見出し画像

韓ドラとすばらしきOST

今日は、「韓ドラと素晴らしきOST」について書きます。

まず、「OST」とは、Original Sound Trackの頭文字をとったもので、日本語で一番近い言葉としては、「劇中歌」となります。

ただし、日本で言うサウンドトラック(背景に流れる音楽)とは、若干意味合いが違い、ストーリーを盛り上げる上で絶対に欠かせない存在。登場人物の心情や情景を表現したもので、作品とリンクした曲であり、ドラマと不可分の要素となります。それだけ、韓ドラにおいては、特に歌が大きな存在となっています。

したがって、名作と呼ばれるドラマには、必ずと言っていいほど素晴らしいOSTが付随しています。

経験上、そのドラマのOSTが、自分好みであれば、十中八九はそのドラマにハマってしまいます。

それだけ重要なOSTですが、まずは、色々種類のある韓ドラの中でも、個人的に好きな「ファンタジー物」の名作であるドラマのOSTから紹介していきます。

FOX RAIN(Lee Sun Hee)

まだ愛のことをよく知らないから   これ以上近づくことができない
でも何故か不器用な         私の心臓はドキドキしている
あなたに何度も踏みにじられても   そう簡単に去ることも出来ない
叶わない恋に            私の心はとても痛い

一日が終わり夜が来ると       私はずっとあなたのことばかり
情けなくてばかみたいな私      どうしたらいいの?
心が愛にしたがってしまうから    私はなにができるっていうの?
叶わないこの恋に          私の心はとても痛い

月の光がとても美しくて       ただここを去ることが出来ない
あなたのそばで少しだけ横になるね  ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ

このドラマ「僕の彼女はクミホ」は、アクションスターを夢見る演劇科映画科の大学生チャ・テウン(イ・スンギ)とテウンによって封印を解かれたクミホ(九尾の狐)であるミホ(シン・ミナ)の100日間の不思議な共同生活を描いており、共同生活を送るうちに、人間であるテウンを好きになったミホ(九尾の狐)の切ない思いを歌ったものです。

このドラマのヒロインであるミホを演じたのが、当時27歳のシン・ミナです。既に、この頃では、2005年制作でイ・ビョンホン主演の「甘い人生」のヒロインや「サッドムービー」の聴覚障害者で遊園地のパレード団員の役で有名でしたが、これらの映画とは全く違ったイメージの女性を演じました。

このドラマでヒロインのミホを演じたシン・ミナは、子供のように純真で天真爛漫でありながら、ミステリアスでクールビューティーと相容れないキャラクターを融合させ、この役が「はまり役」となり、その後、ロマンスコメディのクイーンの名を独占していきます。

このOSTの題名である「Fox rain」とは、空が晴れているのに少しだけ雨が降りかかる現象をいい、「天気雨」又は「狐の嫁入り」と呼ばれる天気の状態を言います。

青く晴れた空なのに雨が降る天気雨は、昔は、説明のつかない怪奇現象のように考えられていました。また、民間伝承の中に、人間にいたずらをしたり、変身したり、幻覚を見せたりする狐がたびたび登場するように、狐は人を化かす動物と考えられていました。

この2つの事が混ざって、日中に行われる狐の嫁入り行列を人間に見られないように雨を降らせていると言い伝えられるようになります。どこか幻覚を見せられているような天気雨は、これもまた狐の仕業と考えられていたのかもしれません。

さて、このドラマは、韓国に古くからあるクミホ(九尾の狐)を題材にしていますが、これと同様に韓国で有名なトッケビ(鬼)を題材にしたのがドラマ「トッケビ」です。

このドラマ「トッケビ」は、韓ドラファンであれば、恐らく一度は見たことがあるであろう名作です。

「トッケビ」のストーリーの芯となっているのが、仏教の「輪廻転生」です。「輪廻転生」とは、「さまざまな(生存の)状態をさまよう」ことを意味し、生ある者が生死を繰り返すことを言います。

そして、この「輪廻転生」は、仏教では「業思想」と結びついて倫理観が深められ、そして、現世で徳を積むことにより「輪廻」の状態を脱することを解脱(げだつ)・涅槃(ねはん)と言い、この解脱・涅槃を通して初めて人間はその業から離れて成仏できるという東洋独特の生死観を言います。

幽霊が見える女子高生チ・ウンタク(キム・ゴウン)は幼いころ母を失い、意地悪な叔母とその息子・娘のもとで暮らしていました。ところがある日、トッケビ(鬼)(コン・ユ)と出会い、自らが「トッケビの花嫁」であることを知ります。

トッケビは一千年の昔、謀反の冤罪で処刑された武将キム・シンが、神の悪戯で、処刑に使われた剣を胸に刺したまま死ぬことを許されず、現世に留まっていました。そして、トッケビの花嫁だけがその剣を抜くことができる人物であり、唯一トッケビの不死の呪いを開放できる人物であり、トッケビにとってはまさしく「運命の人」でした。

二人は出会い、愛し合い、トッケビは「業」が開放されることを願いながらも、同時に運命の人との別れを躊躇する心情が歌い上げられているのが、この「stay with me」です。

stay with me (CHANYEOL(EXO)&Punch)

