ボイスロイドキッチン解説「③撮影」

はじめに

この記事は、ボイスロイドキッチン解説「②台本」の続きになっています。
ここからはかなり具体的なテクニックの話になるので、撮影テクニックだけ知りたい!という方は前回を読まなくても大丈夫です。

さて、前回まではコンセプトを決め、それに従って台本を作るという話をしました。
今回は、ボイスロイドキッチン解説第三回と題しまして、6つの工程のうち三つ目「③撮影」の項目に移っていきたいと思います。
ここからは、具体的なテクニックの話になっていくので、調べたら出てくるものばっかりです。

③撮影

この「撮影」の段階では、台本に沿って決めた画を撮影していきます。
コンセプトに込めたメッセージ、そしてそれが伝わる映像を撮影していくのがこの段階です。
当然、メッセージが伝わるベストなテクニックや画質や機材などはありますが、そこは手持ちとの兼ね合いになります(機材高いし…)。

今回ここで解説するテクニックは、シンプルな構図のお話と、手短にライティングの要素について解説します。

構図

ではまずは構図について。
構図とは、被写体の配置をパターン化したもの。
日の丸構図とか三分割法とか、そんなかんじのやつです。

ですが、今回はアングルと距離の二つの要素に絞ってお話します。

ボイスロイドキッチンで使いやすい構図パターンは3つです。
・近距離、水平
・中距離、ハイアングル
・中距離、水平

構図の項目では、これらを個別に解説します。

近距離、水平アングル

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被写体に近づき、水平方向から撮ることで被写体の一部、または全体を強調するような構図になります。
距離感は指が写る程度、角度は水平といっても感覚的には30°くらいも含んだりするので、曖昧ですが……

例えば野菜やトンカツなどの断面や、料理のツヤ感を引き出すときはこの構図を用いることが多くなります。
お皿や他の盛り合わせはあくまで背景、後ろはぼかしボケたりするとさらにいいですね。
フレームからはみ出した料理の写真、という構図も含まれます。

中距離、ハイアングル

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被写体の全体~背景を映すような、客観性を持たせる構図です。
距離感としては手首から腕が写るくらい、角度としては30°~60°といったかんじです。

例えば鍋の中全体を映したり、まな板で切る作業そのものを映したいときに用います。
品数が複数ある食卓を収める使い方もいいですね。

これ以上遠くなると、肩や上半身など中の人が映りこむ距離になるので、ボイスロイドキッチンでは使いにくくなります。

中距離、水平アングル

中距離水平

被写体に奥行きを出しつつ他のモノとの立体感を出す際に使われるアングルです。

例えばフライパンの中身の動きを強調したいときとか、食卓の立体的な盛り付けとか、そういう場面で用います。

先に紹介した中距離、ハイアングルのものに近いですが、奥行きを出すか、全体を映すかという違いがあります(画重視か説明重視かという感覚?)。

……という3つが構図の話になります。
今回紹介したのはざっくりとした3つですが、さらに被写体の位置関係についての構図もあるので、興味がある方は調べてみてください。


ライティング

ライティング(lighting)とは、単純に光の当たり具合だと思ってください。
光源の強さ、方向と距離、そして色温度によって画の雰囲気を変えていきます。


方向

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料理を美味しく見せる場合は基本的に逆行か半逆行方向から光を当てます。
こうすることで、料理にツヤ感が出て美味しそうに見えます。

ただし、逆光だと手前が黒く潰れがちなので、レフ板などで反射し正面の暗さを抑える形になります(上の写真では2つ目のライトを使ってます)。

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光源が正面方向、順光だとのっぺりしたかんじになりますが、料理の手順を説明する場合ならこれでもいいかもしれません。


色温度

次に重要なのは色温度。
ざっくり説明すると、色の感じさせる温度、つまりオレンジっぽい光か、白っぽい光か、ということです。

↓白っぽい↓

たこらい白

↓オレンジっぽい↓

たこらい赤


色温度は、色の温かみなどを示すケルビン(K)という単位で表されます。
一般に料理は自然光で撮るのがいいとされていますが、撮影用のライトであればある程度再現できるので余裕があれば用意するといいかも。
朝日や夕日などは3000K、太陽光は5000Kくらいです。

夏らしさ、新鮮さなど、パリッとした雰囲気にしたい場合は白方面に、暖炉の前などの温かみや、落ち着いた雰囲気を出したいときはオレンジ方面に色を持っていくといいでしょう。

とはいえ、色温度が細かく調整できるライトはそれなりに値段がするのでお財布と相談してください。


光の強さ
光を強くすると、順光の場合はよりのっぺりと、逆光の場合は影でつぶれて手前が見えづらくなります。
なので、強い光を当てる場合は工夫が必要になります。

↓逆光を強く、順光を弱く当てた例↓

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例えば逆光の場合、レフ版で順光方向から反射させることにより、手前側もある程度明るくすることができます(上の写真のように)。
また、逆光の光源と弱めの順光の光源を組み合わせることで、影をつけつつ黒く潰れない、という奥行きのある絵を作り出すことができます。

光が強すぎる場合は、ディフューザーを使うことで柔らかい光に変えることも必要になるかもしれません。
ライトの大きさに寄りますが、スマホくらいのライトであればティッシュをかぶせたりすることで光を抑えることができます。



(本編ここまで)


…という撮影についてのお話が終わったところで、第三回「撮影」のパートは終わりです。

スマホから10万のカメラまで、三脚もいろいろな種類がありますので、撮影は極めようと想ったら本当に奥が深いです。
テクニックについても、調べただけでは引き出しに過ぎず、実際に仕えるかどうかはやっぱり経験と慣れが必要です。
調理パート、実食パートの出来栄えを左右する大きな要素なので、興味がある人は極めて見るといいかもしれません。

次回はいよいよ第四回、「編集」になります。
きっちり決めてしまえばあとは作業なので、地道にやるだけです。
ただ、そこにも細々としたテクニックがあるので、それらを解説していく予定です。

それでは、第三回、「③撮影」の解説を終わります。
ここまで読んでくださりありがとうございました。