都伝4話が気付いたら完成していた

こんにちは目箒です。

忙しくて全然小説もnoteも書けていませんでしたが呟きで連続投稿は保っていました!

警察×都市伝説の伝奇物ホラー、「警視庁都市伝説対策室」略して「#都伝」について語る記事です。カクヨム版はこちら

前回までのあらすじ

序章を書いて、脇役の紹介なんぞをしていました。

書けちゃった

気が付いたら最後まで書き終わっていました

ということでこちらです。

ここから全部説明するのが面倒臭いので、個人的に面白いと思ったところだけ抜き出していきます。

夜な夜なこれで平然としている南雲氏

 飛び起きて、南雲の指す方を見たレンが最初に見たものは、真っ赤に染まった壁だった。何事かと思って目を懲らすと、どうやら壁に掛かった面から赤いものが……どう見ても血にしか見えない液体が、ものすごい勢いで流れ出ているのだ。まるで、今壁際で人の首を切断したかのように。
「何だこれは!?」
「すごいだろ! 夜な夜なこんなことになってるんだよ!」
「夜な夜なこれでよく平気だなお前は!?」
 思わず叫んでから、そこでレンに疑問が芽生えた。夜な夜なこうなっている? それなら、どうして壁に染みなどが残っていないんだ。
 レンの疑問はすぐに解けた。面から流れ出している血のような液体は、床まで垂れると、そのままふっとかき消えてしまった。まるで、流れるものはプロジェクションマッピングだったかのように。
 しかし、振り返ってもプロジェクターの様なものはなかったし、いくら寝起きだったとしても、映像の液体と本物の液体は判別できる。

最初に蛇岩のおじさんが南雲邸に呼ばれた時のことですね。

で、南雲氏はこの後生配信をしてしまうのですが、

「見て!」
 メグが声を上げた。面の後ろ、壁面に突然赤いものが広がった。ルイは思わず画面を凝視してしまう。コメント欄にも急激に書き込みが増えた。驚きを表すものが多いが、裏に装置があることを疑う声もある。
「うっわ」
 赤い液体は量を増して、だらだらと流れていく。粘性が高いようで、ゆっくりと壁を伝って行った。
『毎晩こうなんですよ』
 南雲の言葉に「よく平気だな」と、レンと同じ事を指摘するコメントが書かれた。
「ほんとだよな」
 レンはそれを読んで独りごちる。

視聴者からも「よく平気だな」と言われてしまう南雲氏。ほんとに書きながら私も「よく平気だな……」と思ってしまう。私なんか家ごと変えそうだよ。

佐崎と桜木の漫才

前回のテケテケでこんなシーンがあります。

「室長や五条のそう言う明るかったりまっすぐだったりするところを見てると、人間も捨てたもんじゃないなって思います」
「何言って──」
 何言ってるの、僕と歳そう変わらないのに。そう言おうとしてアサの顔を見たルイは言葉を切った。いつも二十代後半だと思っていたその顔は、一気に老け込んだ様に見えた。三十代、四十代、いや、もっと……。
「桜木さん……?」
「怖かったり無理だったら迷わず口に出してください。俺たちはそれくらいで呆れたりしません」
「う、うん……」
 ルイは頷いた。奇妙な沈黙が流れる。そのだんまりが耐えられなくて、
「僕や五条さんのって言うけど、佐崎さんは?」
「あいつはスレてるので駄目です」
「どう言うこと!?」

今回もアサがナツに対してだけやたらとツッコミ体質なところを結構描写していました。

「おじさん優しいから、お友達を言いくるめるってできないんだよね」
 メグもこっくりと頷いた。聞けば、メグは諸般の事情でレンに引き取られて暮らしているらしい。以前、スポンジボールを投げ入れるバスケットゴールをくれたと言っていたお手伝いさんが通っているそうで、レンが南雲邸に泊まった時もその人が来てくれたとのことだ。
 以前、お手伝いさんが来てくれている、と聞いた時に、メグの家は金持ちなのかと尋ねたことがあるが、キャリアの警視正が得る大体の収入を考えると、金持ちと呼んで差し支えないだろう。
「友達を言いくるめるか……そうだな、そう考えると優しい人にはできないね」
 ルイが納得して頷くと、助手席のナツがにやにやしてこちらを見た。
「室長だってできないでしょ?」
「代返頼まれて断るときに言いくるめた」
「代返頼む奴は友達じゃない」
 一蹴された。ルイはそれ以上言い返さずに肩を竦める。
「あたしは言いくるめるほどの頭ないからね」
「嘘を吐くな」
 後部座席からアサの鋭い言葉が飛んでくる。
「都伝じゃお前が一番ハッタリ強いだろ」
「蛇岩さんと違ってボロが出ちゃうからなぁ」
 ナツはどこ吹く風だ。

