6.二度目の転職活動

船舶設計から機械設計へ飛び込み、2年くらい経つと基礎は身に付いてきた。
しかしなぜ4年も居たのかというと、住んでいる土地が過ごしやすかったとか、造船所時代と比べて職場環境が楽だった(多少の苦労はあれど)とか、奨学金を全額返済してから次へ移りたかったとか、理由は様々である。
最初こそ残業が多かったものの、月日が経つにつれてだんだんと減っていった。
3年目に入ってからは毎日がほぼ定時になってきたため転職活動がしやすい環境が整ってきた。

そこで4年目に突入した2019年末ごろから転職活動を始めた。
なぜ転職ではなく案件替えにしなかったかというと、所属会社に不満があったためである。
船舶から離れて機械設計の基礎が身に付き、多少は潰しも効くだろうと思っていたがやはり現実は甘くなかった。
今までずっとやってきたのは詳細設計である。具体的な物の形状を考える仕事。
しかし私の場合、そこに理論的な裏付けが無い。
材料の特性だったり流体の抵抗を計算したり、そういった作業を今までやってこなかったためだ。
意図して避けてきた訳じゃない。そろそろ身につけねばと危機感を持っていた。
他部署や下流工程がやってくれるような職場だったためやる機会が無かっただけだ。
子供が積み木で遊ぶ時、いちいち荷重の計算なんてしないだろう。
それと同様に、ただCADを使ってお絵かきをしていたというわけだ。

・使用条件から材料の選定を出来ますか?→出来ません。使う材料が決まっていましたので。
・使用条件からバルブやフィルター、配管材質の選定は出来ますか?→出来ません。使う物が決まっていましたので。
・顧客とやりとりを重ねて装置の仕様書を作成出来ますか?→出来ません。上流工程の人が担当していたので。
・納入先へ出向いて装置立ち上げ作業は出来ますか?→出来ません。図面を描く以外の仕事は元請社員の方がやっていましたので。

聞かれたからには嘘を付くわけにはいかない。面接へ行く度にこのようなやりとりを何度もするのだが、だんだんと面接官が興味を失っていく様が手に取るように分かる。
時にはあからさまに差別されたり貶されたりした事もあった。

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これは、そんなやりとりを行った会社のうちの一つである。
Twitterではそこそこ反響を頂いた。嘘松とか言われそうだが事実である。

これをきっかけに完全に自信を失い転職活動の一切を止めてしまった。
他に最終面接まで行っていた会社もあったが全てこちらから断った。
どこの会社からも見向きもされない。スキルが足りないと。
さらに前回の転職と違って年齢についても言われる。30歳にもなって何も持ってない、出来ないじゃないか君は、と。
こちとら好きで歳を取ったんじゃない。

そんなある日、突如クビ宣告がなされる。続く。

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