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モノクロからグラデーションの世界へ ~ 認知発達論とペリー ~

今学期履修している How adults learn (おとなの学びかた)という授業、

いきなり初回授業から Dualism (二元論) と relativism (相対性理論) からはじまり、我々生徒は大混乱でした。

まだ始まったばかりですがすでに何十ページもリーディングをして、少しずつ見えてきたので今日は cognitive development (認知発達) についてまとめておきます(ぶっちゃけ、日本語で書かないと理解しきれない)

Cognitive Development (認知発達)理論

そう、認知発達理論といえばまずはこのひとが思い浮かびます

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John Piaget (ジョン・ピアジェ)さん。

で、す、が、

今日はこちらの・・・

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William G. Perry (ウィリアム ペリー)さん!

1913 – 1998とわりかし最近の理論家さんです。

(ちなみに、William のあだ名は Bill というのが欧米では一般的なのですがすっかりそのことを忘れていて、文献にはBill とでてくるから全然該当する人が調べてもでてこなくて戸惑いました笑)

彼は認知発達論のなかでも特に長年higher education に焦点をあて、学生の認知発達の研究をされていた方です。

※Higher education とは大学、高等・専門学校などを指します。

まずはペリーさんの言葉を引用します

As students' thinking changed, so did their self-concept, their roles, their ways of interpreting the world around them.

ペリーさんはとにかく、「生徒がどんな風に考えているかに耳を傾けるべきだ!」ということにこだわっていました。そして、生徒はその考え方に基づき、自己概念や役割、世界の意味づけの仕方を形成しているのだ、というような内容です。

そして、そこから誕生したのが Perry's Schemeという、学生の認知発達を9つのステージにわけたものです。

Perry's Scheme of cognitive and ethical development 9つのステージ分類

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(無料画像から引っ張ってきました)

細かく分類すると上記4つがさらに9つに分類されます。細かいカテゴリーの日本語訳はややこしくなりそうなのですっ飛ばします!!笑

学生が「学び」「知識」に対してどんなattitude (態度)かどうかという認知発達のステージです。

① Dualism(ステージ1,2)

このステージの学生はとても明白。正しいか正しくないか、白か黒か。

先生、教授に教わることがすべて。とにかく正しいものは正しいし、正しくないものは正しくないんです。

「これってテストにでますか?」「正しい答えを教えてくれますか?」って尋ねたがる。

学生は 正しい解決策を学ぶこと正しいと習ったこと以外は無視すること などの態度をとります。先生の権威は絶対的なものです。

② Multiplicity (ステージ3,4)

この段階になると、「あれ、すべてに答えがあるってわけじゃないの…?」「他にもいろんな意見ってあるんじゃない?」と気づき、異なる意見にも耳を傾けるようになります。

先生のauthority(権威)もゆらぎ、「このひとのいってることって本当に正しいのかな。ほかにはどんな意見があるんだろう」「間違った意見は存在しないし優劣ってつけられないんじゃない?」と疑問を抱いたりします。

学生は これまでの正しい解決策を誰かに教えてもらうという態度から、正しい解決策をどのように見つけるか という発達段階にうつります。

③ Relativism (ステージ5、6)

この段階までにくると、私たちの思想や見方にはいろいろな影響を受けているということがわかってきています。「なぜ~と私は信じていたのだろう?」「この意見にはどんな裏付けがあるのだろう?」とcontexやevidenceなどを問うようになります。

ステージ3,4は「意見は等しく平等で優劣はつけられない」という意味づけでしたが、この段階はcontextual,つまり状況全体によってどの意見が正しいのかと考えられるようになります。

学生は 正しい解決策をどのように「正しい」と評価するかを学ぶ というステージ段階にうつります。

Commitment (ステージ7,8,9)

この不確かな世界で「なにが正しいかもわからないまま自分で判断・行動しなければいけない!」と、Knowledgeはクラスの外の行動にも影響を与えていて、自分が日々のなかでどのように行動するかまで考えるようになります。先生は権威というよりも、たくさんあるうちの学びの材料のうちのひとつである、という見方に変わってきます。

学生にとって学びは「選択」することや、その選択をしたことに対しての責任も伴ってくる、という行動にうつすステージ。

そしてその過程には矛盾が生じたり、論理的にうまくいかないこともある。

最後の9つめのステージは英文を引用します

position 9 : this is how life will be. I must be wholehearted while tentative, fight for my values yet respect others, believe my deepest values right yet to be ready to learn. I see that I shall be retracing this whole journey over and over- but I hope, more wisely.

これが人生だ、他者を尊重しつつ、自分の価値観を守り抜く、みたいな意訳です(ざっくり)

白か黒か!正しいか正しくないか!っていう学生が、いろいろな影響で答えの存在しないこの世界への意味づけの仕方が変わって、自分の価値観を一番に大切にしつつ周りのことも尊重できるように変わっていく、みたいな発達論です。

ただし、多くの研究では大学4年間で学生がステージ9までたどりつくのは不可能だ、と結論づけられているのも見かけます。

多くの学生はステージ1~4をいったりきたりすることが多いそう。

(今学期はこれPerryさんの理論でペーパー書く予定。看護学生にフォーカスして書こうかなぁと構想を練っています。)

参考文献
Perry, William G., Jr. (1970), Forms of Intellectual and Ethical Development in the College Years: A Scheme (New York: Holt, Rinehart, and Winston).



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