKの高校講座『ロンリのちから』では、論理的思考の基礎が簡単に学べる非常に優良な教材です。特に「三段論法」「誤った前提・危険な飛躍」「逆さまのロンリ」「接続表現・ことばをつなぐ」「類比論法」「合意形成」「見せかけの根拠」「因果関係」「ニセモノの説得力」「横ならび論法」「ずれた反論」の回を見ると、それらが『牛丼最強理論』に詰まっていることがわかると思います。

 ぜひ上の2つ(やさしいズのコント+NHK高校講座)を使って、論理的思考のトレーニングをしてみることをおすすめします。

 そして普段お笑いに接するときには、論理的思考なんて難しいこと考えずに、ナンセンスをナンセンスとして楽しむことを、もちろん、おすすめいたします。

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