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勉強計画を立てる

こちらは、技術士二次試験を1~2回で合格したい人向けに書きました。私の事例を元に解説をしていきます。
本記事では、私の試験勉強結果を元に試験計画の作成や時間のかけ方を解説していきます。

1.私の試験勉強記録

上表は私の試験勉強時間の概要です。
表は、横軸を月ごととし、縦軸タスクごとに集計をしています。
私は、平成30年度技術士二次試験(機械部門)、選択科目「機械設計」で受験をしました。全勉強時間は、筆記試験449hr、面接関連186hrで合計635hr(時間)でした。

タスク(やること)は、7つに分類しました。
(1)全体管理
 受験申込書の作成、筆記試験の時間、面接の時間とそれに関連する時間を集計しています。
(2)必須問題I対策
 平成30年度までの試験では、技術士一次試験相当の問題がマークシート方式で出題されていたため、過去問を解いていました。
(3)キーワード作成
 選択科目IIや選択科目IIIを回答するにも、専門知識を理解しないと作成できません。そこで、調べた内容を選択科目II-1の600文字形式で作成しました。
この形式で選択科目II-1の対策も同時に行いました。
4)選択科目II、III
 平成25年~平成29年までの選択科目II-2とIIIの過去問を見て、ひたすら論文作成しました。また、スクリーング機関から配布された模擬問題の論文作成をしました。令和元年度以降は、必須科目Iもわからない点はキーワードとしてリストアップしてから論文作成することで対応できると思います。
5)スクーリング
 2月上旬まで独学で進めようとしました。選択科目II,IIIの論文が適切に記述できているか判断が難しいと考えて、月1回ペースで3月からスクーリング機関に通いました。これは、周りに技術士の方が見ていただけるのであれば必ずしも必要とは思いません。
6)面接対策
 面接で面接官に聞かれそうな点を書き出していました。

7)技術者倫理
 ニュースになった技術に関する事例を調べたり、技術士法を見ていました。

WBS(Work Breakdown Structure)形式でタスクを綿密に作成する方法も考えました。ただ、選択科目II、IIIとキーワード作成は相互に関連するため細分化は難しいと考えて、7つで分類しました。

※ 補足
面接対策の時間・日数は、今年末の段階では具体的な日数は立てなくとも、おおよその期間と時間を把握しておけば十分だと思います。
私は特に面接が苦手だったことため、入念にしました。
もし、面接で不合格になると筆記試験からやりなおしになること、令和元年度から試験制度が変わり必須科目Iが論文形式になるため、対策も必要になり合格率が下がる可能性があります。

2.試験勉強計画とその結果

考えたことは以下の3点です。製品設計におけるQCD(品質、コスト、納期)であらわしています。
(1)Q:品質(試験に合格すること)

(計画時)
 必須科目I:A判定、選択科目II、III:A判定、面接:A判定
(結果)
 必須科目I:A判定、選択科目II、III:A判定、面接:A判定

目標を強引に品質として置き換えています。目標といってもいいかもしれません。結果はほぼ狙い通りでした。

(2)C:コスト

(計画時)
 受験費用+人件費(時給x試験時間)+スクーリング費用+書籍等(円)
 =20000+2800x330~500+0+10000 = 954,000~1,430,000円
(結果)
 受験費用+人件費(時給x勉強時間)+スクーリング費用+書籍等(円)
 =20000+ 2800x635 +150000+20000 = 1,968,000円

人件費を入れたのは、試験にかかった費用という投資に対するリターンを考えたらどうなるだろうとふと思ったからです。
 時給は、総務省統計局に製造業の月収と労働時間が掲載されており、この結果から時給2800円と仮定しました。
 勉強時間は、インターネットの情報を調べると150~300時間はかかるという情報があり、また、合格率が10~20%と低いことも知っていました。
 私は、勉強時間を週末10時間の半年(25週間、計250時間)、予備時間をゴールデンウィークをすべて受験勉強に割くと仮定し80時間とし、330時間として、筆記試験を突破しようと考えていました。
 仮に2年かかった場合は、1年目のノウハウがあるので1年目ほど時間がかからないだろうと想定し、2年目は1年目の半分と仮定して175時間として、合計505時間、約500時間としました。
 実際は、筆記試験の合格基準に対して自分の能力が不足していたこともあることがわかり筆記試験の勉強時間が増えたこと、面接対策を念入りにおこなったこともあり、計画時の2倍近く時間がかかりました。

