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局収支の求め方

1 局収支の求め方とその難点

 局収支、点棒収支期待値というのは次の10個のパラメータによって求められている。

(局収支)=(和了率)×(和了時収入)
      +(放銃率)×(放銃時収支)
      +(被ツモ率)×(被ツモ時収支)
      +(横移動率)×(横移動収支)
      +(流局率)×(流局時収支)

 このように、局収支は5個の確率と5個の平均値によって導出される。
 私はこれらの数値について

和了時収入については計算(計算の元となるのパラメータは牌譜解析)
それ以外については牌譜解析

によって求め、局収支を計算している。
 

 ところが、10個もパラメータを用意して計算するというのは面倒である。
 そこで、簡易に数値を求めるため、和了できなかった場合の諸数値を一括して扱うことを考えたい。

 つまり、局収支の求め方を

(局収支)=(和了率)×(和了時収支)+(非和了率)×(非和了時収支)
     =(和了率)×((和了時収支)-(非和了時収支))+(非和了時収支)

と近似する方法を考える。


2 局収支の近似式を求めるためのパラメータ

 特に条件を付さなかった場合の放銃率などのパラメータは以下のとおりである。

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 よって、これらの数値を用いれば、非和了率・非和了時収支を求めることが可能になり、局収支の近似式もできることになる。
 具体的には非和了時収支は

(非和了時収支)
 = 1 ÷ ((放銃率)+(被ツモ率)+(横移動率)+(流局率))
  × (  (放銃率)×(放銃時収支)
      +(被ツモ率)×(被ツモ時収支)
      +(横移動率)×(横移動時収支)
      +(流局率)×(流局時収支))

で求められる。

 ただ、これは全体の数値である。
 とすれば、煮詰まった場面(例えば、立直がかかっている状況)で使うのは注意が必要だろう。
 現段階でこの数値を使って局収支を見積もれるのは、煮詰まっていない場合、例えば、

自分が先制する場合
自分がイーシャンテン・リャンシャンテンの手牌で先制されていない状況


などが考えられる。


3 局収支の近似式

 以上のパラメータを用いて非和了率・非和了時収支を求めたところ次のようになった(確率は小数点第1位で、収支は上2桁で四捨五入)。

親子全体 非和了率79% 非和了時収支-1700点
親 非和了率76.6% 非和了時収支-1800点
子 非和了率79.8% 非和了時収支-1600点

 よって、局収支の近似式は次のようになる。

(親の局収支)=(和了率)×(和了時収入+1800)-1800
(子の局収支)=(和了率)×(和了時収入+1600)-1600

 こうすれば、

「どれくらい和了できるか」
「和了したらどの程度点数をゲットするか」

の2つのパラメータだけで局収支が見積もれることになる。
 是非、簡単に計算したい場合は活用していただきたい。


4 『「統計学」のマージャン戦術』との齟齬

 なお、今回書いた内容は『「統計学」のマージャン戦術』の18ページに書いた(式1-2)と同じである。
 そして、本では、「子の非和了時収支が-1500点」となっていて、今回とは100点ずれている。

 まず、この100点の差が致命的かという点についてはそんなことはない。
 というのも、場況によって局収支が数百点ずれることはちょくちょくあることを考えれば、100点違うことによって結論が大幅に変わることはちょっと考えられないからである。

 とはいえ、「何故結論を異にするのかは」気になるだろう(もっともである)。
 こうなった理由は3点あり、

1、今回は放銃時「支出」などを用いて計算したが、本では「放銃素点」などを用いて計算した
2、牌譜の検索対象が異なる(本では2015年まで、今回は2017年まで)
3、1500の方がきりのいい数値だったので採用した
 
ためである。
 特に、1が重要である。
 本に掲載する際には、積み棒・供託立直棒の影響を外すため素点で計算した。
 例えば、放銃時収支=放銃素点、被ツモ時収支=被ツモ素点、横移動時収支=0として計算した(流局については同じ)。
 その関係で、非和了時の失点が少なく見積もられている。
 今回は積み棒供託棒こみで計算した。

 支出と素点のどっちで計算すべきかについては、私自身よくわかっていない。
 ただ、100点しか差がつかなかったことを考慮すれば、あまり悩む必要もないと考えてはいるが。


 以上、局収支の求め方について記事にした。
 参考にしていただけると幸いである。

 それでは。

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