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【杉浦克典社長インタビュー】スギHDの調剤を核とした「トータルヘルスケア戦略」とは

スギホールディングス(HD)の中核企業スギ薬局は1976年の創業以来、調剤薬局併設を基本に事業を展開し、予防・未病から介護、終末期医療まで生活者がどのような状態にあっても健康を支援する「トータルヘルスケア戦略」をビジネスモデルの中心に据えている。調剤売上高の構成比は上場ドラッグストア(DgS)中もっとも高く2022年2月期の上半期で22.9%、同事業の売上高前年同期比は14.0%増と大幅な伸びを見せている。調剤、ヘルスケアを軸にしつつも、小商圏多頻度来店型の店づくりに磨きをかける同社代表取締役社長の杉浦克典氏に話を聞いた。
(聞き手/月刊マーチャンダイジング編集長 野間口 司郎)


「課題ゼロ」ではなく、課題半減を目標にする

—本誌企画で毎年「顧客満足度調査」(直近は2021年12月号)を実施しています。あくまで数十店規模のサンプル調査なのですが、御社の店舗運営状況が大変によいという結果が出ました。店舗運営レベルを上げるために最近取り組んだことなどありますか。

杉浦 店舗の課題はたくさんあります。ひとつをつぶせばまた別の課題が挙がってくる、その繰り返しです。何が問題かを探って対策を立てその成果を検証していく。それを粘り強く続けるだけで、とりたてて何かをやっているということはありません。

それでもお客さまからお叱りの言葉を頂くことはまだ多く、その理由を分析していくと、接客、レジ応対、クリンリネスなど、いろいろなポイントがあります。考えているのは「課題ゼロを目指すのだ」と号令をかけても、いきなりゼロになることはありません。「とにかく課題半分にしよう、それは絶対やろう」と発信すると、組織は現実的な課題や改善点が見えやすくなります。課題に対して、改善できている店舗や従業員の成功事例を水平展開する。そういうことを地道に一つひとつやると、組織全体、店舗全体の底上げにつながります。

その結果、お叱りの声が減ってきて、お褒めの言葉の数が緩やかに増えていく。これは数字で表れてきます。顧客満足度の結果がよかったのはうれしいかぎりですが、依然課題は山積しているという認識です。

—お客さまの声、現場の状況を把握したうえで、改善策を取って課題を一つひとつつぶしていくとのことですが、お客さまの声、現場の状況はどのようにして把握されているでしょうか。

杉浦 まず私が店舗に行って直接現場を見ます。当然すべての店舗を回るわけにはいきませんが、新店、改装店を優先し、その周辺の店も見ます。また、コールセンターに入るお客さまの声は内容、件数が毎月出るので目を通します。

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