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小3の息子が博物館でスケッチしてたら咎められた・・・・・これでは博物館で子どもの好奇心を満たせないし教育ツールになりませんわ、って思った話

 他に書かなければいけない文章がたんまりあるのだけれども、今日起きたことだけはちゃんと書き留めておかないといけないと思ったので、ここに記す。

 本日、また『縄文展2021』(江戸東京博物館)に行ってきた。今回も前回訪れたときと同じく息子(小3)連れで。

 本当に素晴らしい展示で、普段は多摩センターの東京都埋蔵文化財センターに置かれているものも含め、東京(及び近隣)の”縄文”を知るのにこれ以上ないんじゃないか?という特別展。ぜひみんなに行ってほしい(このあとに書いたことにどう思ったとしても)。

 しかも普段は長野県茅野市の茅野市尖石縄文考古館に行かなければ合うことのできない「縄文のビーナス」が会期中の前半に、そして後半には「仮面の女神」が来るということで、「これは息子に両方見せるチャンス」と二度来訪となった(私はこの2体については2009年に東京国立博物館で開かれた『国宝 土偶展』以来)。

 以下余談ですが、「縄文のビーナス」と「仮面の女神」が "ドグーン”という正体不明のキャラクターとして出てくる以下の漫画にハマってることもあり、この2体が来ることには自分としても非常に興奮。

 しかも、私が好きな京都の和装系ブランド「SOU・SOU」が、”土偶柄”のシャツを先週販売スタートしたちょうどいいタイミングだったこともあり、せっかくなのでそれを着用して縄文・土偶モードで楽しもうと現地まで向かったわけです。

※着用するとこんな感じ。

 さて、今回これを書いているのは、それだけ気分良く、アゲた感じで展示を見ていたところ、最後の最後で非常に残念な思いをしたから。

 先にも少し書いたように、今回は同じ展覧会に二度目の来訪、なのに。

 最近、うちでは息子に「博物館ノート」というものを作らせ、博物館や美術館に行く際にはそのノートと”鉛筆”を持っていかせるようにしている。ただ展示されているものを見て回るだけでなく、気になったものをメモしたりスケッチしたりさせることでより好奇心が深まり、調べるという態度を培うことで始めさせてみた。また、息子の通う学校では自主学習や探求教育を推進していることもあり、いろいろな機会で自分が調べたこと・学んだことを発表する機会があるため、その準備にもちょうど良いので続けさせている。

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 加えて、インクを使うペンはなぜNGなのか、なぜ”鉛筆”しか持たせないのか、混雑したときはどうすべきかなど、博物館・美術館におけるマナーも教えることができるという社会生活に対する教育もできるというメリットもある。例えば、メモをとったり、スケッチしたりするときには人のいないところ、邪魔にならないところで、人が来たらその場を開けること、と。

※以下の写真は今回の1スナップ。ボード(こういうの)を忘れてしまったので、人の少ないタイミングで邪魔にならない瞬間にメモを取っていた瞬間。 

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 さて、前回一度目の『縄文2021展』で、展示されている土器や土偶をスケッチやメモをして、本人も縄文に非常に興味を持った模様で、特に「縄文のビーナス」を見てからは後期に展示される「仮面の女神」も見たい、と本人から言い出すくらい。

 で、今回二度目。息子が「仮面の女神」の前でスケッチを始めたところ、女性スタッフさんが駆け寄ってきて、「模写は禁止なんで」と言われ、その場でストップさせられてしまった。

※追記:全文を読んでもらえばわかるのですが、なかなか伝わってないようなのでここに追記入れておきます。「特別展なんて混雑してるんだからスケッチとかしてたら邪魔」というコメントを多数いただいてるけれど、「特別展=混んでいる」というわけではありません。そもそも当日は混雑してなかったし、スケッチをしていたエリアはそれ以上に混んでなかった。スケッチをしはじめたタイミングでは対象の土偶の周囲には入場者ゼロという状況。

 前回伺ったときには、「縄文のビーナス」をスケッチしていて何も咎められなかったが、今回は「模写禁止」と言われ、「あれ?」と。

※追記:全文を読んでもらえばわかるのですが、なかなか伝わってないようなのでここに追記入れておきます。「特別展なんて混雑してるんだからスケッチとかしてたら邪魔」というコメントを多数いただいてるけれど、「特別展=混んでいる」というわけではありません。そもそも当日は混雑してなかったし、スケッチをしていたエリアはそれ以上に混んでなかった。スケッチをしはじめたタイミングでは対象の土偶の周囲には入場者ゼロという状況。文中にも書いてますが、混んでいるようであれば子どもにスケッチをさせることはしてません。

 私自身、博物館・美術館好きで、海外に行った際は必ず現地の博物館・美術館を巡っており、どこの国でも老若男女関わらず、思い思いに展示物や展示作品をスケッチしているのを見かける。場所によっては椅子を準備して座ってスケッチしている人がいる場合もあるくらい。

