『科学する麻雀』を眺めて

 こちらは麻雀界に革命をもたらしたと言われている『科学する麻雀』
 英訳すれば、

Science of Mahjong

と言ったところか。

 この本、なんと1000円未満である。
 私の最新の本『データで勝つ三人麻雀』の半分以下である。

 これだけの情報が1000円未満で得られるとは、、、。
 15年前のこととはいえ、すごいことである。


 さて、『科学する麻雀』に対する論評として、

統計の本にすぎない

という論評がある。
 しかし、本を読めばわかる通り、この本は統計(実測)の本ではない。
 麻雀の理論・シミュレーションについて記した書籍である。


 例えば、3章の戦術論。
 この戦術論の根拠として用いられているデータ、つまり、和了率や局収支はシミュレーションによって求めたものである。
 統計(実測値)ではない。
 無論、このシミュレーションの元となるモデルを作ったのは凸である。

 あるいは、2章に書かれている点棒状況から平均順位やトップ率を予測する方法。
 これもシミュレーション(理論)である。
 特に、点数状況からトップ率を予測する理論(モデル)については私には到底作れそうにない。
 この理論をどうやって凸が思いついたのか、「トップ獲得力」なる概念をどうやって思いついたのか、それを文章にするだけでも研究者にとって参考になるのではないかと思う次第である。


 というわけで、麻雀の数理的理論を著した書籍はこの書籍しかない。
 だから、理論的麻雀研究を始めようと思ったらこの書籍から始めるしかない。
 それは15年経過した今でも変わりはない。
 よって、この本は麻雀研究にとって今でも必須の本である。

 なお、私も麻雀の理論を著した書籍を書きたいものだと思っていたが、長年果たせなかった。
 おそらく果たせないまま終わることだろう。
 私にできることは、凸の理論をこのNOTEに示すくらいのことである。


 少し話題がそれた。
 というわけで、『科学する麻雀』は立派な理論の書籍である。
 統計の本ではない。
 麻雀において「データが大事」などと言いながら、「『科学する麻雀』は統計の本だ」などと言っているようでは、その人の麻雀データに対する理解が疑われてしまってもしょうがない。
「麻雀のデータが大事」などと言っている方はその辺を間違えないでいただきたい。


 ふと、本棚に置かれている『科学する麻雀』を見て、こんなことを思い出した。
 では、今回はこの辺で。

もし気が向いたら、サポートしていただければありがたいです。 なお、サポートしていただいた分は、麻雀研究費用に充てさせていただきます。