インハウスエディターについて考える

ここ数年のことだと思います。インハウスエディターという言葉が急に出てきたのです。編集者の端くれであり、コーポレートの発信媒体に関わる身としてもじつに興味深い言葉でした。ただ、僕は忙しいんです…!

寝てない自慢でも何でもなく、本当に、とても忙しい。平時は「お忙しいところすみません」と声をかけられるわけで、その「気になる言葉」は頭の中で放っておかれました。

そして年の瀬。

少し早めに仕事を納め、業務に追われる毎日が終わると、やりたくてもやれないことに手を伸ばしたくなってきました。

さあ考えよう、インハウスエディターってなんだ?

まだ新しい言葉であり、多分に広く解釈可能で、これはきっと自分なりの定義を持ってもよさそうです。

社内の言葉すべてに責任を持つ

いま、僕が考えるインハウスエディターとは、「言葉でつなぐ人」という感じですね。

例えば、言葉で「組織」をつなぐ
例えば、「社内と社外」をつなぐ
例えば、「人とプロダクト」をつなぐ

ビジュアルやデザインがWEBの主役だった時代(これはひがみだ)はすでに終わり、コピーライティングや正しくそこにあるべき言葉を紡げるスキルが再び注目され始めています。

ただ、“つなぐ人”インハウスエディターに求められる領域は、そうしたプロダクトに関わる部分だけではありません。理想は、大げさに言えばおおよそ社内で発せられる言葉すべてに対しても責任を持つこと、だと思います。

たとえば皆が集まり、社長を始めとする経営陣が熱を帯びた声でメッセージを伝える機会は減りました。上司部下というミニマムな関係でも口頭のコミュニケーションも激減しています。いままで縦の関係で落としていた「企業の方向性や文化」を、いかに効率よく伝達するか。その部分において、テキストが担う割合が大きくなっているのです。

そういう意味で「社内で発せられる言葉すべてに対しても責任を持つ」は、インハウスエディターが強く意識すべきことのような気がしてきました。いわゆるマインドの部分ですね。

会社を「編集する」っていいじゃない

編集者は「編集する人」です。その対象はいままで紙であり、WEBでした。で、あればインハウスエディターは「会社を編集する人」ってことでもいいのではないでしょうか。会社を編集対象と考えると、情報の出し方や見せ方というものへの意識が一気に変わってくる気がしませんか。

そしてこの切り口、解釈って、いわゆる「ブランディング」につながりますよね。うわ、なんだかいろいろと一気に、バシーッとハマってきました。(自分の中で)

というのも、ここ最近考えていたことのひとつに、会社内でブランディングを専門にやるユニットを作りたいというものがあったんですよ。発端は、いまやっているコーポレートの発信媒体が社内での立ち位置があまり高くないこと。そうすると人をアサインしにくいんですよね……。

企画や執筆をして編集の腕を磨く場でもあるし、なにより会社の情報を発信する重要な仕事なのだからもっと責任持ってやるために、組織化して取り組めるといいなと思った次第です。

インハウスエディターはその組織を牽引する存在になれるのでは……?

というドリームが登場したところで今回は締めておくことにしましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?