そんな貴方を肯定していたよ
ここ2週間、色々なことがあった。
久しぶりに人が壊れていく様を目の当たりにした。
彼はイイ奴だった。ちょっとデリカシーがなかったり、こっちが恥ずかしくなるようなこともしたり、アホだなぁって思う時もあった。
でも、イイ奴だったんだ。軽いけど、まっすぐ。熱い気持ちを持っていて、壁から目を背けずに正面からぶつかって、虚勢を張ることもなく、傷を傷として受け止めていた。
そんなところが、私からしたら強さで、脅威で、キラキラしていてうらやましかった。
でも、彼は壊れてしまった。最後に見た彼は怪物だった。
目の前の相手を知ろうと前のめりで聞いて、10聞いたら20覚えているような、彼の良さが無くなっていた。
どこかで聞いてきたであろう、耳障り良くない単語ばかり並べ、そうだろう?間違いないだろう?と押し付け決めつけてくるようになっていた。
だんだん彼が言っていることが分からなくなって、誰も彼と「楽しい」という感情さえ共有したくてもできなくなって、別れ際残るのは一方的に押し付けられた思想だけだった。
それでも理解しようとみんな必死だった。ちゃんと聞いてあげよう、間違ってることは間違ってるって言おう。でも無理だった。伝わらなかった。
誰も彼の本当の苦しみにたどり着けなかった。
彼との最後、私は久しく怒りを抑えられずにぶつけて終わらせてしまった。
悲しい。何が彼をそうさせてしまったのか。
彼は元々コンプレックスを多く持っていた。学歴、頭の良さ、色んなことを周囲と比べ、自分に自信を無くし、でも、それでも周りに追いつこうと努力していた。
あくまで一個人のものに過ぎない、でも「教育」として教えられた組織の考えを流し込み、自分を見失ってしまったんだろうか。
自分で自分を理解できなくなり、支離滅裂ながら話すだけ話して、肯定してもらって、自分丸ごと肯定されたように感じたかったんだろうか。
どうか、彼が戻ってきますように。
彼の言葉が戻ってきますように。
一緒に働けなくてもいいから、元気な姿で帰ってきておいで。
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