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【レポート】産婦人科医に学ぶ『働くママの心と身体のセルフマネジメント術』-後編-トークセッション

オンラインピル診療サービス「mederi Pill(メデリピル)」を展開するmederiは、2023年5月31日、ママと家族のためのシェアオフィス「Maffice(マフィス)」を運営するオクシイ株式会社と共同で、育児と仕事の両立を目指す女性に向けた特別セミナー、産婦人科医に学ぶ『働くママの心と身体のセルフマネジメント術』を開催しました。

セミナーの後半では、登壇者3名による出産後の生理/PMSに関するお悩みトークセッションを実施。事前に募集した質問を中心に、モデレーターの坂梨が問いかけ、郡先生、高田氏双方の視点でQ&A形式で回答をいただきました。


登壇者

・オクシイ株式会社 髙田麻衣子

オクシイ株式会社 代表取締役
1999年大阪市立大学生活科学部を卒業後、株式会社スペースデザインにて仕入れ、販売、リーシングなど現場業務に従事。その後株式会社テイク&ギヴ・ニーズにて新卒・ウェディングプランナーの採用に携わったのち、トーセイ株式会社では、女性初の管理職として広報・IR、経営企画、マーケティング業務を経験。
組織内でのキャリアアップを目指す傍ら2人の育児を両立させることの大変さから「子育てにゆとりと笑顔を生み出す『新しい働きかた』を実現したい」と、2014年にオクシイ株式会社を設立し、保育付きシェアオフィス「マフィス」を立ち上げる。現在、都内・横浜に認可保育園1園と企業主導型保育園2施設と併設シェアオフィスを運営。ライフステージの転換期におけるワーキングペアレンツの様々な働き方を支援している。

・産婦人科医 郡詩織

メデリドクター
産婦人科専門医、がん治療認定医
山形大学医学部卒業後、東京医科歯科大学病院、総合病院土浦総合病院、青梅市立総合病院を経験。出産妊娠を機に働き方を見直して、現在は3人の子を育てながら、mederiにてオンラインのピル処方や、妊活サポート事業など幅広く事業に関わっている。

・mederi株式会社 坂梨亜里咲(モデレーター)

mederi 代表取締役
明治大学卒業後、ECコンサルティング会社を経て、女性向けwebメディアのディレクター、COO、代表取締役を経験。
自らの4年に渡る不妊治療経験からmederi株式会社を設立。オンラインピル診療サービス「mederi Pill」、妊活サポートプロダクト「mederi Baby」を展開。2021年より実業家・前澤友作氏が設立した前澤ファンドから出資を受けている。

1. 産後の生理について

坂梨:
まずは「産後しばらく生理が来ないのですが」という不安に対して。郡先生、通常は出産後どれぐらい生理が来ないのでしょうか?

郡先生:
授乳をしているかしていないかによっても大きく違います。授乳をしていない方ですと、早い方だと1ヶ月など、比較的早く戻ってくる傾向にあります。授乳をしている方ですと、授乳をしている間は生理が来ない方も多いです。(中には、授乳をしても生理が戻ってくる方も)
授乳をしていなくても生理が来ない方は、おそらく睡眠不足やストレスで生理がなかなか順調に戻ってきてない部分もありますので、半年以上授乳してないのに戻ってこないのであれば、一度産婦人科に相談に来ていただければと思います。

坂梨:
その時はどのような診察をしますか?

郡先生:
まずは子宮のエコーで子宮の状態卵巣の状態を確認して、今どんな状態で生理が来てないのかを診察してから、場合によってはその採血でホルモンの状態を見ることもあります。

坂梨 : 
高田社長は、産後、生理がしばらく来ませんでしたか?

高田氏:
私も1人目のときはちょうど1年間授乳をしており、その間は生理が来なかったですね。仕事復帰のタイミングで卒乳し、母乳育児を終わらせてそこから2、3ヶ月で来たかなという感じでした。
逆に2人目のときは、(東日本大震災が発生した時期で)ストレスや心配もありどんどん母乳が出なくなってしまい、母乳ではなく混合で育てました。そのため、下の子は早く生理が戻ってきたなっていう記憶です。

坂梨 : 
久しぶりの生理は感覚が産前よりも違うものですか?

