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承認取得

この製薬、医療機器業界に係わって35年になるが、当初「臨床開発部」という部署に配属されたときの上司から、定年までに1つでも承認されればいい方だと言われた。
ただ、新人で入った会社は欧州の巨大化学メーカー傘下の製薬会社と日本の大手製薬会社の合弁企業であったため、当時のパイプラインは欧州のものと日本の親会社のお裾分けだった。
入社して、当時花形であった「循環器系」や「経口避妊薬」の部署ではなく、「その他」という部署で精神科や麻酔科の医薬品開発を担当していた。
臨床開発部長は、親会社から循環器病薬の開発のためにやってきたいわゆる天下りの方で、「その他」のパイプラインには全く興味が無く、その分のびのび開発出来たのかもしれない。
話は戻って、最初に担当したプロジェクトは、抗うつ剤の剤形と用法用量の変更でいわゆる一変と言われるもの。その中で私はbioequivalenceと呼ばれる同等性試験を担当した。
同等性試験は、10mg錠剤を1日3回飲むのと30mg錠剤を1日1回飲むのでは、効果や血中の薬物濃度が同じであるということを検証する試験で、学生時代に専門だった統計が役に立った。会社の計らいで親会社の分布代謝研究部門のベテランの方の指導も受けられ、幸運なことに同等性検証の基礎を学んだ。おかげで、私にとって第一個目の承認を取得することが出来た。
その後、この会社では骨格筋弛緩剤の剤形変更の承認取得、新規物質の立ち上げも経験した。
米国の会社に転職後は、ボツリヌス毒素製剤のオーファンドラッグ開発、申請を行い、3つの適応を取得できた。
そして、昨日、医療機器として申請していたものが承認されたと連絡があり、関係する方々の協力に感謝するとともに、悪くない気分である。