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『ピカソとその時代』展に行ってきた感想とピカソの天才っぷり


ピカソ展!

絶賛開催中のピカソ展に行ってきました!
ピカソの絵をたっぷりと見れる大迫力の展示会で大満足です!!
『恋人が変わるたびに絵柄が変わる』と言われるのも納得の、多彩な変遷っぷりを順々に味わっていくことができました!

ピカソと言えば世間的には『ゲルニカ』でしょうか。
私のような駆け出し美術ファンには『アヴィニョンの娘たち』でしょうか。
私はピカソと言ったら仮面彫刻!のイメージが強かったです。

彼の変遷をものすごくザックリ言うと、天才少年時代→仮面彫刻や民族彫刻に魅了された造形的な時期→キュビスム期→再び有機的な静物画へ、といった流れでしょうか。

いずれにせよ一つ確かなことは、どの時代でも、どの描き方でも、彼は圧倒的に天才的な表現者であるということです。

第二章では『アヴィニョンの娘たち』のための習作が展示されていました。
特徴的なアーモンド型の瞳、掘り出したような眉や鼻が迫力満点です。
この頃からピカソは目と鼻という人体パーツの魅力に目覚めていたのではないかと思ってしまいます。

個人的に、ピカソは目と鼻と足にフェティシズムを持っているのではないかと思う時があります。

キュビスムの手法では対象が多視点から観察されることにより多面的に描かれますが、画面中でより多面性を増している部分こそが、彼がより情熱を注いでる部位なのではないかと思います。
目と鼻が情熱的に何度も何度も様々な方向から描かれ、その一方で、やけに現実に則した足の描き方にとても惹きつけられます。

妙に解剖学的というか、足だけが本物の足のように感じるのです。

『大きな横たわる裸婦』
足は腕よりも比較的写実的に描かれていることが多い気がします。

ピカソが描く『脚』にも注目してみてほしいです!

今回の展示の中で私が一番好きなのは『ミノタウロマキア』です!

『ミノタウロマキア』

一枚の絵から漂う異様な雰囲気、圧倒的な世界観。
なにより凝縮されきった画面の『圧』がすごい!!好きです!!

ミノタウロスの密度と女性のはだけた胸元の白さの対比が絶妙に美しい!!

もちろんピカソの女性像もたくさん展示されていました!

入り口で出迎えてくれた『黄色いセーター』の美女!

このように、各時代の絵を一堂に展示していただける機会はかなり貴重でありがたいことだな~と思いました。とても同一人物が描いたとは思えないほどの変遷っぷりも含めて、彼の才能と魅力の一つだと思います。
しかし、順にみているとやっぱりどの絵もすべからく『画家ピカソの絵』だと納得させられるんですよね。

本当にすごい!

特に、一つの絵の中で「ここは彫刻的に、ここはキュビスム的に、ここは古典っぽく描いてこっちは写実的に!」といった風に、各パーツを彼が一番描きたい方法で描いていて、なおかつそれが実現可能であるというところに彼の才能の底知れなさを感じました。

表現力のモンスターだな、と。

マティス、ジャコメッティの作品もたくさん展示されていました!

大好き!ジャコメッティ!!!
この「ゆらぎ感」がくせになる!マティス!

他にも描ききれないほど魅力たっぷりの展示会でした!
ジャコメッティは巨匠の絵を模写することを日課にしていたそうです。
ピカソも同様のことをしていました。
偉大なものを批判し、分析し、それを再構築して自身の血肉とする行為が、己をさらに高めていくのですね。

あらゆるものを自分の糧にしようと無限に貪欲になれることこそ、彼らの才能なのかなとも思いました。

そういえば、「色彩の魔術師」かつフォーヴィズムの父ことアンリ・マティスは十二指腸癌の手術をされたそうですね。知りませんでした。
この時代の診断と治療ってどんな感じなんですかね、しかも十二指腸。ちょっと興味があります。

絵画におけるカンバスは現実世界と絵画の世界をつなぐ『窓』であり、「古典的にはカンバスの奥を表現」することにより連続性が持たされています。
しかし、「ピカソとブラックは逆にカンバスを意識させた」そうです。

すでに構築されきった殻を破る、それどころかひびを入れることですら容易ではないと、現代の我々はいやというほど理解しています。

もう出し尽くされ、考えつくされたと世間が思っている表現の殻を、見事に粉砕してみせたピカソとブラックの、「新たな表現」に対する執念を、そして才能を、思い知らされました。

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