郡先生:
私は産後、授乳していても生理が戻ってくるタイプでした。完全母乳なのに3人とも出産後2ヶ月ぐらいで生理が戻ってきて。私の場合は、年々産むごとに生理が軽くなるタイプでした。痛みも全く感じなくなって量も少なくなってくるし、周期が整ってくるようになりました。あまりいないと思いますが。

高田氏:
私は、出産前はわりと生理不順だったんですよ。来ない月もあるし、その前兆かのように不正出血があったり。そういう調子だったので、妊娠の計画も立てづらい感じでしたね。出産後は本当に周期も正しく来るようになって、こんなこと人生で初めてだなって思うぐらいコンスタントに4週〜30日のスパンで訪れるようになりました。

坂梨:
周りの方にいろいろ聞いていると「久しぶりの生理で重く感じる」という声もあったので、こんなポジティブな経験があると逆に楽しみになりそうですね。

2. 育児と仕事の両立について

坂梨:
続きまして「在宅勤務ができないため、時短勤務をしていても時間の余裕がなく、育児と仕事の両立を難しく感じています」という課題です。高田社長はどうでしたか?

高田氏:
難しいですよね。両方まじめにやりすぎなんじゃないかと個人的には思います。
育児と仕事の両方をやらなきゃいけないのに、それぞれ完璧なクオリティを目指しているとどうしても時間は足りないし、どんなに効率的にやろうと思ってもどんどん難しくなります。先ほどの郡先生のお話にもあったのですが、やはり完璧を目指さないことっていうのはすごく大事ですね。家事育児のところも手を抜けるところは手を抜く。

仕事も周りの理解の中で、どこまでの折り合いをつけるかというのは大事だと思います。時短勤務というとやはり圧倒的に提供できる時間が少ないです。そこで出せるパフォーマンスは以前と同じというわけにはいかないですよね。

育児をしてると「まさか」みたいなことって毎日起きますよね。子供の都合で呼び出されることが多いので、仕事に関しては少し暇な時間が作れるぐらいの段取りでできるようになると良いと思います。まさかが起きたときに、そこに自分のエネルギーを振り向けることができるので。なかなか難しいですが、それぐらい余白を持ってお仕事に向き合っていただけると、「こんなはずじゃなかったのに」というような自分に対するがっかりが少しで済むと思います。

坂梨:
郡先生は今実際に時短勤務をされていて育児と仕事の両立をされていますが、何か工夫している点はありますか?

郡先生:
私は、まず転職したのがすごく大きな出来事でした。ずっとフルタイムで働いて当直もしていたところを、なるべく時短で仕事ができるようなところにまず転職したんです。育児については、今は晩御飯にお惣菜も多いですし、朝もパン食べてて!みたいなことも多いです。「元気に笑って過ごしてればいいよね」という感じで手を抜きながらやっております。

坂梨:
何かリフレッシュの方法はありますか?

郡先生:
リフレッシュは、私は家族で出かけるのがすごく好きなので、土日に夫が休みのときとかはなるべく外に出かけていますね。

坂梨:
なるほど。おふたりとも働きながらもうまくリフレッシュされて工夫してやってきたんだなと伝わりました。

仕事と育児両立するためのコツとして参考までに以下をご紹介します。

先ほど郡先生が転職されたとおっしゃっていましたが、子育てしやすい職場・お仕事を選ぶこと
そして、1人で完璧にこなそうとしないことも大切です。子育て支援サービスを利用することで、保育園・学童保育を積極的に活用してみたり、厚生労働省が運営するファミリーサポートセンターの活用なども選択肢の一つとしてあります。

3. 気分を保つコツについて

坂梨:
続いて、「仕事と育児を両立するために気分を保つコツはありますか?」

高田氏:
「育児のストレスは仕事で解消して、仕事のストレスは育児で解消する」という時期が私にもありました。育児って会話の通じない相手との対話みたいなところがあるので、「自分の中でこういうペースで進めたい」「子供たちにも寄り添いたい」などいろいろなwantがあると、それがうまくいかない場合のイライラがストレスに繋がっていきます。逆に言うと仕事の時間は、「会話のつながる大人同士でこんなにコミュニケーションが簡単なんだ」と感じてリフレッシュしたことも。仕事でうまくいかないときには、保育園へお迎えに行って子供たちのかわいい顔を見てすごく1日頑張れた時期もありました。

ベースはそこにありますが、その上で1人の時間をうまく作ることも大切です。パートナーに預かってもらったり、マフィスみたいな一時預かりのサービスをうまく活用しながら、夫婦揃ってお互いにストレスのない形でお互いの時間を作るなど。夫婦の時間を作るっていうのもすごく大事で、子供がいるとどうしても子供を介した夫婦関係になってしまって、パートナーと2人でしっかり話をしたりとか、ゆっくり食事をする時間もなかったりするので、ちょっと子供を預けて2人でランチデートをするなど、大人時間もすごく大事だと思います。

坂梨:
仕事と育児のメリハリをポジティブに変換するということなのですね。郡先生は育児も仕事もされてると思うのですが、そういうメリハリが効いてるなと思う瞬間はありますか?

