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'23Q3 調整相場を俯瞰する ~長期化する金利高止まり懸念~

 8月初旬から始まった調整相場も、そろそろ2か月に差し掛かろうとしています。今回は、この調整相場を俯瞰しながら今後の展開を考えていきたいと思います。

'23Q3の調整局面と各種イベントの関係性

織り込みすぎた景気後退。織り込みすぎた利下げ前倒し

 今回の調整の起点となったのは、7月のFOMCでした。
FOMC後の記者会見で、パウエル議長は、経済が強いこと、ソフトランディングに自信を持っていることを明言しました。
加えて、うろ覚えのため確証はないのですが、記者会見後の「次の利下げはいつですか?」という質問に対し、2025年になるかもという旨の発言をしていたと記憶しています。
この日を境に次回利下げ織り込みを前倒ししすぎたマーケットの急激な戻しが始まりました。
 その後、2日程度は多少の戻しがあったものの、8/1(火)のフィッチレーティングによる米国債の格下げ報道により本格的な下落を開始します。

 その後、8月中旬に向けてS&P500はずるずると値を下げていきます。8/15(火)にフィッチレーティングが米銀行のレーティングの引き下げの可能性があることを警告すると、再び鋭い下落を開始しました。

フィッチはノイズ。重要イベントに向けて値を戻す

 フィッチの報道で垂直的に下げた後は、少しずつじりじりと相場は上昇を始めます。
 8/23(水)はマーケットで最も注目されている銘柄のNVIDIAの決算がありましたが、この日も相場は下落しました。
4,5月のQ2決算の時は、大型ハイテク株決算の時には、前日までは警戒感で下落するものの、当日結果が出るとカバーで上昇する展開でした。
今回は真逆の反応です。相場の弱さを示す結果となりました。
 そして迎えた9/1(金)の雇用統計。失業率は予想3.5%に対し3.8%。平均時給も0.3%に対して0.2%。FRBの危惧する賃金インフレに反するポジティブサプライズとなりました。
しかし、このポジティブサプライズに対する反応は芳しくなく、市場は依然弱さを示すこととなります。

足元で広がるエネルギーインフレ

 雇用統計を通過し、レイバーデーが明けた9/5(火)、サウジアラビアが石油生産を2023年末まで3か月延長することが報道されました。原油価格は直近のレンジを上抜けて上昇を開始します。
これを受けてジャクソンホールがノーサプライズ、雇用統計がポジティブでいったんの落ち着きを見せていた相場も再び下落を開始します。

 そして9/13(水)。注目のCPIです。
結果はCPI自体はエネルギー価格の上昇で市場予想を上回ったものの、コアは市場予想通り、しっかりと鈍化を示す内容となりました。総じてノーサプライズでしたが、ポジティブな内容といえます。

 しかしながら、CPI後は安心感からか少し戻したものの、9/15(金)は大きく下落しまだまだ相場は重いことを示唆しています。

総括

 7月FOMCを起点として金利高止まり長期化がマーケットコンセンサスとなり、調整が進んできました。
 そして、ジャクソンホール会談から雇用統計~CPIまでの間、イベント前調整の戻しとして、上昇する展開となりました。
 そんな中、サウジアラビアの減産報道を機にエネルギー価格が急上昇し、相場の重しとなってきています。足元では原油価格が上昇を続けており、今後マーケットの注目点がコアCPIからCPI本体に移っていく可能性も考えられます。

 今後は、まずは今週のFOMC後の相場の反応、ヘッドラインに注目したいところです。ノーサプライズな内容ならFOMC自体もあまり注目に値しないと思っています。
 経済が強いことによる金利高止まり長期化の材料も、もう2か月になりますので、相場としてはやや材料難にも感じます。

今後の展開としては、以下の2点を想定しています。
 ・現在のエネルギー価格上昇が新たな材料として注目される
 ・フィッチレーティングスがノイズニュースを発して、最後の急下落。
  その後相場の上昇が再開する。

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