見出し画像

「座る」と「坐る」、どう違う?

 「すわる」をPCで文字変換してみると「座る」「坐る」「据わる」と、3種類の漢字が出てくる。
 この中で、「据わる」は、「赤ん坊の首が据わる」とか「肝が据わる」など、安定した「状態」のことを表しているわけで、「動作」としての「すわる」ではないので除外するとして、残る2つ「座る」と「坐る」はどう違うのか・・・。

 「坐る」のほうには「⇒座る」という注釈が付いてくる。Goo辞書を引いてみても、2つが併記してあるだけで、字義の違いについては全く書かれていない。同じ意味なのであれば、なぜ2種類の漢字がこの世に産み出されたのか?

 当用漢字表に「坐る」はない。実際、学校の国語の授業では、「座る」は習うが、「坐る」は習わない。

 もしかすると、漢字簡略化の流れに沿って「坐る」は「座る」の略字として生まれたのではないか?  とも思ったが・・・。

 そうではなかった。結論から申し上げると、「坐る」のほうが使用法として正しいということになる。本来は「坐」が、すわる動作をあらわし、「座」は、「座席」など、すわる「場所」を指す文字だった。当用漢字表以前の教育を受けた人は、「すわる」動作を表す言葉として「坐る」と習ったのである。

 昭和21年に、当用漢字表を作成する際、同じ音で意味の似通った漢字があった場合、一方は省くという方針から「坐」が省かれてしまい、すわるという「動作」を表す場合も「場所」を表す場合も「座」が使われるようになった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?