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[カテゴリー別年末売場強化大作戦]V字回復の総合感冒薬市場、高単価化・購入回数減の買い方変化に備える

2020年1月末から本格化した新型コロナウイルス感染症の拡大で外出機会が減ったこと、マスク着用、手洗い・うがいなどの予防習慣が定着したことで総合感冒薬の売上は大幅に減少した。しかし、2022年7月・8月、市場にはV字回復の兆しが見えている。この流れを年末の最需要期に生かし、売場からカテゴリー復活を目指そう。


2022年8月より総合感冒薬市場は新局面に入った

▲[図表1]総合感冒薬市場規模と推移

図表1は総合感冒薬の市場推移である。コロナ禍に見舞われた2020年度は前年の65%にまで減少、2021年度も前年比微減で1,000億円市場は600億円程度にまで落ち込んだことになる。

一方で2022年の4〜8月は前年同期より11%上昇、市場には回復傾向が見られる。

▲[図表2]総合感冒薬市場動向

図表2は2020年1月から2022年8月までを月次で見た総合感冒薬の市場動向。青の棒グラフが販売金額、折れ線グラフはコロナ禍の影響がなかった2019年との比較、グレーの棒グラフは新型コロナウイルスの感染者数となっている。2022年8月を除くと、2019年との比較でプラスになったのは2020年2月と3月のみ。このころは行動制限もなくコロナ禍の報道が盛んにされ、発熱などかぜの症状に生活者が敏感になっていた時期である。

2022年8月、2年半ぶりに対2019年度比が125%にまで達した。近年の状況を考えると大きな変化と言える。その要因を考えると、2022年7月ころより起こった感染者数拡大のいわゆる第7波により発熱、のどの痛みへの警戒感と対応意識が増したこと、入院者数が増えるなど医療資源が逼迫していることで日本感染症学会、日本救急医学会などの感染症、医療関連の専門家組織が自宅での抗原検査キット活用や市販薬利用を求め、それがマスコミで大きく紹介されたことなどがある。

さらに大きなポイントは、政府は第7波ではこれまでのような行動制限を取らず、感染対策と社会経済活動の両立を図るとしており、生活者の移動・活動が従来より活発になることでかぜをひく人が増える可能性は高くなる。

新型コロナウイルス感染者数が増えると総合感冒薬の販売金額は上がるという相関も見られ、不透明な部分はある。だが、行動制限撤廃は今後も継続すると思われるので、かぜを取り巻く環境が変化したことは確かで、それが2022年8月の数値に表れている。気温の低くなり始める10月、最需要期である12月に売場がしっかり対応することで、市場のV字回復が予想される。

「総合タイプ」「すぐ効く」「買い置き」のニーズ高まる

総合感冒薬市場は購入商品、選び方にも変化をもたらしている。2020年度は前年度と比べてイブプロフェン主薬の商品の販売金額が52%にまで減少した※1。イブプロフェン主薬の総合感冒薬は「熱」「のど」「鼻水」など症状別に商品を分けたものが多い。コロナ禍により消費者心理が特別な症状に効くものから、総合的に効くものを志向する傾向に変化したと推測している。

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