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8月1日(木)メディア日記

 西脇亨輔(弁護士 前テレビ朝日法務部長)が朝刊を全紙紹介する「朝刊全部買ってみました」のコーナーは、連日、YouTubeで依然健在。1面以外にも各紙記事をよく読みこんでおり、早朝から毎日よく続いていると感心する。最近の1面見出しの多くはパリ五輪の日本人のメダルがほとんどだが、1日付けの各紙朝刊1面見出しはいずれも「日銀、0.25%に利上げ」。1日の日経平均は一時1300円超安となった。ところが、最近の西脇の朝刊紹介は全紙の1面の見出しを紹介した後、兵庫県知事の斎藤元彦のパワハラなどの疑惑を内部告発された問会見題を集中的に報じている。この問題については、東京のメディアが報じない詳細を神戸新聞、毎日放送、集英社オンライン、フラッシュなどネット情報を克明に解説している。神戸新聞の世論調査によると、斎藤兵庫県知事の支持率は15%。いまや斎藤元彦兵庫県知事問題は西脇亮輔のコーナーがもっとも詳しい。

 NHK朝の連続テレビ小説「虎に翼」で、関東大震災後に起きた朝鮮人虐殺を正面から触れた内容が登場し、正直びっくりした。7月30日の放送では、朝鮮籍の男性が被告人となった放火事件の裁判を巡って、関東大震災が俎上に上がった。「火のないところに煙は立たず」と男性の弟に疑いの目を向ける裁判官の入倉(岡部ひろき)に対し、上司にあたる航一(岡田将生)が、「朝鮮人が暴動を起こした」との流言により、かつて罪なき朝鮮人が大勢殺されたことを説明。「差別が生まれる理由はさまざまです。火のないところに煙は立たずで終わらせるのか、それとも、その煙をあげたのは誰なのかを見極めるのか」と語りかける場面が描かれた。ドラマとは言え NHKが朝鮮人虐殺という歴史的事実を直球で扱ったことを大いに評価したい。

 一方、関東大震災の朝鮮人犠牲者追悼式典の主催者が1日、小池百合子都知事に対して「追悼文を送るよう」を要請した。朝日新聞都内版がベタで小さく報じた。小池は2017年以降、それまですべての都知事が続けていた追悼文の送付を取りやめている。右派勢力の圧力に押されたものだという見方が強いが、日本社会の朝鮮人差別を正面から描くというNHKドラマの制作陣の覚悟を感じることに比べ、小池の器の小さい、主体性のなさはもっと責められるべきだ。

 トランプ前米大統領が、民主党のハリス副大統領について「インド系であるとアピールしていたのに突然、黒人になった」と発言し、これにハリス氏が反発するなど、人種的差別と波紋が広がっている。トランプ前大統領は7月31日、シカゴで黒人記者の団体が開いたイベントに出席し、記者から「ハリスは黒人女性だから大統領候補になれたと考えているか」と質問されたのに対し「彼女はインド系であることをアピールしていた」と指摘、「私は彼女が何年か前に黒人に転じるまで黒人だとは知らなかった。ずっとインド系だったのに突然、黒人になった」と述べた。これに対し、ハリス副大統領は31日夜、集会で「対立をあおり、無礼にふるまう、いつものやり方だ」と述べて強く反発した。米国のメディアではこうした人種問題をどうのように報じているのだろうか。日本メディアが報じるストレートニュースはわかるが、差別に関する米国内の報道の濃淡をもっと知りたいものだ。

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