ブルーロックと医学教育

ブルーロック、U22戦でみるのやめたんですが、いい漫画ですよね。
新しいかたちの教育がテーマの漫画なので、サッカー経験者には不評らしいですが面白く読めました。
最も印象的なシーンはここです。

「うん、熱いね。勝つか負けるか、生きるか死ぬか」
「その極限状態の死線を越える度に、ストライカーは覚醒を余儀なくされる」

「覚醒とは、思考と経験の蓄積の上に起こるパズルだ」
「失敗と試行錯誤を重ね、それでも勝とうと極限に立ち向かう時、バラバラだった成功へのピースが噛み合って、エゴは開花する」

「つまり覚醒とは、お前がお前を学習する瞬間だ」
「覚醒とは常に、極限状態でのみ起こる代物だ」
「たとえば自分より強大な敵と相対した時、弱者は己の能力を集約させることで…」
「勝つための新たな方程式を発明する」

ブルーロック(講談社)

日本の教育プログラムというのはとにかくコケないように、コケないように丁寧にやり方を教えていって、なるべく失敗せずに気分良く行かせてあげましょう。みたいな発想で組まれているなぁと思うことが多いんですよね。そのうえで何かしらの失敗に対して厳しくなるというか、あれだけ教えたんだから出来て当然だよね?みたいな感じの発想になっていると思います。
医学教育も全く同じで、なるべく失敗させないために事前説明でどうたらこうたらみたいな感じです。
ただ失敗することにはかなり価値があって、ああだこうだ教えるよりもとりあえず触らせてみて後からフィードバックしていくやり方も合理的と言えます。(最近の学生からはおそらく不人気な手法)その究極的な状況がブルーロックのこのシーンにつながると思うんですよね。1時間説明してシミュレーター1回触らせるよりも、説明は最小限で長い時間シミュレーターに触らせたほうが教育効果は高いはずです。シミュレーターひとつとっても医学教育というのは効率的ではない。そんな風に思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?