 また子どもたちがそういうことをしてようものなら、周囲の大人たちがいい意味でほおって置かない。みんなで応援したり説明したりと、そういう風景を見てきた関係で、息子には「博物館ノート」を作らせたという経緯がある。

 自分自身も幼少期から、大阪の国立民族学博物館大阪市立自然史博物館、今はなき交通科学館といったところに、祖父に連れて行ってもらったり、また小学校の遠足で行ったりした経験が今に繋がっていると確信しており、博物館や美術館ほど、好奇心や探究心を育むところはないと今も信じている。

 それゆえに今回、小3の息子がスケッチしていて「模写禁止なんで」と咎められたのは非常に残念というか悔しい。日本の博物館は子どもの好奇心を摘むような場所なのか、と。しかも、江戸東京博物館のようなところが。

 ちなみに前回も事前に以下のページも見ていたが、ここには「模写禁止」の文字はない。

 そういったこともあり、「写真撮影禁止はわかるけど・・・」と不思議に思ったので、一言言いに来たスタッフさんに聞いてみると、

相手:「写真撮影と模写は禁止されてます」
こちら:「写真撮影はまだわかるけど模写はどうしてダメなの?どこに書いてあったの?」
相手:「入口付近に書いてあります」
こちら:「どこに!?」
相手:「入口の注意書きに書いてあります。基本的に特別展の展示物の模写は禁止なんです。」
こちら:「なるほど。では写真などは権利関係で理解できますけど、子供のスケッチレベルがダメなのはどうしてですか?先日伺ったときはスケッチしても咎められなかったんですけど(=前回訪れたときとルールが変わったのか?)」
相手:「他のお客様のご迷惑になる可能性がありますのでスケッチはお断りしてます。」
こちら:「じゃあ、前期で来たときに何も言われなかったのは?」
相手:「前ははっきりと行ってなかったのですが、11月から明確に模写も禁止になったのです。お客様のご意見は上にはあげておきます。」
こちら(「話が噛み合わないし整合性が合わないしこれ以上話しててもアカンな」)

という、これ以上聞いても話がちぐはぐにしかならないなぁ、と思ってその場で会話はストップ。それで一応入口の方にどのように書いてあるのかを確認してみた。

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 「あ、これかぁ・・・」

 カメラのイラストには目がいってたものの、「会場内での模写はできません」の一言がまったく目に入ってなかった。確かにこれでスケッチをしていたらルール違反だわ(でもね、これは気づかないと思うよ)。

 「模写禁止」を伝えてきた女性スタッフさんも、「前回は描けたんだけど」とこちらが伝えた際に、「その際は(模写禁止について)周知が行き届いていなかったのかと思います」と言っていたし、↑のボードの置かれていた受付スタッフに聞いたところ「少なくとも3年位前からはこれのままです」と。つまり特別展/企画展については基本的に「模写禁止」というルールを持っているのだということがわかった。

 一般的に特別展というのは、色んな所の収蔵品が集まってくることもあり、それぞれの収蔵先の権利が複雑に絡み合ってできているのは知っている。そのため、通常展と特別展・企画展とで扱いは違うのはわかる。しかしながら、「写真禁止」ならわかるが、「模写禁止」、しかも小学生がノートに書く程度のスケッチまで禁止というのは、果たしてそんなもんでいいのだろうか?と。

 つまり、特別展を主催している団体や博物館・美術館だけでなく、元の権利者含め、”学び”を阻害するようなルールについてクエスチョンを持っていないのか?という疑問・懸念が払拭できなくなった。

 もちろん、海外の博物館・美術館でも、例えばインクを使うものはダメだとか、もしもの時に展示物他に影響を与える行為は禁止されてるし、ちゃんとルールがある。そうしたNGな行為をしようものなら、めっちゃ怒られるだろう。しかしあちらでは、子供たち(のみならずだけど)が学んでいることを止めるようなことをしたり、そういうことに繋がるルールは見かけることはほぼなく、むしろ(先にも述べたような)サポートしてる姿はあちこちで見かける。

 日本の博物館や美術館も、子供向けのイベントを自分たちで企画してるのもよく知っている。しかしそうした“イベント”だけが子供たちの教育機会だと思ったら大間違いだろう。

 今回の場合だと、息子は、せっかく普段よく見る写真ではわからない部分を初めて見て、それらもスケッチしようとしていたのに、モチベーションだだ下がりだった。

 博物館の女性スタッフに「模写禁止」と言われたあと、

「ダメなんだ・・・」

とつぶやいて、”悪いこと”をしてしまったと本人が思ったせいなのか、自ら描き始めた絵を塗りつぶしてしまった。それが以下のページ。

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凄く、今回は残念な気分。というか悔しい。複雑。

子どもの教育にふさわしい場所で、こんなことが起きてしまうとは。自ら興味を持って描き始めたものに、自らこういうことをさせてしまうとは。

興味を持ってスケッチしはじめたのに、なんで子どもにこんな思いをさせなくちゃいけないのか。

親として、息子が自分自身で、自ら描き始めたものを鉛筆で消すのを見て、親として非常に複雑な気分になった。これまで色んなところに連れて行ってきたけれども、吐き気がしそうなぐらいにモヤモヤして、気持ちをどこにやったらいいかわからなくなったのは初めてだった。子どもの学びの気持ちを削ぐようなことを目の当たりにした気持ちの悪さ。それは本当にどうしようもない気分だった。

