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ド定番


「そしたら来月の半ばの休みに水族館かプラネタリウムに行きませんか?」

と、返事が来ていた。

こんばんは!
今日で紹介の人の話はラストです。
紹介の後、お礼を兼ねてご飯に行ったその後の
やり取りからです。



わたしは、その返事を見てギョッとした。
まだそんなに深くは知らない方と
思い切りデートのド定番とも言える
プラネタリウムと水族館の誘いをしてくるなんて
確実に良いなと思っている対象であることを感じ取れたからだ。

2つ場所の提示をする、選択肢を2つ出すのは
心理学でダブルバインドと言われているものであり
所謂相手に「NO」という選択肢を与えない提示の仕方なのである。

正直、わたしの心はどちらにも行きたくなかった。
しかし、こんな提案をしてくるには理由があり
恐らく彼とどこかしらのタイミングで
星や星座が好きなことを少し話したからである。
=ロマンチストと思われたと言っても過言ではなく
プラネタリウムに近しい雰囲気の水族館を加えてきたのでしょう。

意外とウブな恋愛観とマイルールがあるわたしにとって
プラネタリウムや水族館は大好きな友達もしくは
好きな人と行くところと思っている節があった。

一先ずは返事をしなくてはいけない。
わたしは相手の提案を否定はせずやんわりと他の場所も考えてまた連絡します!と送りLINEを閉じた。

友達の顔が浮かぶ。
こんなことになってしまって紹介してもらったのに申し訳ない。
時間を奪ってしまったのではないか、友達の旦那さんにも悪いことをしたなとモヤモヤが募るばかりだった。


数日後、会うまでにはまだ半月ほど時間があった。
特に候補も浮かばず近づいてきたら連絡をするかと思っていた矢先
彼からはデート後に食事をするお店の候補が数箇所送られてきたのであった。
開いてみると4件ほどあり、そのうち2件は夜景の見える店だった。

さすがに今までの経験が物を言う。

もうダメだ、このまま相手の気持ちを蔑ろにしてこの誘いに乗る訳にはいけないし乗れない。
わたしは完全に相手に気がない状態。
でも相手はきっと真剣に考えてくれている。
互いの気持ちがすれ違っているというのに
わざわざもう一度時間を取って会うには
無駄な行動であり、失礼でもあると感じたのだ。

意を決して紹介してくれた友達に相談の電話を掛けることにした。

その晩、友達には胸の内を包み隠さず話した。

恋愛対象として考えられないこと
次のデートの案に自分は前向きに考えられないこと
紹介してくれた手前、申し訳なさでいっぱいでもあること

電話越しに全てを受け止めて聞いてくれた友達は
あなたがストレスを感じて抱え込むのが一番つらい
自分の気持ちに従って、断っても全然大丈夫
申し訳ないなんて思わないでね
と、わたしに伝えてくれたのだ。

友達には感謝の気持ちを最大限に込めて電話を切った。

夜も遅い時間帯になってしまった為、
わたしは翌日彼に連絡をした。

まず、返事が遅くなってしまったこと
色々調べてくれたことへの感謝と
そして自身の気持ちとして恋愛をしたい思いがないということを書き、今回は誘いを断る旨を伝えた。
申し訳なさと、こんなことでずっと悩んでいた日々からの解放とでどっと疲れてしまった。

その日のうちに返事はなかった。

翌日、彼からは残念である思いとまたいつでも誘ってくださいねという丁寧な返事が来ていた。

少しだけ心が痛む。
あまり断るということを選択して来なかった人生。
でもこの時ばかりは自分の気持ちに嘘をついて会うよりも良い選択で
2週間近く先の予定だった為、直前に断るなんて言う失礼なことが起きなくて良かったと思うことにした。

つくづく恋愛というものがどのように始まって
どのように発展していくものなのか不明瞭になっていった。

自分の判断基準を正直に話すと
まずは外側から入り、そこから話をし内側を知って
その人のなりを判断するタイプであると思う。

もしかしたら自分は今、
恋愛をするフェーズにはいない。
でもなんだかここで一度休止符を打つのは
少しばかり後味が悪かった。
そう思うのであれば、この考え方に愚直に従い
足掻いてみてそれでもダメなら休憩しよう。
せっかくの夏、あと少しだけ行動をしてみたかった。
ダメだとしても良かったとしても全て夏のせいにできる。
なんてことをわたしは思っていた。

そして、初めてあることをした。

このあることについてはまた次回の記事で。
紹介の人についてのお話はおしまいです。


me.

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