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私が書きたい本

 私にはどうしても書きたい本がある。
 それは「麻雀研究入門(仮)」という本である。

 どんな本か。
 目次ができているので、それを見てほしい。

はじめに
テーマ1 本書を書くきっかけ
テーマ2 何故数値を使うのか
テーマ3 麻雀における主要なデータ
テーマ4 データを求める方法1 牌譜解析
テーマ5 データを求める方法2 計算とシミュレーション
テーマ6 麻雀研究と宗教
テーマ7 結論が異なる理由
テーマ8 局収支論、その根拠と限界
テーマ9 「状況によらない」は思考停止か
テーマ10 「定量的議論」のための方法
テーマ11 とつげき東北の局理論について
おわりに

 この本は「データ」について書いた本である。
 戦術について一切触れられていない。

 例えば、「平場において、先制ピンフのみ聴牌は立直すべき」という戦術論がある。
 その根拠として、「牌譜解析結果から得られた数値を元に計算したところ、立直の局収支は1100点、ダマ局収支は200点であり、立直の方が局収支が高い」というのがある。
(いずれも『「統計学」のマージャン戦術』から引用している)

 この本はこのような戦術とその根拠に関し、「局収支とは何か」、「平場とは何か」、「牌譜解析結果とは何か」などデータに関して説明している本である。
 あるいは、麻雀研究によって出されたデータがどんな前提を置いているのかを説明する本である。

 この本は具体的な麻雀戦術について書いた本ではない。
 しかし、巷に出回っている数理的背景に基づく麻雀戦術を深く理解する、あるいは、数値的に応用するためには必須のもの、とは思っている。


 では、何故こんな本を書こうと思ったのか。

 以前、私は『統計で勝つ麻雀』なる書籍で「近い将来、数理的に麻雀研究をするものはいなくなるであろう」という悲観的な見通しを述べた。
 そして、その見通しは今のところ外れていない。

 私の見通しが成立し、研究者が一切いなくなるとどうなるか。

 データそれ自体は書籍があるからある程度は残る。
 しかし、データの背景・研究者が立っていた前提などは知識としては残らないであろう。
 とすれば、研究者がいなくなれば、つまり、数値的麻雀研究の継承線が途絶えてしまうと、再び何者かが研究をリスタートしたときに、データの背景などを理解しないまま研究をリスタートせざるを得なくなる。
 結果、その者は一から思想・理論を組みなおさなければならない。
 それは、車輪の再発明を強いる行為であり、無駄である。
(この点、「インターネットに残せば大丈夫」という意見もあるが、ウェブサイトなど個人がやめようと思った瞬間消えてしまうものである。よって、それほどあてになるものではない。現に、私は過去4年間公開していたブログをあっさりと全部消し飛ばした)

 その無駄を防止するため、とつげき東北以降の麻雀研究者らがどんな前提に立っていたのかということを残しておく、これが本書の目的である。
 もちろん、『科学する麻雀』には理論も思想も書かれているが、『科学する麻雀』以降については資料がないので、その点を補うことできる。

 また、研究者以外の者、特に、プレーヤーが数値的背景を理解することは数値的観点から理論を応用させることが可能になるだろう。
 それは、研究課題の発見につながるので、麻雀研究の発展にとっても有益であると考えている。


 少し前であるが、鈴木聡一郎先生が次のようなツイートをされていた。

 私の目標は数値的麻雀研究という料理の考え方を示すことである
 無論、私の考え方が正しいわけではない。
 ただ、料理の考え方が残されていない・知られていない状況だけはまずいので、そこを後世に残しておく、検証対象として公開する、それが本書を書く動機である。
 もちろん、売れる本ではないので自費出版になってしまうが。


 と考えて、原稿に向かいだしたのだが、既に半年が経過している。
 書き終わったのは、テーマ1とテーマ2の半分だけ・・・。

 せめて9月末までには本にしなければ。

もし気が向いたら、サポートしていただければありがたいです。 なお、サポートしていただいた分は、麻雀研究費用に充てさせていただきます。