(3)D:納期

(計画時)
 一発合格(2019年3月)(遅くとも2回目合格、2020年3月)
(結果)
 一発合格(2019年3月)

不合格が続くとやる気が下がり合格率を下がるリスクと追加費用発生リスクの2点があるため、一発合格を目指しました。
結果は、無事一発合格しました。

3.試験勉強の振り返り

合格はできたものの、4月、5月の勉強時間は100時間程度でした。
ゴールデンウイークを予備時間として想定しているものの、休日まで勉強するのは疲労が蓄積するため、やらなくていいならやらないほうが望ましいです。そこで、どうしたら勉強時間を平準化できるかを考えました。

(1)4月、5月の勉強時間の内、どのタスクの試験時間が長いか?
 キーワード作成が、4月:50時間、5月:40時間でした。各月の全勉強時間に対して40%程度を占めています。これは、論文を作成するための基礎知識が不足していたことが起因しています。
(2)どのように平準化させるか?
 2018年1月以前段階で、選択科目II-1、II-2の論文を技術士の方に見てもらい、論文が合格ラインか否かを確認します。ここで技術力が足りないことが発覚する場合、冬休み中からキーワード作成を始められるので、4月、5月のキーワード作成時間(全90時間)の半分(45時間)程度を1月~3月へ前倒して作成をおこなうことが考えられます。

※ 平準化の別案:2年計画に見直して試験計画を平準化させる。
 家庭の事情や業務の多忙で物理的に時間を割くのが難しい場合があると考えます。その場合は、選択科目II、IIIの過去問の論文作成、キーワード作成を1年目に行い、2年目で合格を目指すのも一つのやり方だと思います。

4.勉強法その1:選択科目II-2、III(過去問)の勉強

勉強当時は深く考えなかったのですが、いまだったらどうするかという視点で考えました。

4.1 勉強時間を予測する

論文を作成する時間が、どのくらいかかるかを予測します。
選択科目II-2、IIIについて、A,Bに該当する問題を各1問ずつ選びます。
A)過去問で自分が回答できそうな問題を1問選び、論文を書く。
B)過去問で自分が回答できない問題を1問選び、資料を調べながら論文を書く。
AとBにおおよそかかった時間と過去5年分の問題の中で、Aの問題数、Bの問題数を数えて、選択科目II-2、IIIごとに予想勉強時間を計算します。

予想勉強時間 = 選択科目II-2の予想勉強時間 + 選択科目IIIの予想勉強時間
各科目の予想勉強時間 = Aにかかった時間 x Aの問題数
           +Bにかかった時間 x Bの問題数
           +α(余裕代)
* αはいれてもいれなくても個人の考えで判断してよいと考えます。

4.2 どうやって勉強を進めていくか?

OODAという考え方を取り入れてみます。

OODA
Obeserve(見る)、Orient(わかる)、Deside(きめる)、Act(うごく)
PDCA
Plan(計画)、Do(動く)、Check(確認)、Action(動く) 

目標を達成するには一般にPDCAを回せと言われますが、わからないことを計画するのはとても難しいです。
ここで勉強が止まってしまう方は、OODAを取り入れて計画を立てると、計画と実行の差が縮まり合格する可能性があがります。(もちろんPDCAで計画を立てて進められる人はそれでも可能と考えます)

進め方は、1回目のOODAループで試験時間を予測して、2回目、3回目のOODAループを重ねていき、自分の足りないところを見つけながら改善が進めていきます。
なお、「自分の足りないところ」は、設問に対して答えられる論文をかける(提案をする)ことに対してです。そのため、論文の内容は技術士の方に見てもらうことをお勧めします。

Act(1回目):過去問で自分が
できそうな問題と自分ができそうもない問題を1問ずつ解く。
Observe(1回目):作業時間や論文の出来栄えを自分で見る。(または技術士の方に見てもらう)
Orient(1回目):過去問を全部解く時間がざっくりわかる。論文を解くのに知識不足がわかったら、キーワード作成が必要なのがわかる。
Deside(1回目):過去問を全部解く。または先にキーワード作成をしてから過去問を解くかを決める。
Act(2回目):Desideで決めた内容で論文作成を進める。
Observe(2回目):少し時間がたったら進捗を見ていく。
Orient(2回目):最初の予想とあっているかどうかがわかる。
Deside(2回目):最初の予想との差異に対する対策を決める。
Act(3回目):…
といったサイクルを繰り返すと少しずつ勉強が進むと考えます。
1回目のOODAループ、2回目のOODAループを行った結果、論文を作成するための基礎知識が不足している場合は、一旦中断してキーワード作成をおこなうという進め方もあると思います。

