見出し画像

真女神転生やペルソナシリーズに出てくる謎の単語"ヒランヤ"について調べた話

ヒランヤってなんだよ

最近ペルソナ4ザ・ゴールデン(P4G)をプレイしているのだが、その中で「ヒランヤ」なる謎の単語が頻出する。

例えば、アイテムの”ヒランヤ””ヒランヤキャベツ”は味方一人の状態異常を回復してくれるし、"ヒランヤスプレッド"6体のペルソナを合体させる方法のことだ。

画像3

ヒランヤキャベツの説明……やたら"6"を強調する。

聞いたことない単語だし、ただの造語か? と考えた。

しかしながら、このゲームは
「パルスのファルシのルシがコクーンでパージ」[補注1] や
「エルマ族のケムチャ」[補注2]
のように、造語を多用するタイプではない

むしろ
「ソーマ」「反魂香」のような神話・故事に関連するもの、
「胡椒博士NEO」(ドクターペッパーが元ネタ)「盆ジュース」(ポンジュース)など元ネタ商品のもじりなど、
元ネタが存在するものが多いと感じる。

おそらく、「ヒランヤ」にもなにか元ネタがある

真・女神転生シリーズでも出ていたヒランヤ

ピクシブ百科事典や複数の攻略Wikiによると、真・女神転生Iの頃から「ヒランヤ」なるアイテムは登場していたらしい。

アリスは大破壊後のロッポンギの支配者赤伯爵、黒男爵と共に暮らす少女であり、二人の寵愛を受けていること、自分が欲しいものを何でも与えてくれることから、少々わがままな性格である。主人公がロッポンギに訪れた際、アリスは『お願い』としてヒランヤを買って来てくれるよう要求する。これに応えると、アリスは主人公にもう一つの『お願い』をする。

ねぇねぇ も一つお願いがあるのー あのねー・・・ お兄ちゃん

死んでくれる?

死んでくれる?-ピクシブ百科事典より

また、この頃から回復アイテムとしての登場であり、複数回使えるものであったらしい。

HPとMP回復する。数回使えるが1/8の確率で壊れることがある。

通常アイテム データ:真・女神転生1 完全攻略/ゲーム攻略メモより

しかし、どのサイトも肝心な元ネタは書いていない
ヒランヤの謎は深まるばかりである。

スピリチュアルグッズ?

「ヒランヤ」をGoogle検索してみると、通販サイト上の怪しい商品がヒットする。
「開運」「パワーグッズ」「人間の持つ無限の可能性」etc……

画像2

確かに六角形で"6"に関係しているし、金属製っぽいお守りで複数回使えそうな雰囲気がある。

これがヒランヤの正体なのだろうか。

そして、いくつかのサイトからスピリチュアルヒランヤドットコムなる謎のサイトがリンクされていた。

画像1

ああ、懐かしきこの雰囲気……

さらにこのサイト内で、運営会社であるダイワコーポレーションの沿革を確認できた。

■ 沿革
昭和47年 オリジナル商品製作、通信販売の企業として設立
昭和61年 ヒランヤ研究所と提携させていただき、エネルギーグッズ『ヒランヤ・ペンダント』の販売を開始。
昭和62年 ニッポン放送の三宅裕司さんがパーソナリティをつとめるラジオ番組「ヤングパラダイス」で不思議な現象が起こると紹介。この放送の影響でヒランヤは一大ブームに。
昭和63年 孔柏基画伯と共同で、『タリズマン・アート』シリーズを発売
平成元年 図形哲学研究所、勾玉研究所長・福原肇先生と共同で、如意宝珠『マニ宝珠』シリーズを発売開始。
平成4年 運命研究家・町田達是(さとし)先生の運命学セミナーを定期的に開催。幸福セミナーを東京・大阪で発足。
平成10年 空海密教の阿闍梨・松永修岳先生と共同開発した『風水開運印鑑』シリーズを発売。

https://www.daiwagroup.com/hpgen/HPB/shop/shopguide.htmlより、太字は筆者による

沿革には、「ヒランヤ研究所」なる謎の研究所と、ラジオ番組「ヤングパラダイス」でブームになったとの旨がある。
これらは一体なんなのか。

ヒランヤ研究所?

