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FEDの顔色を伺う株、伺わない債券

 このところ、賃金こそ鈍化傾向はまだ見えないものの、インフレははっきりと減速の兆候を見せています。
 そういった状況の中でパウエル議長は、時にはハト派、時にはタカ派な発言を行って市場をコントロールしてきました。

 11月発表のCPIは2ヶ月連続の低下でした。
本来ならインフレ退治成功で利上げ停止を示唆といきたいところですが、昨日のFOMC発表は少々タカ派でした。
ターミナルレートの目標値は5.00-5.25%。これは市場織り込みを若干上回る内容です。加えて、来年の利下げはまだ検討していないとの発言で投資家に牽制球を投げました。
 こうした状況を受けて、マーケットはレンジ内の動きをしています。

 このような動きは、10月に大底をつけてから日常茶飯事となりました。上がってはタカ情報で下がる、下がってはハト情報で上がるを繰り返しています。
 半面、債券はどうでしょうか?
10年債利回りは11月にダブルトップを付けた後、一貫して下がり続けています。一時的に上がることはあっても、10日移動平均線に引っかかって再び下げ続けています。
少しチャートを確認してみましょう。

S&P500と10年債利回りのチャート

 ボラティリティが随分と違いますね。S&P500は上下に激しくぶれながら疑心暗鬼な上昇を見せる一方、10年債利回りは何の迷いもなく下げています。 
 FEDから睨みを聞かされている株式市場がダンスを踊ることができない反面、債券は睨まれていないので、インフレ指標の改善に素直に反応することができるのでしょう。
 株式にはアメリカ国民の多くが投資しているため、上がればインフレに直接影響してきます。だからFEDもインフレが収まりきるまでは目が離せないのだと思われます。

 近頃、他国のマーケットがアメリカをアウトパフォームしているのも少なからず同じ理由が影響している気がしています。
 ベトナムやインドの株がダンスしても、FEDは気にする必要がないのでしょう。だから、他国のマーケットは金利と為替が支援的でありさえすれば、調子がいいのだと思います。

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