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いち社員が組織にツールを導入するためにしたこと(技術的な話ではありません)

Redmine Advent Calendar 2021」の17日目の記事です。
でも今回はRedmineというより、そうしたツールを導入するための社内的前準備活動、がメインです。
なので技術的なこととかは一切ない記事になっております。すみません。

はじめに

会社にツールを導入したいが、上司(や、さらに上の方たち)を説得するにはどうすればいいんだろう?
全社導入するとなると、ライセンスだけでも年間100万以上…
予算会議という名の戦場では、ぽっと出の100万overなぞすぐにやり玉に挙げられますね。「なんだこの100万!」「なんだそれ!」「何ができるんだ!」轟々。
中小企業でしたので、100万であっても無駄にできません。

「きっと便利になるから導入したいんです」だけじゃあ説得力ゼロなのは分かりきっていましたので、過去の私は色々考えました。
結果、勝ち取れました。(パチパチパチ
導入後しばらくして私は転職してしまったのですが、今でも利用を継続しているとのことなので、安心しております。

このnoteでは、いち社員が試みたあれこれを、昔を思い出しながら記録したいと思います。

※RedmineはOSSのプロジェクト管理ツールですが、このお話で出てくるRedmineはSaaSサービスで提供されているものを利用しているため、”お金がかかる”ます。

問題点を確認するよ

古くからの道具を大事に使い続けるよ。

Aさん専用Excel、自作ツール、lotus Notes、Excel、Excel、Excel…。

のっけから属人化していますが、前職では複数のツールを使って業務を回していました。
それぞれクセもあるしコツも必要ですが、一応これで10年以上は回せていたので構築当時はこれが正解だったのだと思います。
ただ、時代は変わりますし、動かせるサーバーも変わりますし、メンテナンスする人も変わりますし。
万が一Aさんが急病などに見舞われた場合、誰がそのExcelファイルの更新するのでしょう?

それでも業務は回るよ。誰かの頑張りのもと。

前職では、アサイン管理ツールを社内で自作していました。
管理する上で必要なことは十分できるけど、使い勝手がすごく残念。
操作ミスは許されません。無情にもデータは消えます。Undo?何それ?
月末になると絶望した顔で管理職の方がデータを打ち込むのです。
何時間もかけて。徹夜も何度もしていたかと思います。
目の下にクマさんが常駐してましたからね。

社員がやるべきは仕事であり、作業ではないはず。
ツールのために時間が取られ、本来すべきことに時間が使えないならば本末転倒です。ましてや管理職クラスですよ?

データ連携?断絶だよ。

Aさん専用Excelを起点に、アサイン管理ツールを経て、現場が作業実績をつけるファイルまで、基本的には同じ値を使います。
でも自動的にデータが流れていく仕組みなどありません。
人が転記するのです。

伝統工芸師の如く卓越したマウス操作と、ピアニストのように洗練されたCtrl+C、Vの連打。
なんということでしょう、一行飛ばしているではありませんか。
御覧ください。数字が合わないため、一行ずつ確認しなおしているリーダーの姿。
そんなことが毎月です。
基本的にマンパワーで解決する風潮の会社だったので、仕組みを変えようとする人はなかなかいませんでした。

どうにかしたほうがいいと思うんですよね〜なんて、自分の上司に相談したら即GOサイン出してもらいました。
ただし…
そもそも他部署の業務に口出しすることなので、各部署の部長を説得し、さらに稟議を通すために社長を説得する、この壁がありました。

実践編

現状を理解してもらおう。図示化だ。

前置きが長くなってしまいましたが、ここからが本題です。

まず考えたのは、「現状をそもそも問題だと認識していないのでは?」ということです。
なのでまずは、開発案件に関わる部分での業務フローを図でかきおこしました。どの部署からタスクが発生し、それが巡り巡って開発、カスタマーサポート、果てはお客様まで、どういった流れなのか。
そしてそのフロー上に、使っているツールを当てはめた図も作りました。