と。

 写真撮影禁止については、(もしもフラッシュを焚いてしまった場合の)作品の劣化を防ぐ目的や、権利問題(写真を用いて商売する人もいたりを防ぐ)ということもあるので理解できる。

 特別展・企画展については権利者が多数いるのでその関係で特に写真撮影がNGなのはわかる。こういうものを実施していただける苦労を想像し、本当に関係者には感謝をしたい。

しかしながら、

 鉛筆でのスケッチがなぜダメなのか

 しかも小学校3年生の子供のスケッチなぞ、教育的理由や興味関心・好奇心からでしかないわけで、それを削ぐようなことをするルールが理解できない。

 また、息子が当該展示物を観察しはじめたタイミングでは周辺には誰もおらず、観察して描き出してしばらくしてから人が数人集まってきたくらい。観察する人の邪魔にならないような位置で描くように教えてあったので、それを守らせていたのもあり、導線になる場所や他の人の鑑賞の邪魔になるような場所に立たせてはいなかった。にもかかわらず、一方的な”禁止”の一言が残念でならぬ。

 さて、この件について、Twitterで連投ツイートをしていたら、江戸東京博物館の公式アカウントからDMを頂いた。

 当該ツイートへのリプライ/メンションではなく、”DM”で送ってきた時点で、「これは表向きにしたくない話なのかな?」と訝しい感じがしたのだけれども、何よりもそのメッセージの内容を見て、「ああ、これは本質的にズレた話を送ってきている」ということに驚いた。

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 どうも博物館側は、

模写が禁止ということが説明不足だった

ということになっており、本質的に何を問題と考えているかが全く伝わってない印象。この点においても残念。

もし今回の件がキッカケとなり、

「今後は模写が禁止という案内を徹底します!」

という話が出てきたとしたら、もうそれは問題の本質を理解してないか、向き合っていないか、そういう話のように思う。

もう一度言う。

「模写禁止の案内が徹底されていなかったのに、模写禁止と言われた」

ということで怒っていると解釈されているのだとしたら大間違いだ。

上で、「残念」や「悔しい」という言葉を使ったのは、

本来、子どもの好奇心・探究心・学習というものを刺激し、育てるはずの博物館や美術館において、逆にそれらを”削ぐ”ような運営やルールがまかり通っていて、それらを不思議と思わないような対応がなされていること

にある。決して「ちゃんと禁止事項が書かれていなかった」ことに”怒り”をおぼえているわけではない。

もし、子どもがスケッチをしている際に、先の女性スタッフが言うように、「他のお客様の迷惑になる」のが禁止の理由なら、人が多いときには、

 「他の人も見やすいようにあけてあげてね」

とか、

 「ちょっと混んでるから、人が少なくなってからもう一度戻ってきて描いてもらえるかな」

といえば、「他のお客様の迷惑」にもならず、子どもの好奇心や探究心を削ぐこともないだろうし、上のように言われると、「他の人のことたちも考えないと」と子どもたち自身も考えるようになるはずなのだけどな。

頑張れ、日本の博物館・美術館!!

子どもたちの”学び”の芽を摘むな!


以上、本日江戸東京博物館で体験したことは、個人のイチ体験として終わらせていい話ではなく、社会的・文化的に大きな問題・課題なように思ったので、ちゃんと文章に記し、残しておく。



※1:「DMの内容をそのまま公開するのは良くないのではないか?」というご意見を頂戴しましたが、1) 相手が個人ではなく公的な団体である(例えば法人にはプライバシー権はない)、2) そもそもDMでの内容はこちらの関連ツイートに対するリプライ/メンションでも構わないような内容であり秘匿事項はない(=そもそもなぜにDMなのか?)、3) DMで送られてきた内容を当方が切り取って書くことこそ、むしろ適切に博物館側の主張を届けるものではないだろう、という3点を考えた上でDMのスクショというカタチで文中に挿入してあります。

※2: もともと上記内容は、facebook/Twitterで投稿していたものですが、友人・知人たちより、「これは非常に重要な提議である」という意見をもらったこともあり、やはり文章としてまとめておこうと決めました。つまり、私は、江戸東京博物館や館内のスタッフを貶める目的で書いたのではなく、本文中にも記述したとおりに、そうした団体や関わる人たちも、またその周囲の人々(観覧者含む)も含めた、社会文化的な課題・問題だというのが私の考えです。このあたりは誤解なきよう、よろしくおねがいします。

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