5.勉強法その2:キーワード作成

インターネットで検索をすると、キーワード学習、キーワード作成と書いてあります。
 キーワードについて調べたことを選択科目II-1形式で600字に手書きで要約します。このメリットは3つあります。

・論文が書けずに勉強が挫折するのを防ぐ。
・不足している専門知識の整理ができる。
・試験形式で文章を書くことで、選択科目II-1の対策になる。
・手書きで書くので本番形式のトレーニングになる。 

CNF(セルロースナノファイバー)を調べていたので、受験時に書いた例を挙げます。
「CNFの概要と製品の応用事例を述べよ」という問いがあったとして回答案を考えています。

CNFの概要及び製品の応用事例
1.CNFの概要
 木材などの植物繊維を機械的・科学的な処理を行い、
取り出したものである。大きさは直径数~数十mm、
長さは1000nm~1mm程度である。
特徴:①比強度が大きい。②比面積が大きい。③熱
による寸法変化が小さい。④ガスバリア性が高い。⑤
チキソ性がある。⑥環境負荷が小さいバイオマス素材。
2.製品の応用事例
2.1 熱可塑性プラスチックの強化繊維:CNFは
比重1.61[g/cm3]、引張強度3[GPa]であり、軽くて強い。
そのため、ガラス繊維の代わる素材として注目されて
いる。近年の事例では、PPに対して10wt%CNFを
配合した材料を開発されている。
2.2 消臭剤・フィルター:CNFは、比表面積が
250(m3/g)と大きい。そのため、表面に吸着させる性
能が高い。エアコンフィルターとしてごみを吸着さ
せたり、大人用おむつの消臭剤として製品化をされて
いる。
2.3 ボールペンの増粘剤:CNFはチキソ性(水
溶液が静止時にゲル状、力が加わるとゾル状になる)
を有している。したがって、水溶性ボールペン用のイ
ンクの増粘剤の素材として製品化されている。 以上
–24文字 x 23行、453文字—–

キーワードに関する用語をリストアップして、数行単位で説明文を作成します。上記の要約では以下の太字の内容を抽出しました。

用語:
CNF/CNF強化樹脂/NCVプロジェクト/チキソ性/TEMP6酸化CNF/CNFの欠点/アスペクト比/用途

3.受験申込書の作成

受験申込書は、申込期間は例年4月の2週間程度です。
注意点が2つあります。
(1)面接のときに業務経歴書の内容を聞かれる。
 業務経歴や業務内容の詳細を技術士の方に内容を見てもらうことをお勧めします。業務経歴は、自分が業務で実施した内容を書きましょう。
業務内容は、5W2Hでどういう成果を出したかを示せるようにしましょう。
(2)役職者のサインと社印をもらう。
 受験申込書には、会社勤めの場合、職務経歴を証明するために社印と役職者のサインが必要です。(詳細は、日本技術士会のHPをご確認ください)
事前に、社印の入手方法やサインをいただく方を確認しましょう。
 令和3年度の受験から社印は不要になりました。
特に、社内に技術士がいない場合、技術士が全国で約10万人と少ないことから、知らない方も多いため、事前に相談をしましょう。

6.まとめ

試験勉強計画は「1.私の試験勉強記録」で示した通りタスクを分割していくと、立てやすいと考えます。
試験一発合格は、ゴールデンウィークの予備時間を活用できて、かなり無理をして勉強をしたことでやったとできたと実感しています。
油断してはいけないと思い、今でも継続研鑽として勉強する習慣を続けています。

技術士二次試験勉強を進めていくときに、つまづきそうな点を解説しました。当時を振り返って今だったらどうするかということも付け加えました。

実は、私は文章を書くのが苦手でした。技術士試験の勉強時に、キーワード作成で600文字の原稿用紙に200枚以上書いたので、要点をまとめる力が受験前より上手になったと考えています。

業務経験7年以上あれば、基礎知識は十分にあると思いますので、プロジェクトマネジメントの考え方を取り入れつつ勉強を進めれば合格は十分可能だと考えます。

最後になりますが、一人でも多くの方が合格されることを願っております。

7.参考にした資料

1)OODAはこちらのページを参考にしました。
 ホームページを見ていくと、OODAループとは、原書もあり英語のため、いずれ読みたいと思っています。

アイ&カンパニー – すべては日本再興のために

2)予測が難しい問題に関してどうするか?ということで、この本も読みました。

本名:仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法
著:内田和成
出版: 東洋経済新報社
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