まずは業務フロー
ツールをあてはめた

こうなるとひと目でカオス感が共有できますね。
で、偉い人達に見せました。
「なにこれ!?こんなになっちゃってるの!?」
というお言葉をいただきましたので、改善レッツゴーです。

この図はかなりインパクトがあったらしく、上層部の人らのMTGでもたまに利用されてたようです。今までこういうの誰も作ってなかったもんね。

偉い人達への説明の際には、

  • どこから手を付けるのか

  • どう変えるのか

  • 変えたことで得られるメリットデメリット

についても説明しました。
ツールを変えるだけでバラ色の未来が待ってるだなんてことはないので、そこは理解してもらうよう意識しました。

他部署の人も巻き込もう

で、ツールですがRedmineを選択しました。
業務フローを整理して、この部分はカスタムフィールドを使えばいいなとか、ワークフロー違うのはトラッカー分けようかな、とか。
Redmineのことをめっちゃ勉強しつつ、自分とこの業務をあてはめるにはどうすべきか、を考えました。

が、一人で進めてしまうと、他部署の人からすると「押し付けられた」感が出てしまいますよね。
なので、他部署からも代表者出してもらい、「業務改善チーム」として参加いただくことにしました。
メインは私と後輩くんで大筋考えて、チームMTGで「こういう感じでどうですかね?運用回りそうですかね?楽になりそうですかね?」って確認する感じですね。

他部署の方も巻き込むことで、各部署への教育コストも私一人が背負わなくていいですし、何より政治的面倒くささを回避できるのでおすすめです。

そんなこんなで導入できた

で、導入した結果がこうですね。まずは部分的に導入しました。
AccessとGoogleスプレッドシートでアサイン管理していた部分を、Redmineにお引越しさせました。

まずはアサイン管理部分を置き換えた

100人ほどに影響が出るものでしたので、マニュアルなどはしっかり作って、配布しました。
あとはチームリーダー層に対しては別途説明会も開催して、使い方についてフォローしました。
お陰様でそこまで混乱なく運用を移せました。

名ピアニスト化していた管理職の方たちからは、めちゃめちゃ喜ばれましたね。
今まで数時間、下手したら徹夜してやってた作業が、1時間もかからず終わるようになったとのことですので。
まずは一番困ってる人たちを救えたので、これはやってよかったなと思いました。

やり残してしまったこと

最終的には、ここまでは進めようと思っていました。
ちらほらと他のツールが残りますが、そこはRedmineじゃない方がいいかも?と思っていたので、別途考えることに。

lotus Notesの部分はごっそりRedmineに持っていける自信はあったのですが、そもそもNotesに関しても私がゴリッゴリに使いやすくしてしまっていたので、逆に難関になってまして…。
(情シスでも無いのに、Notesが使いづらいからってデザイナー権限もらって
色々改善しまくってたのです)

まぁでもプロジェクト分ければいいし、トラッカー整えればいいし、必要なのはカスタムフィールド使えばいいし、関連チケットの機能使えば情報おっかけられるし、なのでやれないことじゃないんですけどね。


と、ここまでは順調だったのですが…
この後私は退職してしまったので、最後までやりきれなかったことが心残りです(申し訳ない)

とはいえ、その後も全社で使うようにライセンス数を倍に増やしたとか、とある部署でRedmineをもっと活用しよう!と部門長の方が仰ったとか、噂を色々聞いてはいるので、きっと利用は進んでいるのだと思います。

おわりに

有料ツールを導入するときに、社内的に色々活動しなければなりませんよね。政治的なもので色々めんどくさい…ほんとめんどくさい…会社を良くしたいだけなんだから、政治的な(俺があいつ嫌いだから、あいつの部署から上がる改善案なんて全部潰すぜ)みたいな、どうでもいいことに巻き込まれたくないですよね。
なので課題を共通認識とする方向で、過去の私は動いてみました。
他の方はどのように動いたのか、興味ありますのでもしよろしければコメントください〜。

ありがとうございました。


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