ページに綴られる声

YOASOBI 夜に駆ける

https://youtu.be/by4SYYWlhEs

◤◢◤◢注意◤◢◤◢
この文章は、音楽知識にも乏しい一個人が
脳内を巡る音と声の印象や解釈を
ただ垂れ流しているものです。
悪しからず。


若い人たちの大半が耳にして
口ずさめるであろうこの曲。
最近の傾向
ボカロPが作り人が歌う
というスタイル。

その中にあって、
小説(文字)を曲に落とし込み
文字から世界観を作り上げる
これまでにあまり見なかった試みで
人々を魅了する2人。

印象的なのは、
ボーカルのいくらさんが
淡々とフラットめに歌い上げる
難解な音の動き。
声に大きな振れはなく、
感情が込められたという表現にはならない。
が、
YOASOBIの楽曲はそこが
独特の雰囲気を作り出して
曲をより魅力的に聴かせているような気がする。

物語は
小説を読んでもMVを見ても
既に形づくられている。

そこに感情的な歌が乗ると
聴き手はそこに気を取られ
うまく文字と映像の世界に浸れない。

いくらさんの歌は
きちんとページにおさまっている。

決して平坦すぎてつまらないわけでなく
息遣いや転調で起伏をつけ、
それでも耳に引っかかりのない、
物語を主役にした
素晴らしいバランスだと思う。

聴き手に物語へのスパイスでの調味を
委ねたかたちにも思える。
文字から入る
歌から入る
MVから入る
どこから入り、どの過程を通っても
色が足されもう一度聴こう
と思わされてしまう。
そうしているうちに聴き手の目の奥に
フィルターが追加され、完成に近づく
そんな感じ。
それくらい美しく器用に
画面の中の世界は整えられているのだ。

しかしながらこの曲、
聴くだけなら歌いやすそうなのに
実際歌ってみるとなかなかに難解。
気を抜けば音が外れ、
音に集中すればリズムがズレる。

力が入ったり
息が続かなくなっても
魅力が欠けてしまう。

それをカバーする
いくらさんの歌唱力たるや。

HOME TAKE ver.がYouTubeにアップされて
感嘆した人も多かったのではないだろうか?

原曲よりはテンポを落としているものの
それでも難しい音を追い、
かつ作り上げられた物語を
崩さないまま歌い抜ける。

彼女こそがこの楽曲を歌うべきなのだ
と思わされる歌唱だった。

YOASOBIの綴る音は
始まったばかり。
どんな物語を脳内に届けてくれるのか、
その味を楽しみに待とうではないか。

輪廻(めぐる)

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