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鎮痛剤なし胃カメラ(口から)・大腸カメラも決して怖くない〜上海の大学病院での検査体験記

 コロナ禍で、日本になかなか戻られない中、健康診断をどうするか?悩ましい問題が色々とありますが、私自身も上海で自身の検査を受けることが増えました。2022年6月22日に胃カメラと大腸カメラ(内視鏡検査)を受けてきたので、その時の経験を皆さんと共有します。特に、親戚や友人を胃癌や大腸癌で若くして亡くしているので、余計にこの検査の重要性を感じています。人によっては、便秘で苦しむバリウム検査うけるぐらいなら、最初から胃カメラ&大腸カメラでよいと思います。

 上海でも胃カメラ&大腸カメラで、鎮痛剤を使って、半分寝た状態で検査を受けることができます。「无痛(無痛)肠胃镜」ともいいます。ただ、この方法だと確かに楽そうですが、検査が終わっても1時間程度観察するためにすぐに病院を出られませんし、付き添いも必要ですし、当日検査後のクルマも運転できません。何より、検査最中に医師と画像を一緒に確認することができません。また、私の妻のように、鎮痛剤の反応が強く検査後気分が悪くなり吐いてしまう方も稀におられます。十分に安全な鎮痛剤とは言え、万が一のアレルギー問題もありますし、私は鎮痛剤なし1択で希望しました。

 次は、胃カメラを口からか鼻からかの選択ですが、私の場合、なんと昨年のPET検査で副鼻腔炎持ちが発覚し、鼻への負担も極力避けたかったのです。もちろん、鼻から胃カメラの方が苦痛が少ないといわれているため、上海の日系クリニックでも実施できるところがありますが、残念ながら上海のローカル病院ではできないところも多いです。
 上海の病院はいつも患者でごった返しているので、一つ一つ検査の度に病院に行くのも予約を取るのも時間的ロスが大きいし、「胃カメラと大腸カメラを同時に行えて、口から胃カメラし、鎮痛剤なし」だと、上海の大学病院ならどこでも検査してもらえると思います。

 最近では、負担の少ないカプセル内視鏡も中国では行われています。日本では小腸用、大腸用が実用化されていて保険適用になっています。ただ、体積の大きな胃用のカプセルは、カプセル内視鏡だけではとても全ての撮影が難しく、その実用性についてはまだ検討中とのこと。とはいえ、将来十分な精度が確保され、実用化されたら検査もまた変わるでしょうね。
(参考:https://www.jges.net/citizen/faq/general_05


1.検査予約日前日までにすること。

 今回は、上海中医薬大学附属竜華医院で受けてきました。いわゆるローカルの大学附属病院です。中国語に不自由しない場合、ローカル病院でも十分です。今はコロナ禍で、まだ検査希望者が平時より少ないそうで予約を取るのは狙い目です。
 そして前日に一度、病院にいって担当医の診察を受け、PCR検査と採血と事前説明を受けました。採血は一般的に、肝機能のALT/ASTとB型肝炎のHBsAgの検査を受けます。また、コロナ禍では24時間以内のPCR検査陰性証明も必要です。この24時間以内のPCR検査陰性証明がクセモノで、検体採取時からカウントされます。上海では検査が混んでいると、偶に検査結果が出てこないことがあるので、実はこれの結果が一番心配でした。前日に検査費も全て支払います。外国人でも上海市の公的医療保険に加入している場合は保険適用されますが、自費でも勿論OKです。その場合、喉の麻酔剤や腸洗浄剤(いわゆる下剤)、血液検査、胃カメラ・大腸カメラの検査費・病理検査費も合わせて1,300元(今のレートで26,000円ほど)。
 
 さて、大腸カメラと胃カメラを同時に受ける場合、前日に気をつけないといけないこと。
①食事:脂質が少なく、食物繊維の少なく、食べ過ぎない。下剤を少しでも少量でスムーズに効かせるために重要です。こちらを https://www.mep-minamiaoyama.com/colonoscopy/ 参考にしました。私は翌日の早朝に検査を受けるので、夜ご飯はいつもより早めの夕方17時頃に済ませました。もちろん、翌朝の朝食は抜きます。水は飲んでも構いません。


②腸洗浄剤:検査が始まる時刻の大体4〜5時間前が目安。私は逆算して午前2時頃におきてきて下剤を飲みました。大腸カメラではこの下剤を飲むのが一番しんどいという声を聞きますが、最近は中国でもスポーツ飲料を飲む感覚にまで味が調えられてきています。私自身はそこまでイヤな味ではありませんでした。病院からの要求は2ℓなので、1ℓのミネラルウォーターを2本買って来て、その中に下剤を溶かします。それを10分間で200mlのペースで飲みました。このペースだったら楽に飲めるはず。 
 目標は便が完全にほぼ透明な水状態になること。なので、当然ですが、全員が2ℓ飲む必要はなく、私は1.25ℓでもう完全な透明水状態になりました。お腹スッキリです。下剤を飲んでいるときはガンガン下痢が出ますが、飲み終えて出きってしまうとトイレに駆け込む心配もありません。腸洗浄がしっかりとできないと大腸カメラに便が映り、正確な診断ができませんのでとても重要です。