郡先生:
私は患者さんなどとお話するだけでも気持ちがリフレッシュすることもありました。でも帰って子供たちと遊ぶ時間ももちろん大切です。
高田さんのお話を聞いて、私は主人といつ喋ってるだろうと考えてみると、平日に喋る時間もあまりないんですよね。それこそお出かけするときに、うちは子供3人が後ろに並んでいて、大人は前に2人並ぶので、その時は2人で会話が成り立つのでずっと喋っています。お互いの近況報告じゃないですけど、お互い喋ることでストレス発散になっているなと思いましたね。

坂梨:
コミュニケーション自体がリフレッシュになるのですね。ありがとうございます。

4. 仕事仲間とのコミュニケーションについて

坂梨:
一方で、先ほどリフレッシュになっていた仲間とのコミュニケーションが難しいと思われてる方もいらっしゃるそうです。自分が子育てをしていることに周りが迷惑なんじゃないかと負い目を感じてるからこそこう思ったり、何か自分が持ってるタスクが遅くなってしまうと迷惑かけてしまったかなと思うのでしょうか。何かこのようなご経験はありますか?

高田氏:
あります。私の場合、少し特殊ですが、産後、最初に1年休んで復帰したときに、部署が変わったんですよね。そこのセクションの中間管理職的な立場で、部下が何人もいるところに配属されました。部下の子にしてみたら、突然やってきた育休明けの人みたいな感覚です。自分たちと違うペースで働いている中で、その環境の中に溶け込むのにすごく苦労しました。そのときはちょうど同じポジションの男性の同僚がいて、その彼が自分も子育てをしている環境の中で、いろいろな配慮をしてくれたお陰もあり、それでも半年ぐらいは難しさを感じながらもうまくあのチームをまとめていくことができました。やっぱり基本的には、仕事仲間・同僚がいたときは、皆さんに迷惑をかけてるというふうに思って、開き直った方がいいぐらい。だけど育児以外にもご自身のことや親御さんの事情があったり、次々やってくるわけですから、それはお互い様だし、順番だと思います。ただ、今この瞬間は周りに助けられているということに関して感謝の気持ちや謙虚な姿勢を持つこと。あとはなるべく自分1人で仕事を抱え込まないことも大事かなと思います。
突然、子供たちが熱を出して帰らなきゃいけなくなったというときに備えて、普段から仕事のタスクの順番をつけておくとか、なるべく締め切り間際までギリギリまで溜め込まないとか、誰かにお願いしやすい状況になるような仕事の進め方を心がけることも大切ですね。そうはいかないこともいっぱいあると思いますが。

坂梨:
自分で自分のキャパシティを把握して、周りに感謝と謙虚な気持ちを持ってるだけでもコミュニケーションがとりやすくなりそうですね。一方で郡先生の職種は外来に関して言うと、チームプレーよりも個人プレーに近いのかなと思うのですが、仕事仲間とのコミュニケーションに難しいなと感じるシーンはこれまでにありましたか?

郡先生:
私は、第一子を産んで復帰した時には「上司+私」の環境でした。なので緊急の時は、全員年上の先生だけなので安心して任せられるけど、すごく頼みづらかったです。また、その日が自分の患者さんの手術の日で他の先生に依頼するとなると、患者さんとしては「郡先生だからお願いしたのに」という部分も多く、葛藤したし大変でしたね。

いろいろやらなくてはいけないことも多かったですが、開き直って、「これはできるけどこれはできない」ということを主張するように途中から切り替えました。最初は「全部やらなきゃ」と、朝5時に起きて、夜は12時までやってアップアップだったのですが、持たなくなってしまって。子供が半年ぐらいになってから、「子供がいる上でこれはできない」ということを強く主張するようにして気持ちが少し楽になりましたね。

坂梨:
産後の自分のポジションが上司なのか部下なのかというところに難しさが違うんだなと感じました。ただ、自分のできることできないことをちゃんと把握して主張することが大事ですね。

先ほどお2人から教えていただいたように、自分のキャパシティを把握して主張することを心がけてみていただけたらと思います。

5. 旦那さんとの育児について

坂梨:
続きまして、「主人がなかなか手伝ってくれない」と。これは家事や育児のことだと思うのですが、どうでしょう? 郡先生のご主人は、手伝ってくれている印象なのですが。

