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ベイシア、デジタル人材1,000人を目指す「フュージョン・チーム」の重要性

デジタル人材の採用と育成は、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進を志向する小売業の最重要課題だ。いくらDX推進によって新規事業への挑戦や生産性を向上すると目標を立てても、それを推進する人材がいなければ絵に描いた餅でしかない。その育成は各社試行錯誤の途上といえる。本記事では、ベイシアグループのDX戦略子会社である「ベイシアグループソリューションズ」社長の樋口正也氏に、同グループがデジタル人材育成を図るために開講した「ベイシアグループデジタルアカデミー」の取組みについて、そして樋口氏の考えるデジタル人材の育成論について、お話を伺う。


フュージョン・チームを目指して人材を育成

—樋口さんはグループCIO/CDOとしてどのような業務に携わられているのでしょうか。

樋口 私たちベイシアグループには29社の事業会社がありますが、ベイシアグループソリューションズは、そのインフラや、セキュリティ、クラウドなどの共通で利用しているシステム基盤、また発注、在庫管理、物流などサプライチェーンに関わる共通の業務システムなどを担当しています。

例えばサプライチェーンに関わる業務システムひとつとっても、そう簡単なものではありません。最近も基幹システムの大刷新を行っていたのですが、万一失敗するとグループ約2,000店舗の発注オペレーションが停止してしまうという、非常に重要なプロジェクトなのです。

現在は倉庫管理システム、統合物流管理システムの刷新も始まっていて、緊張感の続く日々です。

—一方で、2022年の春から「ベイシアグループデジタルアカデミー」という人材育成の取組みにも着手されました。

樋口 はい。基幹システムのリプレイスのようなプロジェクトを完了させるのも仕事ですが、企業としてエンジニアリング力を強化するためには、採用・教育を含めた人材の底上げが必要です。現場経験を持つ従業員のリスキリング(学び直し)、新規人材の採用を含め、デジタル人材をどうパワーアップさせるかを常に考えています。

私はデジタル人材の育成にとっては、「フュージョン・チーム」が非常に重要と考えています。これは業務に精通した人材と、テクノロジーのプロ、両方を擁する混合チームのことです。

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