これは、友人の南雲氏を言いくるめて面を取り上げることができないレンの話から派生したシーンです。

「いやあ! お待ちしておりましたよ! 南雲と申します」
 アサを見て、
「久遠さん?」
「私は桜木と申します」
「久遠は僕です」
 警察手帳を見せる。南雲はやや大袈裟にのけぞって、
「いやあ! 失礼しました! 随分とお若い室長さんなんですね!」
 それを聞いて、ナツが吹き出した。
「おい」
 アサが小声で咎める。

これは「ルイに失礼」ではなくて「俺が500オーバーだということを匂わせるな」という意味です。

「二人で寝たんですか?」
 メグが尋ねた。ナツがとうとうこらえきれずに笑い出す。南雲は南雲で、あっけらかんとした調子で、
「蛇岩にはお客さん用の布団敷いて寝てもらったよ。あいつでかいから、ベッドに一緒に入ると狭いだろ?」
「マジかよ」
 今度はアサがルイに聞こえるか聞こえない程度の声で呟いた。レンが小柄なら一緒にベッドに入ったと言うのか、ということだろう。あの世代の日本人としては珍しく、190センチ近いレンは、平均的な体格をしている南雲のベッドでは狭いだろう。
「布団から足出てたけどな」
「そうですよね」
 メグが納得したように頷いた。ナツがけたけた笑う。
「おい」
 アサが再び咎めた。

蛇岩さん、元の創作でイギリスの吸血鬼だったから体格良いんですよね。

 レンからの「連絡」は思ったよりも早く来た。金曜日の夕方だ。南雲が泣きついてきた、という内容ではなく、
「今夜配信するから見てくれ、だとよ」
 動画サイトに個人のアカウントを所有しているらしい。時折、家や会社にある骨董品を紹介しているのだとか。

(中略)

 その日の深夜それぞれの家でビデオチャットを繋いで動画サイトにアクセスした。メグは自室で自分のパソコンから繋いでいるという。ナツは煎餅とお茶を用意してすっかりくつろいでいる。
「年寄りには堪えるよ、夜更かしってやつは」
 レンはしみじみして言った。定年前なのでまだ50代の筈である。
 定刻になって配信が始まった。ナツが煎餅をかじる音が聞こえるので、アサが「マイク切れ」と小声で命じる。ナツはすぐに言われたとおりにした。ルイもお腹が空いてきたが、今からパソコンの前を離れるわけにもいかないので我慢した。ナツは合理的なのだとその時に気付く。
(桜木さんって、佐崎さんには辛辣だよなぁ)
 そう言えばこの前も、ルイやメグを見てると人間捨てたもんじゃないと思う、でもナツは駄目だ、と言う様なことをアサが言っていたのを思い出した。だからと言って関係が険悪であるようには見えない。ある意味信頼関係というか、気安さなのだろう。漫才の相方と言うか……。

(中略)

「まったくさぁ」
 ナツが再びマイクをオンにした。ぼりぼりと、固い物を咀嚼する音が入る。
「食ってから話せ」
 アサに言われると、茶を呷ってから彼女は言葉を続けた。
「蛇岩さんには悪いけど、趣味悪いよね」

ナツは自由人なのではないか。

 南雲邸に車を入れると、すぐに南雲本人が飛びだしてきた。泣きそうな顔である。
「えーと、あのー、その節は申し訳なく」
「ぶっ壊して良いんですよね?」
 ナツが勢い込んで尋ねる。彼女がライフル(電動ガンだが)を背負っているのを見て、彼は気圧されるように頷く。
「はい」
「お邪魔します」
 ナツはすたすたと上がり込んだ。ルイも慌てて後を追う
「佐崎さん、活き活きしてるなぁ」
「トリガーハッピーなんですよ、あの女。いつも撃ちたくてうずうずしてる」
 アサは呆れた様に応じた。
 ナツがぴしゃりとはね除けた。彼女は簡単に狙いをつけると引き金を引いた。BB弾は頬を貫く。空いた穴から血のような粘性の高い液体がでろりと流れた。
 ふと、メグを見ると、叔父の背中に隠れている。腕を掴んでそこから覗いていた。見ているルイに気付くと、眉を寄せて気まずそうにしているので、ルイは微笑んで首を横に振った。
「僕も怖いよ」
「やっぱ額かな……ビリー・ザ・キッドみたいに眉間に3発」
 ナツが狙いを調整していた。
「撃てねぇだろ。ていうかお前はウィリアム・テルじゃなかったのか」
 やはりアサは辛辣だ。ナツは狙いをつけると、引き金を引いた。流石に3発は撃たなかったが、その一射は正確に額を貫いた。

