見出し画像

歴10年以上の機械設計者が感じている「板金設計の魅力」

こんにちは、めかのです。
複写機メーカ、半導体製造装置メーカを経て、現在は大学の機械工場に勤めています。普段はX(旧Twitter)にて、板金設計や機械設計全般、製図や3DCADに関することを発信しています。

今回は私が考える「板金設計の魅力」についてのお話です。私が板金設計に魅了された理由や、経験を通じて学んだことについてお伝えします。この記事を通じて、板金設計への情熱をさらに深めてもらえたら嬉しいです。

1. 板金設計との出会い

私が板金設計と出会ったのは、大学卒業後に新卒で入った複写機メーカです。その会社で私は機械設計の部署に配属され、製品の設計開発に携わることになりました。

なお、ここで私が言っている「板金部品」は、精密板金加工品や精密プレス加工品を差しています。

一般的には「板金」と聞くと、自動車のボディや建材などをイメージされる方が多いかもしれません。「精密」がつくかどうかの判断基準は、主に要求される寸法精度と取り扱う板厚です。精密板金で要求される寸法精度は、建材などに使われる板金よりも厳しいことが多いです。また板厚は、せいぜい3mm程度までの比較的薄い板を主としています。

私が携わってきた複写機という製品は、精密機器といわれるだけあって精密な内部構造をしています。加えて、コスト構造が非常に厳しい製品です。なので豪勢な設計なんてできません(泣)
コストを初めとした厳しい開発目標をクリアすべく、板金部品を駆使した製品開発が従来より行われてきたのです。

以上の背景により、複写機設計において板金部品を使いこなすスキルは非常に重要視されています。そんな環境に身を置いていたので、必然的に板金設計の可能性の大きさを肌で感じ続けてきました。

「1枚の板から、いかに3次元形状を作成するか」、「限りあるスペースに収めるためには、どんな形状に設計するのがベターか」。こんなことばかりを考えているうち、私は次第に板金設計の魅力に取りつかれていきました。

2. 多様な造形を実現できるのが、板金設計の魅力

私が感じている板金設計の魅力は、単純な平板を様々な形へ変身させられる点です。1枚の板から切断されて、穴を開けたり曲げたり絞ったり、時には他の板と接合されたりして、板金は様々な形に造形されます。この多様な造形性こそ、私が板金設計をしていて1番ワクワクするポイントです。

ご存じの通り、板金は目的に応じて様々な形に変化し、幅広い業界で活用されています。美しい曲面をなす自動車のボディも、複写機に使わている複雑形状をした筐体も、会社の更衣室に設置されている金属製ロッカーも、みな板金。元々は平たい板です。

元々は単純な平べったい板なのに、適材適所で適切な形に化けさせ新たな機能を与えられるなんて、板金設計って魅力的じゃないですか?

3.板金設計を通じて、汎用性の高い機械設計スキルを習得できる

機械設計者としての汎用性の高いスキルを取得できるのも、板金設計に取り組む魅力の1つです。

思いつく限りでざっと挙げてみただけでも、板金設計を通して習得を期待できるスキルは多々あります。

  • CADスキル

  • CAEを活用した強度、剛性検討スキル

  • 加工性、測定を考慮した機械製図スキル

  • バラつきを加味した公差設定の手法

  • 組立性やメンテナンス性、操作性に配慮した形状設計スキル

板金設計を通して機械設計者の基礎スキルを習得しておけば、後々、別の分野の設計を担当することになっても応用が利きますね。

4. 板金設計者の未来は明るい(ただし長い目で見る必要あり)

ここまで板金設計について述べてきました。ここでは「人」(板金設計者)に焦点を当ててみます。

結論、板金設計者の未来は明るいと私は考えています。
なぜなら板金は昔から広く使われており、これから先もそう簡単にはなくならず板金設計の需要はあり続ける。その上で、設計者個人が会社以外の場所で活躍する土壌が整いつつあることが、将来性に期待できる理由です。

今の時代、様々なビジネスマッチングサービスが誕生しています。私自身のお話をすると、ビジネスマッチングサービスやSNSを活用し、徐々にですが個人で板金設計の仕事をいただくこともあります。

例えば、下記のようなサービスを承っています。

ただし、上記のような機械設計等のクライアントワークが一般化するにはまだ時間がかかりそう。実際に募集されている案件は、決して多くはないです。

とはいえ、個人で機械設計等を受注する働き方に興味がある方は、ライバルが少ない今のうちから参入しておくことをおすすめします。

4. 最後に

以上、私が考える板金設計の魅力を述べました。この記事が皆さんのモチベーションアップや新たな発見の一助となれば幸いです。

今後もX(旧Twitter)やnoteでこのような情報を発信していきます。板金設計を一緒に深めて行きたい方や、板金設計者として個人での活動を目指している方は、ぜひフォローしてお待ちください!

私のプロフィール詳細は以下の記事をご覧ください。
お仕事のご依頼、ご相談も受付中です!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?