元車椅子バスケ日本代表PTが行う傷害予防のメディカルチェック<全文無料公開>
はじめまして!運動器7の火曜日を担当させていただくことになりました眞田 崇です。
現在は整形外科クリニックにて外来リハ、港区の介護予防事業、中学・高校生の部活動でコンディショニングを行なっております。主に「スポーツ理学療法」、「スポーツ現場で実際に行なっていること」をお話しさせていただきたいと思います。
また、これまで経験した車椅子バスケ男子日本代表、パラリンピックなどをテーマにした「障害者スポーツとの関わり方」をなども追々お話しできればと考えております。
1.傷害予防のメディカルチェック
現在、部活動に対して「傷害予防のメディカルチェック」というものを実施しています。これは、トレーナーの役割であるスポーツ外傷・傷害の予防という分野に当てはまります。また部活動では、トレーナー業務を行う上で指導者との協力が必要です。
指導者が自分の話しを聞いてくれなくて、やりたいことを理解してもらえなくて、などの話しを聞くことも珍しくありません。
しかし、トレーナーの存在意義、ケガに対する認識をこちら側から指導者の方へ理解していただく、また興味をもってもらう作業はとても重要だと考えております。
今回は、私が関わっているスポーツ現場で実際に起きていたこと、なぜメディカルチェックが必要なのか考えたことについてお話しさせていただきます。
<メディカルチェック項目>
1.問診 (現在気になっている部位、それに対して自身で行なっていること、既往歴、捻挫した回数、足のサイズ、シューズのチェックなど)
2.静的アライメントチェック
3.柔軟性チェック (体幹、股関節、足関節、足趾の動きなど)
4.動作チェック (スクワット、ランジ、スクワットジャンプ、ジャンプから180°ターンして着地など)
2.傷害予防をしたい!
と思った理由が、3年間という限られた部活をケガとの戦いで時間を費やしてしまう選手を実際にみてきたからです。ACL損傷再建術後のように復帰まで時間を必要とするケース、足関節捻挫やオーバーユースで復帰したものの再発を繰り返して、競技完全復帰までに時間がかかるケース。
選手からは
・ケガしてなければ、試合に出れたのに・・・
・ケガしなければ、スタメンになれたかもしれない・・・
・この大会出れないと、大学のスカウトからみてもらう機会が・・・
・進路に影響する・・・
などの声も聞いて、トレーナーの役割である傷害予防の必要性を強く感じました。
3.足関節捻挫とオーバーユースはスポーツ現場で軽視されている?
2016年まで車椅子バスケ競技に身を置いており、足関節捻挫、ジャンパーズ・ニーやランナーズ・ニーなどのオーバーユースとはほぼ無縁の競技にいました。部活動での仕事が始まる前に見学した際、「足関節捻挫やオーバーユースってこんなにいるのか!」
って、思ったくらい多かったです。
足関節捻挫とオーバーユースはセットの疾患ではありませんが、選手自身、指導者に軽視されているセットであると感じています。特に重症度の低い捻挫など、その傾向があるように実感しています。
以下、今もあるあるかもしれません。
①足関節捻挫やオーバーユースは、痛みが引いてプレーできそうなら選手が勝手に復帰
②医療機関を受診しても、痛みが引いてきたらやれる範囲で練習をみては言われる
③ドクターが練習ストップした方がいいと選手に伝えても、指導者が練習やってみたら?と言うと、選手はやらざる得なくなってしまう
(選手がスポーツ現場と医療機関との板挟みになってしまうようなこともあります)
ただ①~③は再発しなければ幸いですが、患部の痛みを指標にした炎症々状のみの判断になっています。足関節の機能が不十分なまま競技復帰すると患部、または他部位への影響が出るかもしれません。
またオーバーユースに関しては、
痛みがあっても練習をやれない程ではない
↓
そのまま練習をしてしまう
↓
いつの間にか強い痛みを訴え練習見学
↓
医療機関を受診
その状態で、医療機関を受診しても「疲労性のものだから今は休んで」と、当然言われると思います。ここは、少しの痛みが出た時に対応またはその前に対処できるかが課題となります。
帯同開始するにあたり、足関節捻挫とオーバーユースも踏まえた明確な復帰基準を指導者やドクターなどと相談し、対応できるようにしていくこともやっていく必要がありました。
※もちろん、指導者とトレーナーが連携し怪我に理解のある部活動もあり、競技完全復帰とそ の後のサポートまでリハビリを行う医療機関もあります。
4.選手の自己管理能力向上にも繋げたい
実際に部活動の帯同開始にあたり、できる限りケガをなくすことを考えて、傷害予防のために 何か をやらなきゃ変わらないな、と思いました。現在は、膝の傷害予防プログラムなどをチームで行うことが広まってきています。
私が帯同している部にも週3回トレーニングコーチが来て、チームで行う傷害予防プログラムもあります。
部員は約70名。バスケットボールという競技的には、部員が多いです。そこで、個々の状態を細かく把握するところから「メディカルチェック」を実施することになりました。
メディカルチェックの内容は主に、
1.門診
(現在気になる部位、そこに対して自身で行なっていること、既往歴、過去に捻挫した回数、足のサイズ、シューズのチェックなど)
2.姿勢チェック
3.柔軟性チェック
4.動作チェック
(スクワット、ランジ、スクワットジャンプ、ジャンプターンからの着地など)
です。
メディカルチェック実施後、個々の状態と既往歴を基に、チームのウォーミングアップの前に個々で傷害予防のために行うアップ、練習後に行うセルフケアの伝え取り組んでもらいます。
何より、トレーナーが常時練習にいるわけでないため選手個々の「自己管理能力の向上」が傷害予防へ繋がる狙いもあります。
次回、メディカルチェックの内容とみえてきた効果
運動器7の配信は毎日プレミアム記事にて配信
※運動器7では以下のような内容を配信予定です。
・慢性疼痛に対する理学療法(症例報告など) ・ハンドセラピーに対する理学療法
・スポーツ現場の理学療法士の役割
・自費サービスといて理学療法士に出来ること
・理学療法士によるトレーニング理論最前線
・運動器疾患に対する症例報告
・理学療法士、アスレチックトレーナーによるアスレチックリハビリテーションの実際
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などを配信予定。
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