ボイスロイドキッチン解説「①コンセプト」

はじめに


この記事は、動画の制作の流れを、ボイロキッチン的事例を絡めて解説していく内容となっています。
動画の方向性ややり方が彷徨っているときの一つのアンカー(錨)としての役割が持てたらと思って書きました。

今回紹介するのは自分のスタイルなので、コメントでいろんな人のやり方を持ち寄る議論の場にしていただけたらと思います。
 
また、この記事は何回か動画を作ったことのある人向けの記事になっています。
全くの初心者の方がこの記事を見ても、分かりにくかったり実感がわかなかったりする部分が多いと思うのでご了承ください。

この記事では、全体的の流れを以下の6つに分割し、それぞれの工程について解説していく、という流れを取っています。

①コンセプトを決める
②台本を書く
③撮影する
④土台を作る
 ・セリフを入れる
 ・字幕を入れる
 ・立ち絵、映像を入れる
⑤細かい編集
 ・演出、エフェクトをかける
 ・音声、色の調整
⑥最終調整
 ・エンコード→チェック
 ・最終エンコード、うp

全体で12000文字ほどの分量になるので全4記事に分け、今回の記事では「①コンセプトを決める」について解説していきたいと思います。長文になりますがお付き合いいただけたら幸いです。


①コンセプトを決める

ではまず、コンセプトについて。
コンセプトとは、ずばり動画の方向性や在り方。
何のための動画で(why)、何をする動画で(what)、どのような動画か(How)を決めたもののことです。
あらゆる基準を明確にし、動画に方向性を持たせるためにまずコンセプトを定めます。
コンセプトに含まれる「面白さ」の方向性を具体的に決めてやることで、面白い動画を作ることも可能になってくるのでしっかり固めたいところ。
……もちろん、技量も必要になるので、そこは別途がんばる必要がありますが。

自分が思うコンセプトの定義はこんなかんじなんですが、たぶんわかりにくいと思うので、次は具体例を挙げて考えてみます。

(例1)
日本酒の良さを伝えるための(why)、
割烹料亭のような雰囲気で空腹に訴えかける(How)
おつまみと日本酒の動画(what)。

(例2)
視聴者を笑い転げさせるために(why)
ボイスロイドのセリフ回しとグロい絵面に力を入れた(how)
虫を食べる動画(what)

……といった具合でしょうか。(本当はもっと詳しく決めたほうがいいかも)。
例を見ると、なんのための動画で、何をする動画で、どのような動画か、という3つの要素がそろっていることがお分かりいただけるかと思います。
このコンセプトの3要素、2W1Hがあることで、動画の方向性がなんとなく見えてきたのではないでしょうか。
コンセプトを最初にきっちり決めておくと、後々の作業が楽になったり、動画の方向性が暗礁に乗り上げたりしなくなったりと、細かい面でもいいことずくめです。

さて、先ほどコンセプトは3つの要素で構成されると言いました。
ここからは、この3つの要素について個別に解説していきます。


「目的」(why)

コンセプトのうちwhyにあたる部分です。視聴者をどうしたいか、自分にとってどういうメリットのある動画にしたいか、などといった動画の意義です。

例えば、「視聴者に飯テロしたい!」とか「イタリア料理の歴史を紹介したい!」とか、あとは「視聴者とコメントで触れ合いたい!」というのも立派な目的です。

目的があることで、動画における優先順位や方向性、そして手段(how)やテーマ(what)を決める際の大事な指標にもなります。
なぜその動画を作るのか、自分に問いかけてみましょう。


「テーマ」(what)

何をする動画を作るのか、というwhatに当たります。
例えば「唐揚げ」。あとは「元板前による寿司」、「チャーハンRTA」など。
料理のテーマというだけでなく、どんなふうに料理を作るのか、というのもテーマに含まれます。

視聴者が第一に知りえる情報でもあり、興味を引くテーマが設定できるかどうかでサムネイルのクリック率が変わります。
また、テーマだけで動画のアイデンティティが確立されてしまうこともあるくらい、非常に大きなウエイトを持っている要素なので、ここも力を抜けないところ。

自分のやりたいテーマは何か、視聴者が求めているテーマは何か、という綱引きのどこに落としどころを見つけるかが難しいポイントです。


「手段」(How)

ここでは、動画の雰囲気や魅せ方、どういう面白さかなどなど、「どうやって」動画の目的を達成するか、その要素を決めていきます。

例えば、「飯テロがしたい!」という目的に対して、

・大人な雰囲気のゆかりさんが語り手(使用する立ち絵、キャラクターの性格、設定)
・ジャズBarのようなゆっくりした雰囲気とテンポ(動画の雰囲気やテンポ)
・陰影の強い、暗くおしゃれな映像(映像の撮り方、魅せ方)
・知的好奇心をくすぐる大人な会話を中心に

といった手段も取れるし、

・琴葉姉妹が家でご飯を作るという設定、茜はダメダメで葵はしっかり使用する立ち絵、キャラクターの性格、設定)
・明るい家庭的な雰囲気の背景やBGM(動画の雰囲気やテンポ)
・ライトは白くツヤ感のある映像(映像の撮り方、魅せ方)
・葵の解説や茜のギャグも挟んだ、明るいやり取りがメイン(動画の雰囲気やテンポ)
・食レポはネタたっぷり

 といった手段も取れます。

手段の要素は動画の流れに非常に大きな影響を与えるのがお分かりいただけますか?
山頂へ向かうにしてもルートが複数あるように、目的やテーマが一緒でも、人によって全く異なるのがこの手段の要素です。
自分の好みで決めるもよし、視聴者が好きそうなものを入れるもよし。自由度が非常に高い分センスが問われます。


ちなみに、これら3つのうちどこから考えるかは動画によります。
唐揚げを作りたい!というテーマから入る人もいれば、ギャグで視聴者を笑わせたい!というところから入る人もいるので、しっくりくるところから考えるのがいいですね。


(本編ここまで)


……はい、というわけで長くなりましたが、第一回目の解説はこれにて終わりです。
次回はここで作ったテーマを、どうやって形にするか、「台本」という段階の解説をしていこうと思っています。
また、ご意見ご感想などありましたらコメントして行ってくださると助かります。
それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました。