ソラを見上げて #02 夢への第一歩
―○○の部屋・朝―
(衝撃の出会いから一夜明け…)
◯:ふぁ……
?:あ、起きた。おはよ
〇:あれからどこにいたんですか?
?:幽霊だもの。姿を消すことくらい朝飯前よ?
◯:はぁ……夢じゃないんですね
?:一晩一緒にいた仲じゃない。今更他人行儀な事言わないで。
他人っていうか、死人だけど。
◯:さ、朝ごはん食べよ
?:ねー、少しくらいひと夏のアバンチュールごっこ付き合ってよー
◯:18歳をそんな危険な遊びに巻き込まないで下さい
?:ちぇっ、つまんないの
何を呑気に話をしてるんだ。早くこの状況を何とかしないと僕の生活は滅茶苦茶だ。
◯:本当にここにいるつもりですか?
?:うん。だって地縛霊だもん。
◯:地縛霊、ですか。
?:そ。だから私はここから動けないの。ついでにアナタに憑いちゃったし
◯:証拠は?
?:へ?
◯:百歩譲って幽霊だとして、アナタが地縛霊だっていう証拠は無いですよね? デマカセ言ってここに棲み憑こうとしてませんか?
ソ:しょ、証拠って言われても……
◯:嘘をついて、僕に迷惑かけて喜んでるだけじゃ……
?:うぅ……
◯:言い返せないのは図星って事じゃないんですか?
?:……うぇ〜ん
◯:ちょ……ちょっと、泣くことないじゃないですか。
?:私、地縛霊だもん。ぐす、きっとこの世に未練があってこうなったんだろうけど思い出せないし、だからって証拠なんて言われても分からないもん! でも地縛霊なんだもん! うわぁぁん!
◯:ご、ごめん。別に追い詰めようとした訳じゃ……
?:しんじでよぉ〜(信じてよ〜)
◯:しっ信じる! 信じるから! ね?
?:ぐす……ほんと?
◯:うん本当! もうどこからどう見ても地縛霊!
僕は何を言ってるんだ?
?:じゃあ、ここにいてもいい?
◯:あ……いや、それは……
夢を叶えるためだ。心を鬼にして言うしかない。
?:私地縛霊だし、憑いちゃったからアナタのそばにいるしかないの……
◯:……勉強の邪魔にならないなら、まぁ
?:うん、邪魔しない
◯:ここに残った理由、ちゃんと見つかるんですか?
?:うん、きっと見つけるから。
◯:じゃあ、その間だけなら……
?:やったぁ♪
こうして僕は地縛霊の涙に負けて、
夢への第二歩目すら盛大に踏み外した。
少なくともこの時は、そう思っていた。
ーつづくー
【おまけ】
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