ソラを見上げて #03 君の名は。
―○○の家・休日の朝―
〇:あの、今更なんですけど……
?:どうしたの?
〇:お互いに名前を知らないっていうのもどうかと思って。
?:そういえばそうねぇ
〇:ずっとアナタって呼ぶのも失礼ですし……
?:じゃあ自己紹介しよっか!
(というワケで、自己紹介することになりました)
〇:僕は○○、18歳です。
?:うん。じゃあこれから○○って呼ぶね。
〇:はい。ではどうぞ
?:えっとね、実は……そのぉ……なんていうかぁ。
〇:どうしたんですか?
(幽霊は気まずそうな表情で両手の人差し指を擦り合わせている)
?:覚えてないんだよね……名前
〇:噓でしょ?
?:いやぁ、ホとシは入ってた気はするんだけどさ……
〇:ホとシだけですか? それじゃサッパリ分からないじゃないですか
?:うーん。なんだったかなぁ
〇:困りましたね。思い出せないんじゃ、何て呼んでいいか……
?:まいったわね。さっぱり思い出せない。
〇:じゃあ何か呼び方考えましょうか。
?:え? 考えてくれるの? 嬉しい!
〇:ホシ子さん。で、
?:待って。ネーミングセンスどうした? 実家に置いてきた?
〇:いいじゃないですか。どうせ思い出すまでの間だけなんだし……
?:その名前でラスボスまで戦える? エンディングで泣ける? 仲間の名前がクラウドとかセフィロスだったらどうするの?
〇:え……どう、なるんですか?
?:こうなるの!
?:こんな緊張感無い画、耐えられる? お願いだからリセットして!
〇:人の名前なんて考えた事無いし……ていうかセフィロスって誰?
?:とにかくやだ。もっと可愛いのにして
〇:例えば?
?:エリカ様★
(髪をなびかせ、得意げに答えるエリカ……ではなく幽霊)
〇:却下です
?:なんで!?
〇:名前の響きに対して、見た目とキャラに違和感が発動しました。
?:酷い!
〇:もういいじゃないですか、ホシ子さんで。
?:嫌よ。ホシなんて“死んでます”ってアピールしてるみたいじゃない
〇:だって実際に……
?:他のにして!
〇:じゃあ、ソラ!
?:お?
〇:青空のソラ。
?:ほほぅ。
〇:ホシ(星)は嫌なんでしょ?
?:悪くないだろう
(満更でもない表情の幽霊)
〇:やれやれ……じゃあソラに決定で
ソ:ふふん♪ ソラね……ソラか。ソラ♪ ソラ♪
(付けられた名前を歌うように繰り返すソラ)
〇:うるさいですよ
ソ:なによー、名前のインストール中なんだから邪魔しないで
〇:二文字くらい一回で覚えられるでしょ? アホなんですか?
ソ:酷い!(二回目)
彼が私に名前を付けてくれた。
それはとても心地の良い響き、透き通った素敵な名前。
その日から、私はソラになった。
ーつづくー
【おまけ】
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