このドラマの面白い所は、このトッケビとトッケビの花嫁の話がメインとなっていますが、同時にサブストーリーとして、死神とその死神となった男が愛した女性の物語が描かれていることです。

例え、生まれ変わっても、赤い糸で繋がり続けている人こそが、「運命の人」であると歌っているのが、この「I miss you」です。

I miss you(soyou)

このドラマで、主演であるコン・ユやキム・ゴウンに負けず劣らず存在感を示しているのが、死神役のイ・ドンウクとその運命の人であるサニー役のユ・インナです。

因みに、この二人は、「トッケビ」以来、視聴者に愛されたカップルといわれ、2019年には、「真心が届く」で再び共演をしています。

そして、このユ・インナが出演しているドラマが、2010年の「シークレットガーデン」です。

御曹司社長のキム・ジュウォンは、あるキッカケで、親も名もない貧しいスタントウーマンのライムに一目惚れします。しかし、ライムは、傲慢で住む世界が違うジュウォンを拒絶します。

そんな二人が、ある日、シークレット・ガーデンに迷い込んでしまいます。そこで貰った秘密の酒を飲んだことにより、二人は、たびたび心が入れ替わるようになります。

そして、心が入れ替わるごとに、お互いに理解し合うようになり、お互いを意識するのですが・・・

そんな好きなのに素直になれない乙女心を切々と歌ったのが、この「その女」です。

That Woman (Baek Ji Young)

このドラマは、日本でも人気となり、そのOSTを歌っているペク・チヨンが、日本語で歌っています。上の動画は、その珍しい日本語で歌っているバージョンとなります。

男前を演じることの多いハ・ジウォン、そして、まだこの頃は、線の細い貴公子のようなヒョンビンが、お互いの心が入れ替わるといった難しい役を不自然に感じさせないような見事な演技をしています。

因みに、このドラマに歌手のサン役で登場しているのが、『君の声が聞こえる』、『ピノキオ』、『あなたが眠っている間に』などドラマや映画で有名な俳優イ・ジョンソクです。

しかし、ヒョンビンといえば、伴侶であるソン・イェジンと共演した「愛の不時着」であり、このドラマによって、一時は韓ドラブームが去ろうとしている時に、再び、引き寄せたのでも有名です。

このドラマは、ストーリー、キャスト、そしてOSTのすべてが、素晴らしい作品となっています。

「愛の不時着」は、韓国の財閥令嬢で実業家でもあるユン・セリ(ソン・イェジン)と朝鮮人民軍軍人のリ・ジョンヒョク(ヒョンビン)の愛を描いたドラマであり、南北朝鮮、38度線で隔たれた男と女の物語。いわば、韓国版ロミオとジュリエットです。

そして、出会ったことが、喜びであり同時に苦しみでもある事を歌ったのが、この「私のすべての日」です。

나의 모든 날 (私のすべての日) セジョン

この歌を、女性アイドルグループ「gugudan」のメインボーカルであり、解散後は、「悪霊狩猟団: カウンターズ」、「社内お見合い」、「「今日のウェブトゥーン」で女優として活躍しているキム・セジョンが歌っています。

健やかなる時も 病める時も
喜びの時も 悲しみの時も
富める時も 貧しい時も
これを愛し 敬い 慰め合い 共に助け合い
その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?

悲しみ深い時も 喜びに充ちた時も
共に過ごし 愛をもって互いに支えあうことを誓いますか?

これは、結婚式の誓いの言葉であり、どんな事があっても、愛する人と心通わすことが、最高の愛情表現であることを歌っているのが、下の「心を差し上げます」です。

この歌の終わりには、愛することの喜びと共に、愛すれば愛するほど切なくなる愛の苦しみを、「思い出だけ残ることがありませんように」という言葉で締めくくられています。

마음을 드려요(心を差し上げます) IU

この歌を、表現力豊かに歌い上げているのが、歌手のIUです。

IUの本名は、イ・ジウン。IUは芸名であり、「音楽で君と私は1つになる」という意味を持っているそうです。歌手として活躍する時はIU。俳優として活躍する時には、この本名であるイ・ジウンを名乗っています。

IUは、不遇の幼少時代、長い下積み生活と練習生の時に詐欺に会い、育ててくれた祖母が、市場でアクセサリーを売って作ってくれた金を騙されるなど苦難が続きましたが、持ち前の表現力で、次第に名が知れるようになり、歌手としてそして俳優として活躍するようになります。

しかし、彼女は、周りの人に支えられて来た事を忘れずに、奢ることなく、そして、不運の人へ積極的に支援するなど人間的にも素晴らしい女性として輝き続けています。

そんな彼女にも、ソン・イェジンがヒョンビンと出会った様に、2022年に俳優のイ・ジョンソクと出会い、恋に落ちます。
3年目の今年には、破局説も流れましたが、今年の9月のIUのコンサートにイ・ジョンソクが現れるなど、破局説を一蹴しています。

ソン・イェジン、ヒョンビンの様に、ビックカップルが再び誕生するのではと期待されています。

落ちが付いた所で(?)、今日は以上で終了したいと思います。
最後まで読んでもらい、ありがとうございます。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?