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Blackrockとウクライナの復興ファンドについて

ブラックロック社とゼレンスキー大統領の会談

 今年5月、BlackRock社とゼレンスキー大統領がウクライナの復興ファンドを組成することに合意しました。

 ブラックロックは昨年の9月よりゼレンスキー大統領と何度も会談を繰り返しており、その一連の流れの一つとして5月の会談があったと想定されます。

ブラックロックFMAという部門

 ウクライナ政府と直接やり取りをしている部門はブラックロックのFMA(Financial Market Advisory)という部門です。
FMAのメイン業務はアドバイザリー業務にあり、各国の政府や中央銀行とのビジネスを請け負っています。
 リーマンショックの時の不良債権の処理の他、先日の金融危機に関連するSVB、シグネチャーバンクの資産売却を担当した実績があるようです。

 BlackrockのCEOラリー・フィンク氏は2023年、投資家に向けた年次書簡に以下のように記しています。
”FMAグループがウクライナ政府に無償で協力し、投資の枠組みを設計するためのアドバイスを提供していることも大変誇りに思います。 その目的は、最終的に公的機関と民間投資家の両方がウクライナ経済の復興と回復に参画する機会を創出することです。”
 ウクライナが復興にあたってどのように欧米資本を引き付けるかといったロードマップを含めて、上流部分を丸ごと引き受けているのではないかと思います。

プライベート・エクイティ・ファンド

 ウクライナ政府は以下のプレスリリースにて、”ブラックロック社とJPモルガン社の支援を受けて、コンセッションキャピタルを誘致できるようなプライベートエクイティファンドを組成したいと考えています。”
と発表しています。

 このプライベートエクイティ(以下PE)とはどういうものか?
以下はPE投資の解説です。
”非上場企業から未公開株の引受けや取得を行ったあと、株式を取得した企業へ投資して企業価値を大きく高め、株式価値が上がったところで株式を売却して利益を得る、といった投資をPE投資といいます。”
PEファンドが組成される目的としては、以下のようなものがあります。
 1.立ち上げ期のベンチャー企業へ投資を行うベンチャーキャピタル投資
 2.経営不振や後継者不足の企業に対して過半数以上の株式を取得する
   ことで経営権を獲得するバイアウト投資
 3.破綻した企業の株式を取得して企業再建を行うディストレス投資
2.はオリガルヒの民営化、3.はウクライナ戦争の被害で経営不振に陥った企業再生と考えると納得がいきます。

 いずれにせよ、未公開・非上場の企業、資産を買い取り、再生・成長させた上で高値で売却することを目的としています。

PEファンドの顧客

 PEファンドへの投資は機関投資家や富裕層に限定されているのが現状です。
本件の主導者となっているBlackRockの大株主はVanguardで、Vanguardの株主はロスチャイルド家やイギリスのロイヤルファミリーに代表される世界に名だたる超富裕層と言われています。
世界経済フォーラムを中心としたエリートトップ層の話し合いで、ウクライナの復興スキームを作り、実行に移し、利益を得る。
このファンドは、彼ら世界トップの人々が確実に利益を得るために作られた温室です。その入り口には鍵がかけられており、選ばれたものしか中に入ることはできません。
一般の個人投資家には機会がないと考えるのが良いと思います。

一般投資家向けの商品について

 一般個人投資家向けの投資商品、例えば投資信託やETFは出ないのかと思う方も多いと思います。
Blackrockの名前が出たら、期待してしまう方も多いのではないでしょうか。前述した通りPEファンドは、ウクライナの未公開の株や資産を買い取り、事業を軌道に乗せた上で高値で売却することが目的です。この売却というのは、株を上場させて公開市場で売りさばくことも含まれます。
ETFや投資信託が組成される場合、復興が始まってから大分時間がたった後で、十分な利益が乗ったファンドの反対売買としてアウトサイダーの投資家を動員したい思惑があると思われます。

 これをスタートアップ企業として考えてみます。
スタートアップ企業は、その役員や社員、ベンチャーキャピタルなどのインサイダーが未公開の自社株を持っています。ウクライナでは、これが超富裕層が保有しているPEファンドにあたります。
そして事業が拡大した時点で上場し、その他大勢のアウトサイダー投資家に対してインサイダーが手持ちの株を高値で売り抜けます。これがウクライナETFや投資信託になるわけですね。
ですので投資信託やETFが組成された場合、むしろ下落を警戒するべきだと思っています。

我々にとれる戦略

 では、このPEファンドの勝ち馬に我々個人投資家が乗る方法はないのか?
ほぼない。と言っても過言ではないかと思いますが、何かしら考えていきたいと思います。
 上場しているウクライナ企業に投資しておいて、連れ高を狙うというのが一番現実的な方法論になるかと思います。
ウクライナの復興の段階で企業価値が上がれば、全体的に市場が上がってくると思いますので、ETFや投資信託が上場する前でも連れ高が狙えると思います。

参考資料

プライベート・エクイティ・ファンドについて:
https://www.ma-consultant.jp/about-private-equity/

ブラックロックFMAのサイト:
https://www.blackrock.com/financial-markets-advisory/fma-services/service-offerings

ウクライナとBlackrockの話(note):
https://note.com/ftk2221/n/n9dbfd4c661f8


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