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グループダイナミクスとは~集団で繰り返される分裂と統合~

新学期が始まりまして、今期履修している授業のひとつが「グループダイナミクス」です。これからグループダイナミクスに関する内容がちょこちょこ登場すると思います。

まずは第一回目の授業や事前リーディングが終わったところでなんとなーく理解したさわりの部分を。

グループダイナミクスとは

Group dynamicsとは、日本語では「集団力学」ともいって、social groups (社会集団)のなかでのsystems of behaviors and psychological processes (行動や心理のシステム)を指します。

どーゆっこっちゃ、というかんじですが、要は

人と人が集団のなかでお互いに影響しあうなかで、どのような気持ちが起こったり思考にもとづいて行動したりするか

、という認識です。

これからセメスターを通していろいろなグループダイナミクスの研究やモデルや理論を学んでいきます。

グループダイナミクスに関連してくる3つの問題があるそうで。

① 線引き(boundaries)

グループが結成されたばかりの初期の頃は自分の過去の経験からの「ステレオタイプ(典型)」に強く影響を受けてしまい、そのまま自分の価値観に基づいて線引きをしてしまいます

たとえば、

チームAは白人が5人でアジア人の私が1人

チームBはフランス人、韓国人、ブラジル人、インドネシア人、そして日本人の私が1人

チームCは韓国人2人、中国人1人、日本人が私含めて2人

こうしてみると圧倒的に「入りやすい、やりやすい」チームはC>B>Aになります。

なぜなら白人が5人いるチームよりかは、自分と似ているアジア人と一緒のチームの方が「おそらく」価値観も似ていて、行動や思考が似ている、と思うからと自分で無意識・意識的に線引きをしてしまっているからです。

このように「自分と価値観や性格、特徴が似ているひとを好む傾向」をhomophily といいます。

こんなかんじで、自分のイメージやステレオタイプに基づいてグループ内で線引きをしてしまうのが一つのグループダイナミクスに関係する問題になります。

② 権力(Power)

これも、自分がマイノリティ(人数が少ない)に属するかどうかで、oppressor (迫害する側)になるか oppressed (迫害される側)になるかで決まります。これは誰でも両方に属することがあって、その時のバランスによって権力の持ちやすさが変わってくる。これも本当に大事なことですね。

発言権を持つのはだれか、そこには階級だったり社会的地位であったりジェンダーや文化や人種など複雑に要因が絡み合っています。

③ 関係性(relations)

①、②の線引きと権力を経て、さらにグループのなかでもう一歩互いのことをよく知るためには「安心できる関係性 safe relations」が不可欠です。

反対の意見を言ったとしても関係性が壊れない、強い結びつきであったり、この人と仮に意見が合わなかったとしても受け入れてくれるだろうという心理的安全な空間。

この 線引き、権力、関係性 がグループダイナミクスを考えるうえで大切です。授業ではrace-cultural dynamicsといって人種や文化のダイナミクスの要素が強くなりますが、これは集団を構成する組織ではどこでもあてはめられるので、今後もいろいろ記事を書いていこうと思います。

people of color の定義とは

さかのぼること2ヶ月ほど前、11月に大学院で初めてイベントを主催しました。

その名も、Global entrepreneurial people of color (有色人のグローバル起業家)というタイトルで、

卒業生で国際的に活躍する起業家をパネリストに呼んで、パネルディスカッションを行うというものでした。

結果的には大盛況だったのですが、実は実行する過程に思わぬトラブルもあり…

一緒に主催したのは中国人のお友達。2人で話したときに、あまり私達のように留学生が卒後に活躍できるモデルケースって知らないよね、ってことでもっとモデルケースを紹介できるようなイベントを開きたいね!って話していました。

そして卒業生のインド人の男性、インド人の女性、ブラジル人の女性に声をかけて3名のパネリストが決まり、

ポスターもできあがって、イベントページもできて、いざ宣伝メールを一斉に大学中に送ったところ、とある方からメールが来ました。

要約すると

「私は黒人女性ですが、あなたたちのイベントは people of color と表記しておきながらなぜパネリストに黒人がいないんですか?世の中でpeople of color と言われるのは黒人とラティーノ(ラテン系)です。なぜその人達をスピーカーとして呼ばないのですか?」

と、、、。たぶんメールの雰囲気からしてかなりご立腹。

私達の認識としては people of color は「有色人種」として白人以外を指すという認識でしたが、一部の人によるとそうではない。

いろんな人に相談したうえでそのままのパネリストとタイトルで決行したのですが、この経験からもめちゃくちゃ考えさせられた。

違う友達からも聞いた話によると、アジア人は「ideal minority(理想のマイノリティ)」とも言われていたりして、有色人種のなかでも特権が上に位置するという見られ方もあるのだそう。

ちなみに、オバマさんが大統領になったときも「黒人で初めての大統領」と祝されていましたが、一部の黒人の人たちからは「not being enough black (黒人さが不足している)」と批判もされていたそうです。

つまり、オバマさんはアイビーリーグのコロンビア大も卒業し、充分にpriviledge(特権)があり、「ホンモノの黒人ではない」という意見です。

このようにグループダイナミクスでは、マイノリティのなかでも分断が生じることがあります。まるで細胞分裂のように、分裂を繰り返していく。良くも悪くも、ね。

人と人が相互に作用しあうと本当に色んなことが起こるなぁ。

今後、もっと掘り下げていきたいです。

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