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アメリカ株式劇場炎上 ~誰が非常口から逃げ出したのか~

 3/9(木)、SVBファイナンシャル・グループの巨額損失から取り付け騒ぎが起きました。
ついに金融不安が、リセッションがやってきた。とマーケットは話題で持ちきりとなっています。アメリカ株式劇場の炎上が始まり、債券は買われ、金利の低下に伴ってドルからも資金流出が始まりました。

 私は、修羅場ではあらゆる流れがヴィヴィッドに出ると考えています。
火事場から財産を持って逃げ出す時に、足跡を消す人はいないからです。
そんなことをしていたら、焼け死んでしまいますね。😨

 こんな時は自分も劇場の外に一目散に逃げないといけませんが、身の安全が確保できたなら、劇場の前に陣取って誰が非常口から出てくるのか観察したいところです。
炎上現場の報道はメディアがしてくれますが、逃げていく人はニュースにならないので自分の目で確かめることが大事だと思っています。

アメリカ株式劇場に火が放たれた日

 まずはこちらをご覧ください。

ドルインデックスの値動き

 炎上の現場となったドルインデックスの、日・週・月・年でのパフォーマンスを表した表です。3/10(金)に取得したデータですが、SVBファイナンシャル報道の翌日、しばらく上昇傾向にあったドルが下落したことが分かります。

DXY(ドルインデックス)のチャート

 DXYのチャートを見ても、3/9から下落に転じていますね。つまりこの日が流れが変わる転換点となったと判断できます。

逃げ出した人たち

 次に以下の表をご覧ください。

SVBショックを受けて急激に通貨高となった国

 対米ドルで各通貨の値動きを示しています。
YoYで+,Monthlyで+,Dailyは-(SVBショック翌日の3/10)という条件でスクリーニングしています。(加えてYoYからWeeklyまで+の勢いが徐々に衰えていっている条件も入れています。)
これを言語化すると、年単位ではアメリカの利上げに伴って通貨価値が下落していて、インフレ再燃が叫ばれた直近2・3月も下落、そしてSVBショックを受けて急激に巻き戻しがスタートした通貨という条件です。
 表を見ていただければ、weeklyまでドル強だったのが、いきなり反転していることが分かると思います。

 また、巻き戻しが急激なものの順に並べ替えています。
アメリカ劇場から逃げ出した人(財産)の逃避先ランキングとして活用することができます。

逃避先の国々の特徴は

 参考情報として政策金利を載せていますが、とりわけ金利の高い通貨に資金が流れているというわけではなさそうです。
10年債利回りの3/10(金)単日での変化を見たところ、それなりの%で下落している国もありますので、逃避した資金は債権に流れている傾向が見て取れます。

政策金利と、3/10(金)単日での10年債利回りの値動き

 逃避先の国としては、比較的財務の安定した先進国~新興国が多いですね。途上国も見られますが、一覧表の上位には少ない印象です。
これらが、今まで母国を離れてアメリカに投資していたマネーなのだと考えています。

通貨ペアのチャートパターンを把握する

 これらの国々の通貨のチャートはおおむね2つのパターンに分類することができます。

グループ1
 まず1つ目は財政の健全な先進国に多いパターン。
↓のユーロに代表されるような形です。

USDEUR

 昨年10月までは通貨が安く、10月以降はインフレ低下期待を受けて上昇し、今年に入ってから再びインフレ懸念で下落し始めたパターンです。
既に通貨高トレンドに入っているグループです。

グループ2
 2つ目は↓のインドのようなチャートのパターンです。

USDINR

 10月~現在の間で下げ止まっているものの、通貨高トレンドはまだ始まっていないグループです。
新興国やインフレ率の高い途上国に多い形です。

投資機会は?

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