![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/126111843/rectangle_large_type_2_236e7d7632708cb51e4f0353397d812c.png?width=800)
~デフォルトを回避せよ~ IMF頼みのパキスタン
以下はパキスタンの代表的な株式指数、カラチ100のチャートです。
本年7月より力強い上昇を続けていますが、8月以降の米国株調整局面においても、わずかな調整に収まり、10月以降はぐんぐんと値を伸ばしています。
![](https://assets.st-note.com/img/1703943356893-VJJbajvJc8.png)
さらに長い時間軸(週足)でチャートを確認してみましょう。
![](https://assets.st-note.com/img/1703943395513-IHmnF7FE1M.png)
2021年中ごろより調整を開始していますが、2023年初に下げ止まっています。その後長いことレンジ相場が続いていましたが、今年の7月を境に上昇に転じ、一直線に上昇する形となっています。
これにはどういった背景があるのか。確認していきましょう。
2021年より始まった債務危機
![](https://assets.st-note.com/img/1703943647895-Vcb87zsX8P.png?width=800)
世界のインフレが加速する中、パキスタンの外貨準備高は21年半ばより減少してきていました。そして一時的に輸入額の1か月分以下まで減少する状況となってしまいます。
(※一般的には輸入額の3か月分が健全な財政と言われています。)
パキスタンもスリランカのようにデフォルトになるのではないか。ニュースではそういった話題が取りざたされるようになりました。
このような流れを受けて、株価が軟調に推移していたのだと思います。
その株価がなぜ突然上昇に転じたのか?
シンプルにデフォルトを回避できる可能性が高まったのです。IMFは6/29、今後9カ月にわたり30億ドルの追加融資を行う取り決めをパキスタン政府と合意したことを発表しました。
![](https://assets.st-note.com/img/1703944028441-Ble8Yd6coT.png)
これを受け、同国の株価指数は窓を開けて6%近く上昇しました。
その後も下値を割ることなく推移した点からみても、債務問題が材料として売られていた、そして財政再建が材料として買われている。
これがルールとみて間違いなさそうです。
一言でいうとデフォルト回避ゲーなのです。
尚、このIMFの融資には条件があります。
現在、パキスタンは暫定政権で運営されていますが、IMFはこの政権とは新融資プログラムの交渉はしないと明言しています。パキスタンは近々総選挙を予定していますが、ここで新政府が樹立することが必須なのです。
波乱含みの総選挙。2度の延期
つまり選挙が実施されればIMFからの融資決まってデフォルト回避なんですね!
と言いたくなるところですが、一筋縄ではいかないようです。
総選挙は、従来11月に実施される予定だったのですが、9/21に1月末への延期が発表されました。
ところが、この時の株価は無風でした。
さらに11月2日にては2月への延期が公表されています。
この時も株価は同じく無風でした。
デフォルトさえ回避できれば、割安感からとりあえず買いは入る。という状況なのかもしれません。
チャートを確認する
![](https://assets.st-note.com/img/1703944250975-xdIsw16vlV.png?width=800)
上はパキスタンのドル建てETFのチャートになります。
6/29のIMFからの融資決定を受けてから上昇、その後も下値を割ることなく推移し、上昇を続けています。
右は週足になりますが、直近のレンジを上抜けて200日移動平均線にタッチしています。
10月第2週の出来高がすごいですね。
XBAK(Xtrackers MSCI Pakistan Swap UCITS ETF)というETFになりますが、日本ではIG証券のみ取扱しています。
総括
デフォルト問題で下落を続けていたパキスタンは、IMFからの融資の目途が立ったことにより、上昇に転じしました。
このゲームのルールは、デフォルト回避です。
今のところ総選挙の延期にも市場は反応していませんが、あまり何度も延期するようだと不安視されるかもしれません。
まずは無事選挙を通過してほしいところです。
そしてその先では、IMFの継続的な融資から財政健全化、そして直近滞っている経済成長率の回復と、前進していくことを期待したいです。
参考資料:
パキスタン、次期総選挙まで2ヶ月を切るなかで波乱要因山積の展開
(第一生命経済研究所)
https://www.dlri.co.jp/report/macro/300034.html
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?