ヒランヤ研究所に関しては信頼するに足るソースが確認できなかったのだが、いくつかのサイトの記述を並べると、おそらく以下のようなものであると推測できる。

1. ヒランヤ研究所は出羽日出男なる人物が所長を務める
2. ヒランヤ(スピリチュアルグッズ)の商品化も出羽によってなされた
3. ヒランヤ研究所がヒランヤの商標を持っていたが、ダイワコーポレーションに譲った
4. ヒランヤ研究所自体はすでに存在しない

おそらくこの出羽という人物が"ヒランヤ"を作り、名前を付けた人物なのだが、いかんせん出羽本人に関する情報がネット上に殆どない。出羽自身が生きているのかも不明である。

残念ながら、この情報はここで行き止まりのようだ。

ラジオ番組「ヤングパラダイス」?

Wikipediaの「ヤングパラダイス」のページに、コーナーの一つとして「ヒランヤの謎」というものがあったとの旨があった。

ヒランヤの謎
正三角形2つを上下に組み合わせた形(六芒星)をデザインした物体を置くと不思議な現象が起こる旨を実験して報告。
東京都内の某所に埋められた「ヒランヤ」を探して賞金を当てる企画では、ヒランヤが埋められているとされる公園の地面が多数のリスナーにより掘り返されて番組プロデューサーが公園側に謝罪するなどの事件がおこった。

……今だったらTwitterで大炎上していそうな企画だ。
このコーナー、「ヤンパラアドベンチャー ヒランヤの謎!」としてゲーム化しているほど人気だったようだ(出典)。

このコーナーによって、よくも悪くも六芒星"ヒランヤ"が有名になったのだろう。

このラジオ番組、三宅裕司がパーソナリティを務めるのは1984年~1990年で、上記の「沿革」には1987年(昭和62年)にブームになったとある。

更に、1992年10月SFC版真・女神転生が発売されたことを考えると、当時はまだプレイヤーが"ヒランヤ"の元ネタを理解できた、という頃であろうか。

ヒランヤの語源

ここまでで、女神転生シリーズのヒランヤの元ネタがなんなのかは大体分かった。しかし、ヒランヤそのものの語源が分からない。

これについては、サンスクリット語の「Hiraṇya」(ヒラニャ)が元ネタの可能性がある。

WISDOM LIBRALYによると、意味は概ね「金(golden)」といったところ。
なるほど先程の画像でも金色じみたアクセサリーの多いことが分かる。

まとめ

1. 真・女神転生やペルソナシリーズに登場する"ヒランヤ"は、1990年前後にブームとなった六角形のスピリチュアルグッズが元ネタと思われる

2. 1990年前後のヒランヤブームの火付け役は、三宅裕司がパーソナリティのラジオ番組「ヤングパラダイス」のコーナー「ヒランヤの謎」である

3. "ヒランヤ"そのものの語源は、サンスクリット語の"金"という意味の言葉"Hiraṇya"(ヒラニャ)と思われる

以上。


補注

1) ファイナルファンタジーXIIIのあらすじを説明する際に用いられる定型句。ニコニコ大百科の当該ページも参照のこと。

2) コピペの一つ。

エルマ族のケムチャといいます。
エルマ族の中でも優秀な、ハスーイの末裔ですよ。
子供の頃、友達のクレセロとジャッフンーの大会に出たんです。
それで決勝までいったんですが、決勝で凄い面白いことが起きたんですよ。
なんと最終ババウのときに、クレセロがケウェーウをシャイツwwwww
しかも相手チームもハジャエをロッキンスマールしてたしwww
セルニャじゃないんだからwwww
まじうけるwwwww
wナハウwww
ハユイwwwケスwwww
やべwww母国語出ちゃったwwwバスwwww

サポートありがとうございます!