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入れ替わる相場のリーダー。合言葉は”米国テック&ディフェンシブ”。昨年6~8月を復習しよう

 SVB事件が起きた3/9。この日を境に相場つきが変わりました。
何が変わったかというと、物色される銘柄が変わってきたのです。
所謂セクターローテーションですね。
”弱気相場が終わりそう”という前回の投稿をご覧になっていない方は、
 まずそちらをご覧いただくと理解が深まります。

 まだ初動ですので確証はありませんが、今回のトレンドを一言で表すと、
テック&ディフェンシブ (プロデュース by U.S.)
です。
まるでどこぞのバンド名かお笑いコンビのようですね。

転換点はSVB。どんな業種が物色されるようになったか?

 業種別指数を使用してセクターローテーションを分析していきます。
※IBD(Investers Business Daily)での分析手法に代表されるように、
 強い銘柄というのは業種から生まれます。セクターでは粒度が荒すぎて
 リーダーグループを把握できないので、業種をベースとします。

 まずは、以下をご覧ください。
ダウ業種別指数104種のうち、直近で弱気相場を尻目に上昇を始めた業種です。
SVB事件が起きた3/9以降のチャートに注目してください。

SVB事件以降、他に先駆けて上昇した業種

 傾向としては、輸送株を除きテック系やディフェンシブ系が軒を連ねています。他は採掘やゴールドなど貴金属系でしょうか。
シンプルなロジックですが、テックは金利下落恩恵、ディフェンシブと貴金属系はリセッションが影響していると考えられます。

昨年6~8月と同じ景色。改めて復習しよう

 テック&ディフェンシブ。
この相場、どこかで見たことがありませんか?
そうです、昨年の夏ですね。
昨年6月にアメリカのテクノロジー業界がレイオフを発表し、"リセッションが来たぞ"と話題になったことは記憶に新しいです。
当時のチャートを見てみましょう。少し大づかみにETFでご紹介しますね。

2022/6~8にかけてのテック・ディフェンシブのチャート
※ゴールドはあまり反応していなかったので割愛

なんでGAFAがいいの?問題

 GAFAは1相場つけた後なのに、なんで上昇してるの?という疑問を持つ方は多いと思います。
私も昨年6月は不思議でしょうがありませんでした。
1つはやはり金利の低下でしょう。そしてもう一つは安全資産としてのGAFAの価値です。
 コロナ相場の時、”GAFAは債券”という言葉が流行りました。
金融不安・リセッションが迫った今、財務が安定し潰れないという理由から、とりあえずの逃避先として時価総額の大きなGAFAに資金が集中しているのだと思います。

 そして必ず念頭に置いておきたいのが、これは2,3か月の短中期での話だということです。
5年10年の長期で見た場合、成長の芽が見つからなければ、GAFAの株価上昇はゆっくりしたものになるでしょう。

 GAFA以外の小型テックにも動きが見られますが、こちらは金利一択なのかなと思います。
その上で、ちゃんと成長しているものがチョイスされているのでしょう。
昨年6月から8月にかけてソーラー銘柄が物色された理由に近いと思います。

で、国は?

 アメリカです。以下のチャートをご覧ください。

SVB事件前後の先進国チャート比較

 冒頭で3/9のSVB事件を境に物色される銘柄が変わってきたことはお伝えしましたが、それは国単位でも同じでした。
2月中旬からのインフレが意識された弱気相場では、欧州は無風でした。
ところが、3/9以降は一転して欧州が弱くなり、反対にアメリカが底堅くなってきたのです。

 これにはリセッションが関係していると考えています。
以前はインフレ懸念が注目材料で、リセッションはいつか訪れる未来の出来事でした。
リセッションなしノーランディングという話題も出ていましたね。
だからこそ、PERが高く成長のないアメリカよりも、成長なくても低PERの欧州が好まれる側面もあったと思います。
(この辺りは昨年12月の投稿でも触れています。)
もしSVB、クレディスイスのニュースが出なかったなら、今も欧州は米国をアウトパフォームしていたと思います。
 ですが、リセッションは今現実のものとなりました。
資産はより安全な方へと向かい始めたのでしょう。
世界で最も安全な国、それがアメリカということなのだと想像しています。
(恐らく、新興国も欧州同様少しの間米国に劣後すると思います。)

米国以外の株売り米国債券買いの景色

 アメリカへマネーが逆流する流れとしてもう一つ参考となる情報をご紹介します。
ここ最近の欧州指数の値動きは奇妙でした。アジア市場が引ける15:00に下落し始め、ヨーロッパ市場が閉じる1:00に上昇が始まる。

欧州時間のユーロ50と米国債の相関性

 そしてこの時の米国10年債利回りはというと、下落している。そして欧州市場が閉まると上昇している。
つまり、欧州株が売られて米国債が買われているのだと推測できます。
世界で最も安全な資産、それが米国債。よりディフェンシブな資産へとマネーが流れていることの裏付けとして捉えることができます。

この相場はいつまで続くか?

 向こう2~3か月だと思います。
前回6~8月の時もハイテク・ディフェンシブ相場は2か月程度でしたので、今回も同じくらいかなと見ています。

 相場の最小単位が3か月だと考えているということも大きな理由です。
3・4月強気、5・6月少し弱気、7・8月強気。9月弱気。
10・11月強気、12月少し弱気、1月強気、2月弱気。

といった具合に、2か月上げて1ヶ月下げるの3か月ループとなっているように感じるからです。

 この3か月を最小単位としてリーダーグループが入れ替わるので、今から5月半ばくらいまではこの調子が続くと思っています。
それ以上リーダーグループの強気が続くかどうかについては5,6月の調整後に再び資金が流入するかなのではないでしょうか。

 次回は、それぞれの業種で良さそうな個別銘柄をご紹介します。
(あまり重要な内容ではないですし、こちらは定期マガジン限定とする予定です。)

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