佐崎さんはウィリアム・テルです。

刑事の顔をする佐崎ナツ

ナツは元々捜査一課の刑事ですが、弾丸が生きた人間に当たらないので持て余されており、そこを蛇岩さんに拾われました。

なので、ぼけ倒している一方で今回死体に見える生首面を見て、

「あれが、その面です」
 南雲が指差すと、ルイたちはそれを見て息を呑んだ。
 土気色の顔色には覚えがある。酷い風邪をひいたとき、鏡で見た自分が丁度あんな顔色をしていた。土ともなんとも言えない、柔らかい触感だと言うが、頬の部分がまるで疲れ切ってやつれているかのようにたるんでいる、ように見える。半開きになった口は何かを伝えようとして開けているのか、はたまた閉じられないだけなのか……。
「こ、これって……」
 ルイは思わず半歩引いた。キャリアは現場に出ないから死体を見慣れていない、以前の問題だ。ナツの言う「切りたて生首」という言葉がぴったりだ。いや、切りたてと言うには時間が経っているように見えるが、それは本旨ではなく、明らかに死体の印象があるものが、寝室の壁に平然と飾られているというその事実に、人間の久遠ルイが引いたのである。
 メグが息を呑んだ。身長がさして変わらないナツの背中に隠れて、彼女の体にしがみつく。ナツはその手をぽんぽんと撫でると、アサにメグを預けて、
「失礼します」
 刑事の顔で寝室に入った。都伝に異動する前は、捜査一課の所属だった彼女は、こう言う場面に強いのだろう。いつの間にか白い布手袋をはめている。持ち上げようとして、すぐにやめた。頬のあたりに触れてみたり、目を覗き込んだりしている。
「やっぱり、珍しいものなんですか?」
 南雲はそわそわしたように言う。
「100円ショップに売ってるわけでない、と言う意味なら」
 ナツは頷いた。
「これ、お祓いか供養した方が、良いと思います」
 メグが、彼女にしては珍しく途切れ途切れに言う。家主はその反応を見て、ますます満足したようだった。
「そうでしたか」
「こちら、証拠品として提出していただいても……」
 ナツが手袋を外しながら尋ねようとしたまさにその時だった。
「ではもうお帰り頂いて結構です!」
 南雲は明るく言い放った。
「は?」
 ルイは思わず礼儀を忘れた反応をしてしまう。バラエティ番組の司会者が、また来週とでも言うような気軽さで帰れと言う。
「どう言うことでしょうか?」
 やはりナツは刑事の表情をしていた。探る様な目で南雲を見ている。その視線に臆した様子も見せず、南雲は説明を始めた。
「いやあ、実はですね、この面が血を流す様子を、動画サイトで生配信しようと思いまして」
「何言ってんですか?」
「ホラーの人気は衰えませんからね」
「そういう話をしているのではないんですが」
 ルイは深呼吸した。
「ううん。良いんだ。僕も自分から引くに引けなくなってたから。ありがとね。それにしてもたまげたなぁ」
「あんなもん寝室に飾っとくとか、正気じゃないよ」
 ナツはまだ捜査一課の雰囲気を纏ったままだ。メグの顔色も悪い。
「メグ、怖い思いさせて悪かったな」
 姪が怯えていた、という話を聞いたレンは眉を寄せて詫びる。
「良いの。仕事だから。感情としては怖かったけど、皆いるから不安はなかったし」
 けろっとした顔で言う。切り替えの早さに、ルイは舌を巻いた。
「室長も悪かった」
「いえ、僕こそ仕事ですから。お役に立てず、すみません」
「あいつも良い大人だ。気にすんな」
「そうは言っても」
 ナツが目を細めた。刑事モードからまだ抜けきっていない。
「あの人、そう遠からず自分から助けてって言ってくると思うけどね」

詳細は本文をご覧ください(宣伝)。今回はこんな感じで佐崎がちょっと真面目なシーンがあります。

という事でかなり駆け足でしたが、また第5話も考えて行きますのでよろしくお願いします!

他の記事はこちら

創作記事まとめです。前後が気になる方はどうぞ。作品毎にまとめています。

これはとても真面目な話ですが生活費と実績になります。