2.いよいよ検査。


 検査当日の朝食を抜きます。水は飲んでも大丈夫です。普段から朝食をしっかりと食べる方なので、朝食抜きは辛いですが、ここは我慢。私は地下鉄で移動。アプリをチェックすると、昨日受けた24時間有効PCR検査陰性も結果が出ていて一安心。朝7時ごろに病院に着きましたが、病院の入口には長い行列ができていました。健康QRコードチェックの為ですね。とはいえ、流れているのであっという間に病院に入れました。支払い等の事務手続きはもう済ましているので、直接内視鏡の待合室へ。待合室の自販機にお尻に穴が空いている使い捨てのズボンや使い捨てのタオルが売っているので買っておく。お尻周辺が意外と濡れてしまうので。名前を呼ばれたら、検査室に入り、着替えコーナーで先ほど買った使い捨てのお尻に穴があいているズボンに履き替えスタンバイします。検査は一般的に胃カメラ→大場カメラの順です。私が上海で検査を受けた病院ではオリンパスの最新型内視鏡が使われていました。オリンパスの内視鏡は、中国でも非常に定評があるのです。



①胃カメラ:意識がぼんやりとなる鎮静剤や鎮痛剤を使わない場合、まず準備段階として喉麻酔。これが結構大事で、焦らずゆっくりとゼリー状の薬剤を舌の奥から喉に染み渡るように服用します。特に、舌の奥側で嘔吐反射が出やすいので念入りに。はっきり言って苦いですが、飲み込めないものでもありません。要は苦いドロドロの漢方薬を飲む感じですが、量は少ないのでそこまで大変ではないと思います。すると、喉が腫れてくるような不思議な感覚に襲われます。といっても、唾は飲み込めますし、息も普通にできますので心配することはありません。そして、左下でベッドに横なります。口を大きくあけて、さらに麻酔スプレーもしてもらいます。いよいよマウスピースを装着。これは軽く咬んでおけばよいでしょう。このマウスピースの穴から内視鏡がスルスルが入ってくるわけで、特に違和感もないと思います。

 胃カメラのときの呼吸のポイントは、ゆっくり鼻から吸って口から吐く。窒息するようなことはないし、特に緊張する必要もないので、ゆっくりと深呼吸する感じで心の準備をしておけばよいです。目は閉じることなく、検査室をボーッと見つめていればよいでしょう。すると、ドクターが内視鏡を入れ始めます。胃カメラで一番辛いと感じられるのは、実はこの挿入時で、カメラの先端が舌の奥から喉を通るとき。時間にしては2〜3秒ほどだと思います。オエッとしますが、そこを通り過ぎると「喉元過ぎれば熱さを忘れる」みたいな感覚になると思います。その後は、カメラが胃の中を駆け巡るような感覚を感じることができれば大丈夫です。涎が沢山出るとか、ゲップがでるとか、いろいろ言われますが、自分はどちらも殆ど出ませんでした。ただひたすら胃の中を動いているカメラの動きを感じ、ドクターの解説を聞きながら、映し出される画像の自分でチェックしている間に終わっていまいました。時間にして5分ほどなので結構あっという間でした。

②大腸カメラ:個人差がありますが、私は胃カメラよりはラクな検査と思いました。こちらは前日に腸洗浄の為の下剤を飲む、前日の食事を吟味するなど準備が大変ですが、当日は言われるままにベッドに寝転がり、映し出されるモニターを見ながら検査を受けます。肛門からスルッと内視鏡が入ってくる感覚が不思議ですが、いざ挿入されると検査中ドクターと十分に画像を討論することもできました。もちろん、腹部膨満感がありますが、ドクターの前で思いっきりオナラを出すことができれば、スッキリとします。検査中の呼吸はできる限り腹式呼吸ができればラクです。体位を時々変え、「あー、お腹の中でカメラが動いているぞ〜」と実感しながら、時間にして15分ぐらいで終了します。私は大腸カメラで内痔核を発見されました。これ以上悪化しないように、座りすぎには気をつけないといけません。

3.終了

 終了後、受付にいってレポートを受け取って終わり。カラー写真入りのレポートをいただきました。胃の方は逆流性食道炎と小さなポリープが1つあったので念のために生検してもらっています。大腸の方は内痔核ぐらいで異常なしでした。2〜3年後に再度検査を受けたらよいというアドバイスでした。検査後は、1時間半ぐらい経ったら食事も可能で、やっと私も朝食にありつけました。

 中国の食の安全問題は、中国でも常に報道されていますし、中国暮らしは白酒のようにアルコール度数の高いお酒やスパイシーな食べ物を食べるチャンスも多いです。我々にとっては、人ごとではないので、やはり定期的に胃カメラ・大腸カメラを受けることは重要だと思っています。両方検査しても全行程30分ほどで終わりますので、これを受けないのは惜しい話。胃カメラが苦しいといっても、大変なのは初めの3秒ぐらい、それに比べると大腸カメラはもっとラクに思いました。皆さんも条件がOKなら、ぜひ胃カメラ・大腸カメラ検査を受けていただけたらと思います。同時に検査すると、30分で終わらせてしまうことができるので、時間の節約にもなります。体質上、静脈からの鎮痛剤を使うのが不安な方も、私が体験した様に喉の麻酔だけで、そこそこ快適に口からの胃カメラができます。検査後も一人ですぐに帰宅できますし、クルマも自転車も運転できます。

 こうした検査の普及で、少しでも胃癌や大腸癌が早期で発見できるようになりますように。とりあえず中国暮らしで中年になったら、1度は検査を受けておいてください。胃カメラ・大腸カメラは大変だ、苦しい!というエピソードがネットに溢れている一方で、私みたいに結構平気にできてしまう人も沢山おられますので、なにかご参考になれば。なお、体の事情でこれらの検査ができない、検査が難しい方もおられますので、検査前にしっかりと医師と相談してください。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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