郡先生:
初めは手伝ってくれませんでしたが、やってほしいことを提示制で伝えるようにしたら手伝ってくれるようになりましたね。

高田氏:
なかなか手伝ってくれないって感じている場合も、ご主人は手伝っているつもりなんじゃないかなと思うんですよね。私はけっこう手伝ってもらって、朝の保育園への送りは全部やってくれて、週末1日は私の自由な時間があるなど、すごくケアをしてくれました。だけどそれぐらいやってもらっていても、例えば、夜に残業があるときは私が犠牲にならなきゃいけなくて。何かお互いに、相手はこれだけやってるって思っているし、私はこれだけしかやってもらってないって思っているような認識のずれは間違いなくあります。その中でもやっぱり、「感謝の気持ちをちゃんと伝えて、協力してもらう」というようにしたいですね。

やはりお互い鏡みたいなものなので。本当に育児をやらない方もいらっしゃるんだとは思うのですが、やらない方はその方なりに「育児が忙しいから早く帰ったら迷惑だろうな」と思って遅く帰ってくるとか、実は気遣いや心配りをしている可能性もあるかもしれません。まずは話し合ったり、やってほしいことを素直に伝えるとか、ちょっとやってくれたことにも感謝の気持ちを伝えることですね。何で夫を褒めて育てるみたいなことまで私がやらなきゃいけないのかという気持ちになっちゃうかもしれないですが、その回り道をするだけであとで圧倒的に楽になる可能性は高いです。

坂梨:
「してほしいこと」を言語化することですね。パートナーや男性に伝えるポイントとして2人からお話がありましたが、「これとこれとこれの中で何できる?」とか明確に伝えてみる。そして、パパのやり方を否定せずに任せてみる。早めに伝えること、感謝の気持ちを伝えることも大切ですね。

6. 育児や仕事の相談相手について

坂梨:
続いて「育児や仕事のことを誰に相談したらいいのかわかりません」というご質問ですが、どうでしょう。

高田氏:
私の場合、育児はまず母親でした。その時代で育児のスタイルはもちろん違うし、必ずしも求めている正解があるかどうかわからないですけども、まず悩んだときに母親の場合は、その悩みに対する共感をしてくれるので、それだけで一旦気持ちが軽くなるという部分がありました。その上で、当時母が乗り越えてきた話で解決できることも。第一子を産みたての頃だとママ友すらいないですからね。

保育園に入ってからは保育園の先生に気になる様子を伝えてみたりすると、親身になって答えてくれることもありましたね。

仕事のことは上司でしたね。悩みの内容にもよりますが、例えばキャリアパスの話なのか、目の前にある仕事でスタックしてるような内容なのかによって相談する人は変わってくると思います。共感してもらうのだったら仕事をしている女友達でいいと思いますし、解決したいのであれば、上司とか信頼おける近しい仕事仲間だったなと私は思っています。

郡先生:
仕事も育児のことも女友達に話しを聞いてもらい、共感してもらっていました。話すことで自分の考えがまとまっていきました。

坂梨:
共感されたいのか解決したいのかで相談相手が変わってくるということですね。参考までに、このような相談できる場所もありますので共有させていただきます。

坂梨:では最後に一言ずつ、高田社長と郡先生からこれから、出産後頑張って育児と仕事を両立されたい方に向けてメッセージをお願いできたらと思います。

高田氏:
先ほどお話の中でも頑張りすぎたら続かないという話を郡先生からも私からもお話をしたかと思うのですが、子育ては短距離走じゃなくてフルマラソンみたいなもので。その時調子のいいときもあれば疲れてどうしようもなくなるときもあると思うので、自分のペース配分をうまく保ちながら長く楽しんでもらいたいなと思っています。頑張ってください。

郡先生:
女性の身体は先ほど申し上げた通り産後ホルモンのバランス変動すごく大きくてですね自分の力だけではどうにもならない部分もすごく大きいので、そこはもうホルモンのせいだと割り切っていただいて、何かありましたら気軽に産婦人科医にも相談していただきたいです。助産師、保健師、その他にも行政のサービスももちろんありますので、1人で気負わずに気軽に相談できしていただければと思います。

mederiでは、今後もすべての女性が生きやすい社会の実現を目指して、低用量ピルを含めたさまざまな選択肢を知っていただけるよう、あらゆるライフステージの方へ向けたセミナーや勉強会を実施してまいります。

前編はこちら
【レポート】産婦人科医に学ぶ『働くママの心と身体のセルフマネジメント術』-前編-



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